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2007年3月

家電業界の行く末

(この記事を何年か後に見返してみると、きっと状況が大幅に変わっているのだろうと思います。それだけ今が転換期にあるという証拠だと思っています)

最近、家電業界が再編期を迎えているように思います。例えば、日本ビクターは親会社である松下電器が株式売却を検討しており、どうも外資系ファンド2社に売却先が絞り込まれているようです。1社は経営陣とのMBOで友好的買収を図る予定のようですが、もう1社はかなり高額な金額を提示しており、どちらかというとこの1社に売却先が決まるのではと言う噂が流れてきています。そうなると、事業の現状維持というシナリオは到底考えられず、収益性の良好な事業のみ内部に残して後は売却、ということが容易に考えられます。また、既に総合家電の旗を降ろした三洋電機は、半導体部門の売却が現在考えられているようですが、数年前の会計上の不祥事が今頃噴出し、更なる合理化が求められるように思っています。

家電業界の再編は対岸の火事ではなく、自分が所属する会社にとっても将来を左右される可能性があります。例えば、事業再編に伴って不採算事業そのものが知的財産とともに売却されることが考えられます。事業が一体に売却されるならともかく、知的財産が、特に有力特許がばら売りにされた場合、事業を伴わないいわゆる特許ファンドが特許を買収する可能性は大いにあり得ます。こうなると、今まで微妙なパワーバランスの下で平穏に過ごしていた家電業界に大きな一石を投じる可能性が出てきます。また、包括クロスライセンスを互いに結んでいた相手先がまるまる売却された場合、過去の包括クロスライセンスが企業主体が代わった後も有効であるかどうか、保証の限りではありません。

日本の家電業界は、悪くいえば馴れ合い、よく言えば平和的解決方法によって互いに成長をシェアする手法を取ってきました。今、家電業界の再編によってこの平和が乱され、過酷な生存競争に晒される時代が目の前に迫っています。ある意味、時代の流れなので甘受すべき事態ではあるのですが、ではその中で生き残るにはどうしたらよいのか。一番大切なことは、将来をいち早く見通して大胆に行動することだと思っています。事業単位の買収に名乗りを上げることも大事でしょう。特許だけ切り売りされる状況はできるだけ避けたいところです。また、法的整備も必要です。包括クロスライセンスは通常対象特許を特定していませんから、特許庁への登録手続もされていないことが大半です。外国であれば包括クロスライセンスの転得者に対する保護が法的に担保されているとのことですので、この点、早急な対応が望まれます。

特許戦略を考えるときには、やはり業界の将来像を色々と描き、その中での可能性にいち早く対応できる戦略が必要なのだとしみじみ感じています。

特許戦略という用語

(今回もipippiの記事を書き直してお送りします)

特許戦略、あるいは知財戦略といった場合、人によって全然言ってる範囲が違うように思うので、何かつかみ所のないフワフワしたようなものに感じてしまいます。例えば、個別商品に関する方法論を特許戦略と言っていたり、ライセンスをどうするかという議論がイコール特許戦略だと言っていたり、極めて抽象論で実務への適用に大きな疑問符が付きそうな議論を特許戦略と言ったり。どうも、戦略論に関する理解があまりない人が議論をあれこれしているから用語の定義が不安定になっているのではないか、と思えるのです。つまり、事業戦略なり経営戦略なりで過去数十年間語られてきているツールやフレームワーク、そして方法論を学んでいる特許戦略家が極めて少ないように見えます。これが、特許戦略と事業戦略や経営戦略との整合性が取れないでいる原因のように思います。

そして、特許戦略や知財戦略を(企業毎のノウハウは秘匿してもいいですから)オープンに語る場が非常に限られており、しかもその場には企業の実務家が出席しないからますます議論が宙に浮いている気がしてなりません。事業戦略や経営戦略の場合、実務家が専門職大学院(MBAなどが良い例ですね)に行き、大学の研究者と交流を行うことで互いに情報交換を行い、かつ、理論構築を進めているため、実務と理論との乖離が少ないのですが、特許戦略や知財戦略においてこのような実務家と研究者との交流が行われている例は少ないです。期待されている知財専門職大学院では教員は立派でも実務家として大学院に通っている学生は知財専門家としての経験はあまり少ないようであり、しかも目的意識が特許戦略の専門家になるということにないように思えます。カリキュラムが産業財産権法のイロハから始まっていますし。

そして、このblogにも書いているように、企業の実務家とて経営戦略や事業戦略のイロハを知っている人ではないので、企業内において語られる特許戦略あるいは知財戦略も一定の限界があります。このあたりが最近の自分の焦りとなって出てきているような気がします。どうしたものでしょうか…。

知財戦略を語るには

最近、知財戦略とか特許戦略という言葉を良く聞きます。実際、このブログでも時々知財戦略立案について私なりのコメントを書いています。で、最新号(2007年2月号)のパテント誌(今はこのリンクには掲載されていませんが、2ヶ月もすれば掲載されますのでリンクを張っておきます)でも「企業の知財戦略」について特集されています。読んでみると、何だか個別の商品に関する出願のやり方とか企業の知財活動の概略紹介といった記事ばかり(2つしかありませんが)で、どうも「戦略」とわざわざ名付けるほどの内容ではなさそうに思います。なぜか。

それは、実際に知財戦略(特に企業において)立案をした経験のない人が知財戦略立案について頭を巡らしているからであるように思えます。実際に企業の知財戦略と言ってもそれほど大層なものではなく(世の中の企業で事業戦略策定ツールを使って知財戦略を立案しているところはごく少ないでしょうから)、知財評価(金銭的ではなく特許そのものの有効性)+事業の方向性によって方策を考えている程度なのですが、それでも知財戦略立案に関与した経験があって、しかも外部から物事を見ることのできる立場にある人材が少ないということなのでしょう。

加えて言えば、戦略的な物の見方ができて知財戦略を語れる人材が少ないということでもあると思っています。戦略的な物の見方とは、自分が考えるには俯瞰的に物事を観察できること、時間軸に沿って物事を把握できること、そして、複雑な事項の中から本質を短時間で把握できることだと思っています。ある程度素養なりセンスが要ることですが、経験が結構物を言う領域のように感じています。やればできる、ということです。

弁理士会がこれから本気で知財コンサルタント業務を行おうとするならば、まず経験者から色々な知識を吸収し、そして自ら経験をする度胸が必要であるように思います。

デジカメ一辺倒

自分の子供の写真を整理していてふと気付いたことに、子供の写真が全てデジカメで撮影したものでした。時代的には不思議でも何でもなく、そういった家庭も最近は多いのだろうと思います。例えば、今やっている英会話教材のイベントで最後にスタッフと家族との記念撮影をしてくれ、その際に家族が持参するカメラはほぼ例外なくデジカメ(カメラ付きケータイの場合も結構あり)です。一方、自分が子供の時はカラー写真すら物珍しいものであり、何となくセピア色になりつつある写真が時代を感じさせます。自分の子供がもう少し大きくなって、自分の写真を見たいとせがまれたときにはPCをおもむろに立ち上げてパラパラと見ることになるんだろうなぁ、と。ただ、アルバムを順繰りにめくる楽しさはそれなりにあるわけで、全部データ化して保管してあるのも味気ないようにも思います。このあたり、デジカメが普及してもプリントサービスが依然として繁盛している理由のように思います。他人に配るにしてもデータだけだと不親切のように見られるかもしれませんね。ただ、今からアルバムを作るとなったら、数千枚もあるデータから選りすぐりの写真を選んでプリントしないといけないので、ものすごく手間がかかりそうです。せめてバックアップをきちんと取っておく位しかできないかも…。

事業部門との間の距離

ipippiに書いた原稿を少し補充して書き直しました)

知財部門として事業部門の顧客満足度調査(一時期CSって言葉が流行りましたよね、それです)をしたところ、知財部門との間の距離があるという意見が結構ありました。一時期、知財部門のほとんどが事業部門の傘下に分散した時期があり、多分その頃を懐かしがっての意見だと思うのですが、そうは言っても意見は意見として拝聴して改善策を考えなければなりません。

知財部門と事業部門との間の距離があるということは、事業部門からして知財部門が「顔の見える」存在ではないということなのだろうと考えています。言い換えれば、事業部門が知財部門に期待する事項と、知財部門が事業部門に対して提供している、あるいは要求している事項との間に何らかの差があるということです。このことについては、知財部門の各担当者がきちんと事実を直視しなければいけません。

ただ、知財部門と事業部門との距離といっても、事業部門の各階層毎にコンタクトする部署や内容が違ってきます。発明者に対しては特許担当者が日々コンタクトし、マネジメントクラスに対しては統括職やライセンス担当者が事業戦略に影響を及ぼす事項について情報提供等を行います。この全てにおいて「顔の見える知財部門」でないと距離が縮まったとは認めてもらえないのだと思っています。ただ、これって簡単ではなく、局面が違えばコンタクトチャンネルも違って当然、その全てに対して満足してもらえる方法って何だろう、という悩みがあります。

そうは言っても、現実、知財部門から事業部門に対して情報発信をあまりしてこなかったのも事実です。情報発信をするのは当方からの業務依頼事項ばかりで、事業部門が知りたいこと、興味のあること、そして何より知財部門とはどういう部門であるという自己紹介すら避けてきたように思っています。このブログにも書いた「知財部門はサービス部門である」という持論からすると、情報提供という重要なサービスを提供してこなかったわけです。ようやく、顧客満足度調査や広報対応の遅れ等の指摘が外部からあり、自社の知財部門としても情報発信に積極的になろうとしています。これが、知財部門と事業部門との距離を少しでも縮める結果になればいいと思っています。

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