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イノベーションと知財政策

現在、特許庁で「イノベーションと知財政策に関する研究会」と題する研究会が開催されていることは以前このBLOGでも紹介したように思います。今回、この研究会の報告書が出されようとしているようで、その案がHP上で公開されています。

ざっと読んだところ、「特許庁」という枠の中で考えている限りはなかなか革新的なアイデアが出るわけではなく、総じて現在の知財政策の延長上にあるという印象でした。まず、知財とイノベーションの関係について「知財がイノベーションを阻害することはない」というスタンスに立っており、知財不要論を最初から封じています。ただ、現状のままでは良くないという危機感は切実に感じているようで、その解決策として先進国間の審査ワークシェアリング等による仮想的な世界特許庁の実現であるとか、パテントトロール対策の一環として権利濫用理論の拡張の検討であるとかを提言しています。これはこれで私としても実現してほしいところではありますが、根本の問題として、知財制度自体がイノベーションの足枷になってはいないのか、なりそう、あるいはなっているのだとすればどうしたらいいのか、という議論には踏み込んでいません。

例えば、特許の南北問題と言われる問題があります。つまり、現在の知財制度は先進国が途上国の金銭を吸い上げるための制度であり、途上国にとって知財制度の整備は先進国の企業に利することはあっても途上国の自国産業の保護にならない、という議論です。一番顕著なのがAIDS特効薬に関する特許権の問題です。また、私が現在読み進めているPatent Failureという本に書いてあることで、化学・薬学以外の分野において米国で特許権から得られる利益よりも訴訟に費やすコストのほうが上回っているとの指摘があります。Patent Failureでは色々な例を挙げて現在の知財制度が破綻しているという議論をしています。

自分自身、もう少しじっくり考えないと適切な提言を出すに至らないのですが、何かしらの知財制度のreformが必要であろうとは思っています。特に、日本では訴訟コストの高騰がさほど問題になっていない(訴訟そのものが少ないというのは功罪ありますが)のでさしあたりの対策は不要だと思いますが、米国での訴訟リスクの増大及び訴訟コストの増加は喫緊の問題だと思います。

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