« 2007年1月 | トップページ | 2007年3月 »

2007年2月

特許担当者のキャリアプラン

先日、知人の結婚式の2次会で久しぶりの知人と出会い、企業の特許担当者のキャリアプランについて質問をされました。具体的には、企業の特許担当者の仕事は細分化されかつ地道なものであるが、このままでよいのか、と。

確かに、大企業の特許担当者の業務範囲は非常に細分化され、自身が企業の特許戦略遂行の一翼を担っているという実感は薄いと思います。そして、毎日権利形成業務に明け暮れ、それほど変化のない日常が続くことが多いでしょう。こうなると自身の業務に対するモチベーションを維持するのは並大抵のことではありません。
しかし、そうは言っても、マクロ的に見ると企業の特許戦略遂行、例えば強固なパテントポートフォリオ構築は各特許担当者の普段の地道な努力なくしてあり得ません。このあたり、特許担当者個人で見ると非常にミクロ的な視点に陥ってしまいますが、普段の仕事の観点から一歩引いて俯瞰的に見ると自身の業務範囲と会社の進む方向性との結びつきを実感できるようになるかもしれません。特に、企業の特許担当者にとって事業部門の方向性、言い換えれば事業部門の事業戦略を知る機会は少ないかもしれず、この場合、特許担当者と発明者との非常に閉鎖的かつミクロな観点からしか発明を捉えられない可能性が出てきます。逆に言えば、企業の特許担当者にとって事業部門の方向性をあらゆる機会を捉えて把握することが、日常業務のマンネリ化を防ぎ、一方で企業の特許戦略遂行をより堅固ならしめる方策だと言えます。一言で言えばマネジメント能力の獲得、ということです。そして、このマネジメント能力の獲得こそ管理職への道の第一歩といえます。

誰でも毎日同じ仕事をしていれば飽きるのは当然です。地道な仕事が重要とは言われても納得しきれないのであればマネジメント能力の獲得を考えることをお勧めします。

知財部門はサービス部門

何度も同じような話題について書くと、前に書いたことと矛盾する言い方になっていることもあるかと思いますが、その当たりは書いた時々によって色々考え方が違ったのだ、と言うことでご了解をば(単に前に書いたことをレビューしていないだけ、という言い方もありますが(汗))。

企業内の知的財産部門は基本的にサービス部門であると常々考えています。つまり、事業部門で創造された知的財産(発明、創作など)を知的財産権として権利形成し、これを活用するサービスを行う部門だ、ということです。こう書くと、近年の知的財産部門はもっとproactiveにならなくてはいけないのではないか、もっと事業部門に対して提案活動を行い、さらに知的財産権の価値を最大化する作業を行わないといけないのではないか、という批判を受けるかもしれません。これは、「サービス」という言葉自体がどちらかというと従属的な意味合いを持つ言葉だからかもしれません。私が考えるサービス部門としての知的財産部門とは自立的サービス部門とでも言うべきものであり、知的財産部門独自の見識に基づいて事業部門に利するサービスを提供し、ひいては事業部門の方針に叶う知的財産権の有効活用を行う、というものです。従って、言葉は矛盾するかもしれませんが、proactiveなサービス部門が知的財産部門が目指すべきものではないか、と思うのです。では何故サービス部門かと言えば、知的財産を創造するのは事業部門であり、(発明発掘や発明創造の手助けはしますが)知的財産部門は創造された知的財産にどのような付加価値を付与するかが本来の目的だと考えるからです。時に、企業の成長速度が遅くなり、また、企業規模が縮小する過程において知的財産を金銭的財産の如く扱う場合があり、その際に知的財産部門が表立って活動をすることもあり得るわけですが、企業の本質からすればどちらかというと本末転倒であり、正常な状態ではないように考えます。確かに、会社は消滅して知財だけ残る、という事態は数多く実情として存在しますが、それは当初から望んだ結果ではないでしょう。知的財産部門として事業部門に対してどのような付加価値を提供できるか、常に考えておかなければいけないと自戒の念を込めて。

育児日記

たまには違った話題を。

自分が子供を持ってから、子育てのことに興味を持つようになりました。最近はblogで育児日記を公開している人も多く、なかなか自分の子供と共通点を見つけることは少ないので参考になるとは言えませんが、子供の微笑ましい(時に大笑いできる)仕草や言動に心が和む思いがします。特に、4コマ漫画風の育児日記blogは大変面白いです。このところお気に入りの育児日記ブログはこちら。

 育児マンガ『かーたん 抱っこ!』
 しろくまおやこ
 プクリン日記
 アシタサクハナ

ただ、人の育児日記を見て心が和んでいる割に、自分が育児日記をblogで公開しようという意欲はちょっと薄いです。一番の理由は、公開するほどのエピソードもないこと、次いで、育児日記とはいえプライバシーを一部公開することになりますから、ネットでの攻撃が怖いことです。その当たり、上に書いたblogは実際の子供の写真を公開しなかったりメールアドレス非公開+トラックバック不許可で防護しており、結構考えているな、と思います。ただ、blogが育児談義のきっかけになることもあるので、ネット社会特有の防護策がある種窮屈に思えることもあります。難しいところです。

パテントポートフォリオ

パテントポートフォリオという言葉が最近流行していますが、その概念は多種多様にわたっているように思います。そもそもはportfolio=ファイルですから、ある特許を群管理したものがパテントポートフォリオだと思うのですが、最近は特許戦略や特許マップと同等の概念までパテントポートフォリオと言われるような気がしています。

パテントポートフォリオを作成することは特許戦略の初歩であり必須であると言えます。つまり、自社が所有する特許をカテゴリー別に分類しておくことです。当然、複数のカテゴリーに分類されるべき特許もありますので、分別ではなく分類することが重要です。しかし、単にカテゴリー別に分類していたのではあまり役立ちません。次にやるべきことは、カテゴリー別に分類した自社特許の価値を評価することです。価値評価とは金銭的価値評価のことではなく、その特許がどれだけ自社の該当するビジネスを保護しうるだけの排他的効力を有するか、さらには他社の脅威となりうるかを評価することです。従って、ここでいう評価は定性的であって構いません。但し、定性的であっても自社特許を相互に比較対照できるだけの絶対的基準でなければなりません。

近年、カテゴリー分類をパテントマップの手法を用いて、具体的にはキーワードのクラスタ分析等によって自動的に行おうとする手法が提案されています。この手法は他社特許の分類には比較的有効な手法ですが、自社特許の場合自社ビジネスとの紐付けが何より重要ですから、単純な特許分類手法では適用しにくい側面があります。現時点では人力によるカテゴリー分類のほうが勝っていると言えるでしょう。
 また、自社特許の価値評価を定量的又は数値的に行おうとする試みが為されています。例えば、その特許の経過情報を数値化して価値評価に適用しようとするものです。ただ、経過情報だけで価値評価ができるとは限らず、特に権利範囲の広さや強さが直接的に経過情報に反映されるとは言い切れないので、参考情報ではあっても直接的な価値評価にはつながらないのが現状だと言えます。

一方で、定性的な価値評価及び群管理を行えるソフトウェアはどんどん各社から発表されています。このようなツールを使うことで、パテントポートフォリオの精度を上げ、また、事業部門と情報を共用することができるようになります。

権利行使できない権利

いざ権利行使をしようとすると、権利範囲が狭くてにっちもさっちもいかないことというのはままあることです。例えば、iPodに代表されるオーディオプレーヤーに関して、10年くらい前に出願してやっと権利になったものは、出願当時はCDとかMDしか世の中になかったのでディスクのことばかり書いてあってHDもフラッシュも記録媒体として考えられるという一言がない、だから記録媒体と特許請求の範囲に書いてあっても果たしてHDやフラッシュに及ぶかどうか疑問がある、と言うことがあります。第三者的な立場からすると、これでは金の無駄遣いと言われても仕方ないです。

こんなことが起こるのは、①技術の流れをきちんと予測できていない、②仮想敵をきちんと考慮していない、等の理由があると思います。小型化、大容量化の要望があるのであればHDやフラッシュに行くのは当然であるし、自社がCDやMDで一大牙城を築いていればそれを切り崩すには他社は別アプローチで行くだろうことは予想できることです。少なくとも6年前にはメモリーカードを使ったオーディオプレーヤーを実現しているんですから、自社の技術者は技術の流れをちゃんと予測し、間違いのない製品を出している、一方、知財部門は「今」しか見えてなくて今の製品をどうやって保護しようかということだけを考えている、これでは将来の製品に対して権利行使が可能な権利は取得できません。

権利行使をすることだけが権利取得の目的ではありません。しかし、自社製品を守ると言うことの一環として成長過程の他社製品に対して権利行使をし、その成長の勢いを削ぐことも大事だと思います。それが結果としてクロスライセンスなりで終わったとしても。

将来を予想してみると(2)

先日、将来の技術予測を自分なりにしてみました。その後、あれこれ考えているうちにもう少し追加した方が良い点があるように思いましたので、補足をしてみます。

① AVとITの融合
この言葉自体も古くなったような気がしますが、依然として重要な主題であると思っています。デジタル家電はどんどんパソコンに近づき、パソコン自体もAV機能をどんどん搭載してきており、既にAVとパソコンとの間に明確な境界線はないように思います。デジタル家電といっても中身を見ると機能を特化したLinuxパソコンの場合もありますし、テレビパソコンと液晶テレビとの間に明確な差があるとも思えません。
AVメーカーからすると、AV機能を搭載したパソコンというのは微妙な位置付けにあります。というのも、AV機能がOSに搭載された場合、OS側の制約でAV機能そのものがデファクト化され、差異が出しにくくなるとともにAV機能決定の主導権をOSメーカーに握られてしまうからです。ユーザーにとってはどちらがいいということはないのですが、メーカーにとっては結構死活問題です。
もう一つ、デジタル家電がパソコン化すると言うことは、前に述べたことにも関連しますが、デジタル家電のほとんどの機能はソフトウェアによって実現可能になるということです。既にデジタル家電の開発工程のほとんどがソフトウェア開発工程によって占められている現状を考えると、この傾向はどんどん進んでゆくでしょう。

自分の会社に限定しないと、例えばバイオテクノロジー技術の進化など面白い話題が幾つもあるのですが、あまり話を広げると訳が分からなくなるのでこの辺で。

« 2007年1月 | トップページ | 2007年3月 »

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
フォト
無料ブログはココログ