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弁理士の専門とする業務

弁理士という職業は、弁理士法が改正される前まではいわゆる旧工業所有権法(今は産業財産権というのですね)の代理業務を主たる業務としていましたが、平成12年の法改正により特定侵害訴訟代理の試験を合格した弁理士には弁護士と共同で侵害訴訟の代理業務ができるようになり、また、特定の不正競争行為や著作権契約についても一定の範囲で代理業務ができるようになりました。さらに、現在進んでいる弁理士法再改正により、外国出願業務が標榜業務(専業ではないが弁理士として専門にしたいと標榜する業務)も代理業務に加わる可能性が出てきました。これらは、業務拡大及び時代にあった業務を行うべしとする日本弁理士会の役員及び委員各位の皆さんの努力だと思っています。私のようなヒラ弁理士は感謝しなければいけないと思っています。

ただ、企業に勤務している期間が特許事務所にいる期間より長くなってしまった私にとって、果たして産業財産権以外の業務を特許事務所に依頼するのだろうかという素朴な疑問は、平成12年の法改正の時以来ずっと持っています。それは、産業財産権以外の広い意味での知的財産権の問題については弁護士に依頼している慣習が長く続いているからかもしれません。確かに、最近弁理士会が盛んに提唱している、中小・ベンチャー企業に対するサポートという意味では、弁理士がワンストップサービスを提供するために業務拡大を行うべきと言う理屈が通るのだと思います。しかし、一定規模の企業になると弁理士との付き合いも長くなり、弁理士がちゃんとできることとできないこととの区別が出来てきます。加えて、産業財産権以外の担当部門が知的財産部門以外におり、その担当部門はcounterpartとしておつきあいのある法律事務所があったりします。こうなると、敢えて特許事務所に対して産業財産権以外の知的財産権の問題の代理をお願いするかと言われると、ちょっと及び腰にならざるを得ません。

つまり、企業側の持っているイメージと弁理士側が期待するイメージとの食い違い、という言い方が良いのかもしれません。企業側としたら、現在依頼している産業財産権の代理業務についてより専門性を持ってhandleして欲しいと思っています。一方、弁理士側としたら、業務拡大により生き残りを図る、業務拡大した部分についても代理権を欲しくなるわけです。この差は、両方の世界に身を置いた経験のある自分にとって双方の気持ちも理解できるが、だからといってこの差を埋めるのは大変難しいことも理解しています。時に、産業財産権の代理業務について専門性を深めることを標榜し、実際にそのための努力を惜しまない特許事務所がありますが、どうも少数派であるように思います。悩ましい問題です。

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