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2007年1月

将来を予想してみると

先日、中期計画策定には外部環境の把握が必要であるといった話をしました。それでは、お前はどう考えているんだという指摘があるだろうと思い、自分なりに自分が所属する会社に関連する外部環境の把握、特に今後の技術トレンドに話を絞って予想してみたいと思います。なお、話の順番は順不同ですのであしからず。

① 通信と放送の融合
このキーワード自体、何年も前から言われています。通信と放送の融合の前提となるのが、インターネット環境、特にブロードバンド環境(有線、無線ともに)の飛躍的な普及があります。現在注目されているIPTVが実用化された場合、視聴者にとってそのコンテンツがどのネットワークを経由して到達したかを全く問う必要はありません。そして、通信と放送が融合化した場合、これを処理するための機器としてTVとパソコンはより近い存在になります。既に今年のパソコン春モデルではディスプレイを同梱せずにHDMI経由でリビングにあるTVに接続することを前提としたモデルが幾つか発表されています。
通信と放送の融合は、携帯電話にも影響を及ぼします。将来の4Gでは無線LANと現在の携帯電話網との融合が真剣に考えられています。携帯端末は今以上にパソコン端末に近づいてきます。そして、ワンセグ端末は正に通信と放送の融合を具現化するものです。

② 個人データベースの共有化
Web 2.0という括りをした方が良いのかもしれませんが、Web 2.0という概念自体が含む内容が非常に包括的なので、技術トレンドとして注目するべき具体的内容として表題に掲げました。GoogleであれYouTubeであれWikipediaであれ、今まで個人が保有していたデータベースを共有化し、これを複数の目でブラッシュアップするという点で変わりはないと思っています。今までは、例えばホームサーバのように自分が収録した情報は家庭内のデータベースに保管するという考えが主流であったように思いますが、これからはむしろ自分が収録した情報を共有化し、他人の目に晒すことで感情を共有化する流れになるのではないか、と思っています。

③ 軽薄短小
この言葉自体、もう10年以上前から使われているかもしれませんが、セットという観点からすると更なる軽薄短小化は進むと思います。例えば、今までは記録媒体にメカ部を必要としたものがシリコンメディアを使うことで可動部がなくなり、小型化が可能になります。ディスプレイデバイスもさらに薄型化されることでパソコンもより薄くなります。ユーザーインターフェースという観点から一定の限界はあるにしても、セットはより軽薄短小化を進めるだろうと考えています。

④ 細かい主題を幾つか。
・バイオエレクトロニクスの発展
・グリッドコンピュータの発展によるコンピュータパワーの急激な増大
・センシング技術、特にイメージャーの性能向上
・自動車分野におけるエレクトロニクス技術の発展
・通貨疑似価値(電子マネー、ポイント制度など)の広がり

今回は技術分野に絞って話をしましたので、法律的な将来動向については大きく割愛しています。米国のプロパテント政策の揺り戻しや3極特許庁における統一的取り組みといった面白い話題はあるんですが。また、上に挙げた事項をよりブレークダウンすると特許出願や中間処理の場合に何を考えるべきか、という指針らしきものを得ることができますが、これについても割愛しています。

皆さんはどう考えられるでしょうか。

知財部門と事業部門との間

今年度に入って、知的財産部門として各事業本部に対してCS(顧客満足)調査を行ったようです。「ようです」というのは、私自身が関与しておらず、その結論だけ聞いた状態ゆえ、具体的にどのような意見が出てきたかよく分からないからです。とは言え、結論としては「官僚的な対応が多い」「事業部との間に距離がある」という結構辛口な意見があったようです。

これを単純に「知財部門の蛸壺化」と結びつけるには早計であるように思うので、では官僚的な対応になるのはなぜか、等を考えてみます。思うに、官僚的というのは事業部の意向を汲み取らずに一律かつ冷淡な対応をされたような経験から来ているのでしょう。自分の経験からすると、確かに知的財産部門の担当者の中には事業部門に対するサービス精神に幾分乏しく、「ダメなものはダメ」といった対応をする人もいます。一方で、知的財産部門は法律及びその運用に則って業務を行っていますので、事業部門が望むからと言って法律に反することを薦めることはできません。また、事業部門と会社全体の方針とが食い違う場合、どちらに従うのかと言えば会社の方針に従わざるを得ません。こう考えると、官僚的な対応をされたと事業部門で感じる場合であっても、一定の理由がある場合がないわけではありません。そうは言っても、官僚的であると指弾されることに利があることはないので、事業部門に対するサービス精神と知的財産部門として筋を通すことのバランスを考えないといけないわけです。
同様に、事業部との距離を感じると言われることも、その根源を辿ってみれば事業部門に対するサービス精神を知的財産部門の担当者がどれだけ持っているかにかかっています。しかし、単なる便利屋になるのか、アドバイザリースタッフとして筋を通すのか、というバランスもありますので、一概に「サービス精神が足らん」とばかりは言えません。

知的財産部門は事業部門に対するスタッフ業務を担うとともに、本社部門のライン業務も担っています。時により相反する方向性をどのように融合させてゆくか、高度な判断が必要になります。各担当者がどこまで自身の業務の位置付けを理解しているかが問われるわけです。

知財中期計画って…

昨年6月に知財担当に就任した役員が、知財中期計画の策定に非常に熱心で、対応WGを作って精力的に知財中期計画案の作成を行っています。今月末には社長以下関連役員の前でプレゼンする機会も設けられました。

ただ、中期計画といっても語られるのは個別商品に関する知財戦略(当然重要商品ばかりですからしなくていいとは言いません)ばかりで、自分が大学で学んできた中期計画のフレームワークとはどうも違っています。中期計画を立てるならば、まず周辺環境の検討及び将来の仮説、そして自社他社の強み弱み(プロコンって言い方をしますね)をまず検討する必要があると思います。これなくして自社の強化すべき領域の全体像が見えてくるわけがありません。その上で、強化すべき領域毎に個別戦略を立てるわけです。現時点の知財中期計画案では、前提をとばして個別商品毎に検討を行っているので、全体像を俯瞰することができません。しかも、自社他社の比較を徹底的にしていないので、結論も「知財としてはこうやりたいです」という所信表明しかしておらず、パンチの効いた結論になっていません。加えて、事業戦略との関連性もあまり検討していないので、事業に対するインパクトも薄く、逆に事業戦略から要求される知財戦略もそれほどないという、これまたパンチの効いた結論になっていません。そして、全体像を捉えた上での出願件数等の計数計画も欠いています。端から見て隔靴掻痒の思いを強くしています。

とは言え、知財中期計画を徹底的に検討する機会も少ないですし、また、今まで事業本部との連携もそれほどうまくいっていなかった現状では致し方ないのかもしれません。それを差し引いた上で、なおかつ自分が少しでも関与すればもっとレベルの高い知財中期計画を策定できるのではないかと歯ぎしりをする毎日です。

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