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製品オリエンテッド

新商品開発の議論をするときに、技術先導型か市場先導型か、という話をします。
格好いい言葉を使えば、テクノロジー・オリエンテッドかマーケット・オリエンテッド
ということでしょうか。MOTの議論をする際、今までの日本の製品開発は技術先導
型であり、市場に受け入れられるか否かを十分検討することなく技術陣が開発を
先導し、上市したところ市場に受け入れられずに終わってしまう、という話を聞きま
す。

MOTの必要性がここにあるのかどうかという議論は今回しませんが、では、翻っ
て、市場が常に正しい答えを与えてくれるのかという問いを投げかければ、商品
開発者の大多数は「否」と言うでしょう。マーケティングの重要性は既にあちこちで
叫ばれており、全くマーケティングをせずに商品開発をする企業は少数派に属する
(特に大企業であれば)と思います。しかし、マーケティングをしたからと言って、
商品が全てバカ売れするわけではありません。

理由は幾つかあると思います。市場が気まぐれであった、事前マーケティングで
予測できなかった要因が上市の際には支配的であった、などなど。新商品開発
であれば特に考えられる理由として、市場を創造できた/できなかった、という
理由があると思います。全くの新しい価値を与える商品の場合、新市場創造とい
う役目を担ってきますので、通常のアンケートといったマーケティング作業では
消費者が新市場の存在を思い浮かべにくいです。従って、マーケティングの結果
は通常否定的に出るはずです。だからといって尻込みしたのでは大ヒット商品は
出ません。

今自分が勤めている会社で、プロダクト・プランニングの重要性が説かれることが
あります。プロダクト・プランニングとは、私が理解している範囲で説明すると、
新技術と市場とを両にらみし、市場に受け入れられる、あるいは新市場を創造で
きる製品を企画し、これを製造まで持っていく仕事です。最近はその存在を否定さ
れがちですが、自動車で言えば主査という役割と同じようなものです。プロダクト・
プランナーが市場を的確に把握し、新技術を新商品として形にする(ヴィジョナリー
とも言えるでしょう)ことで、市場を席巻し、あるいは、市場を創造する大ヒット商品
が生まれるわけです。

例えば、今や日本を代表するビール銘柄になったアサヒスーパードライは、ある
意味で狙って作ったヒット作だそうです。そのベースとなったのが、下は小学生
までも含む好みの料理の傾向を調べたデータだそうです。このデータから、これか
ら望まれるビールの味は、その当時主流になっていたこくがあって苦いものでは
なく、爽やかで切れのあるものになるだろう、という予測をしていたそうです。
そうこうしているうちに、アルコール度の高い、しかしこくよりも切れを生む酵母を
技術陣が発見し、これら2つが相まってスーパードライの開発を進めることになっ
たそうです。しかも、3年間もかけて段々と切れのよいビールを上市するプランま
で立てていたそうです。

従来の考え方で言えば、スーパードライは市場先導型なのだと思います。が、
市場は明らかに爽やかで切れのあるビールを欲しているというデータが出てき
ていたわけではありません。「そうだろう」という仮説を立て、その仮説に基づい
て具体的に商品開発をしたわけですから、私はこの例は製品主導型とでも言う
べきモデルだと思っています。

デジタル家電など、流行の言葉で言えばモジュール化が進展した製品が多く
なりつつある現在、モジュールの寄せ集めでは人件費の安い国に負けてしまい
ます。技術と市場を平等に両にらみし、製品に関する抜群の創造力を有する
人材こそがMOTに求められているのではないだろうか、と思っています。

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