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国際競争力を持つ日本の産業はどこに

最近MOT関連の話題ばかりしていて知財の話題はどこに行った!とお叱りを受けそうですが、もう少しだけおつきあいくださいませm(__)m。

大前研一さんという著名な経営コンサルタントの方がいます。この方がWeb上で連載記事を書かれており、この最新記事が結構MOT論(それもなかなか正鵠を得ておられる)を展開しています。後編もあるようなので期待大です。この記事で私が理解した大前研一さんの論は、日本の産業構造が実は大きく変化しており、より詳しく言えば日本が高い国際競争力を保っている産業は川下から川上、言い換えれば装置産業から素材産業にシフトしており、この点からこのところの日本悲観論とも言える論調に対して明らかな疑問を呈しています。そして、日本産業の強みを生かせる分野として、クローズドで摺り合わせ型の分野であると指摘しています。

この議論自体、実はそれほど新鮮なものではなく、私がMOT社会人大学院で学んでいた頃に授業で講義された内容や、また、東京大学の藤本隆宏教授が以前から指摘していた内容において既に指摘されていた事項です(だからと言って大前研一さんの議論が古くさいであるとか価値がないとかというつもりは全くなく、改めてまとめた議論をしていただいたことに感謝しています)。実際、大前研一さんの記事に記載されているように、素材産業における日本の企業の国際競争力は際立っていますし、また、クローズドで摺り合わせ型の産業分野の代表と言われる自動車産業はこの世の春を謳歌しているように見えます。

ただ、自分が今所属する企業は川下の装置産業であり、オープンイノベーションでモジュラー型の影響を思いっきり受けています。オープンでモジュラー型の装置産業は、国際的な産業構造の変化をもろに受けた産業であり、クローズドで摺り合わせ型の研究開発をしていて、垂直統合型の生産を行うことにより利益を自社内に全て留保して莫大な研究開発費の回収を行うことで成長を続けてきたところ、オープンでモジュラー型に産業構造が変化したことにより一気に製品自体がコモディティ化し、莫大な研究開発費の回収もままならない状態に陥っているわけです。この分野における日本企業の国際競争力は一気に低下しています。かと言って、装置産業で生きてきた企業が一気に素材産業に移行できるわけはなく、販売価格の急激な下落に苦しみながら低利益率でも何とか生き永らえてきています。

では、装置産業に未来がないのかというと、そうとばかりは言っていられないのも現状です。オープンイノベーションでモジュラー型に変化した産業構造を元に戻すことはできませんから、企業自身がオープンイノベーションの利益を最大限に生かし、世界の最先端開発知識を旺盛に吸収し、いかに早期に産業化するか、言い換えれば現実の装置、製品として実現化するか、そして、生産拠点の最適化を含めた低コスト化を実現するかに注力すべきなのだろうと考えています。そして、自社のR&Dの逃げ切りを実現するために知的財産が(ほんのわずかの期間であっても)参入障壁として機能するように知的財産戦略を組んでいきたいとも考えています。

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