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2008年10月

パテント誌最新号「知財コンサルティング」特集に思う(その3)

土生先生が、パテント誌最新号の「知財コンサルティング」特集についてコメントしたBLOGに対して、ご自身の考え方をBLOGで述べられています。折角だからコメントしようと思ったのですが、考えていくうちに長文になりそうなので自分のBLOGの記事にすることにしました。これってかなり我田引水的なやり方なので気が引けるんですが…。

土生先生の、知財コンサルティングに対してその方法論を議論するのではなくて知財コンサルティングで何をやるかを議論すべきだとのご意見には賛同します。加えて言えば、製造業及びその周辺業であれば、大企業であっても中小企業であっても今や知財は経営の重要なファクターになっており、意識するとしないとに関わらず知財を念頭に置いた経営が必要であることは間違いないと思っています。そして、企業内に知財部門が設けられている場合、経営との連携を考えずして知財部門の運営を考えること自体が知財部門の存在意義を危うくするのであり、経営に資する知財という考え方は必要不可欠になってきます。ただ、今までの知財部門がともすると知財の管理という側面を重視してきていて、知財経営という観点が足りなかったのも事実ですし、日本知的財産協会でもここ数年は経営に資する知財とは何であるかを積極的に検討しています。

そして、自分が議論していたのは、知財経営が企業にとって当然の事項であることを前提として、その上で知財コンサルティングを行うべき企業は中小企業であろうこと、そして、そのためには弁理士試験に合格して出願代理業務のみ実務経験を持っている人物では経験不足であろうし、そのような人物が安易に知財コンサルティングに関する可能性を議論するのは危険であること、でした。従って、知財コンサルティングに関する実体的内容は承知の上で、手続的にどのような者が好適であろうか、という議論をしていた訳です。この点、実体的内容を前提条件として議論を省略したことが誤解を招いたとするならば、それは本意ではないわけです。

弁理士が知財コンサルティングを本業とするかしないかにかかわらず、知財経営というのは、私のBLOGにも書いたようにこれからの経営を考える上で重要な問題であり、是非経営者にもこの点を認識して欲しいと願うわけです。

低価格デジカメってどうよ

今日は知財と関係ない話題で。

最近気になっているのが低価格デジカメです。デジカメについては、日本企業が独占的シェアを持っている(しかも国内市場を見ていると)ように思われがちですが、低価格デジカメの場合、例えばSamsung TechwinKodakというメーカーがそこそこのシェアを持っています。国内市場では低価格デジカメはあまり売れていない印象を持っていますが、米国では結構ローエンド機もよく売れています

デジカメというのは垂直統合的モデルとOEM、ODMモデルが混在するちょっと特殊な製造モデルになっています。垂直統合的モデルの例はキャノン、パナソニックといったところでしょうか。このようなメーカーの場合、撮像素子であるCCD、CMOS(デジカメにはあまりCMOSを使いませんが)から始まって相当の部分を内製し、製品の差別化とコストダウンを図っています。ただ、キャノンなど工場自体を海外に移転してはいるものの、性能面での差別化を重要視しているせいか低価格モデルにあまり力を入れていない印象があります。ソニーなどの場合、高機能モデルは自社製、低価格モデルは台湾メーカー等を使ったOEMという棲み分けをしているようです。一方、オリンパスはほぼ全量をOEMしている様子です。

低価格デジカメを私が気にしているのは、低価格デジカメそのものが市場にどれだけ受け入れられるか、ということです。国内の場合、消費者自体が購買力を持っていますので低価格よりも一定以上の機能を選択する傾向が強いようで、あまり低価格デジカメの市場は開拓されていないと言えます。一方、海外では機能より価格を重視する一定の市場があるので、そこそこ低価格デジカメが受け入れられる余地があります。加えて、海外では日本のように高機能プリンターが普及していませんので、自宅でプリントするという習慣があまりなく、今までの銀塩カメラと同様にプリントラボに写真のプリントを依頼することが多いようです。こう考えると、かつての「写ルンです」のようにカメラに機能を求めるよりも写ればいいという割り切り方をした消費者がかなりいてもおかしくありません。

既にデジカメの高機能化も一定の限界を迎えているように思えます。高画素化もこれ以上求めることは難しいでしょう。顔認識もスマイルシャッターで一定の水準に至ったように思えます。デジカメ自体をどのように使うか、という提案型商品も、今のところ新しい芽は出ていないように思います。こうなると、デジカメという市場がどの方向に向かうかといえば、まだ普及していない消費者に対する低価格路線での攻勢、というのはあり得るのではないでしょうか。PCや薄型テレビの場合のように、低価格路線で国内メーカーが外国メーカーの後塵を拝することがないよう、願いたいと思います。

「知財経営」という言葉

知財経営という言葉を最近何人かの方が語られています。有名なところでは、S弁護士、弁理士やH弁理士(ブログはこちら)といったところでしょうか。この知財経営という言葉、知財を活かした経営という意味だと理解しています。

私は当然のことながら自分が所属する会社の経営に携わってはいません(恐れ多いことです)。ただ、知財部門のマネージャーと会社のトップマネジメントとの意見交換会や個別案件(例えば知財の中期計画)の討議を見聞きしていると、そもそも創業者が特許に非常に興味を持っていたこともあり、会社のDNAとしてトップマネジメントが知財を重視していることは体感できます。これは、知財部門に所属する人間の一員として喜ばしいことだと思っています。

それでも、知財が会社の経営に貢献できる(プラスの意味で)ことは限られていると痛感しています。自分が所属する会社は電機業界ですから、1件あたりの特許の価値はかなり極小化されてしまっています。どんなにパテントプールで必須特許を保有していても、それが事業展開の参入障壁として作用するかと言えばその効果は非常に低いです。そもそも、競業他社とはリスクヘッジ及びライセンス料低減を目的としてクロスライセンスを締結していますので、かなりの部分の特許は他社が自由に使用できてしまっています。最近はクロスライセンスに除外事項を設けて差異化技術を特許の傘から外そうとしていますが、差異化技術に関する特許について競業他社とまともに争うことは難しい(お互いに事業がありますから訴訟の応酬で収まりが付かなくなります)ので、除外事項の効果もよくわかりません。

一方、知財が会社の経営に影響を及ぼす(マイナスの意味で)ことは往々にしてあることです。よく例に挙げられるのが、コダックとポラロイドの特許訴訟でコダックは敗訴して8億ドル(当時のレートで1200億円)の損害賠償金を支払うことになり、結果としてコダックはインスタントカメラ事業から手を引かざるを得なくなりました。また、スマートフォンの米国最大手であるResearch in Motion社は、NTP社に対して6億ドルという損害賠償金を支払い、経営上かなりの痛手を負うことになりました。企業の特許担当者は、自身の業務が会社の経営に多大な影響を及ぼす可能性があることを重々承知の上で日々の業務を遂行しなければいけない、ということです。ちなみに、上に書いた損害賠償金は弁護士報酬が入っていませんから、実際にはもっと損害が大きいわけです。

とは言え、これも当たり前のことですが、知財が会社の経営に影響を及ぼすこと以上に他の要因が会社の経営に影響を及ぼすほうが多いです。今のご時世で言えば、自分が所属する会社は日本以外の売上比率が非常に高いので、円高ドル安、円高ユーロ安になると直接的に利益に影響を及ぼします。知財部門が特許訴訟で頑張って損害賠償金を非常に低額に抑える、さらには幸運にも勝訴して損害賠償金を支払わずに済むようになっても、それで節約できた額など為替差損で一瞬のうちに吹き飛んでしまいます。

従って、知財経営と声高に叫んでも、トップマネジメントが知財の重要性に気付いている場合でも知財が会社の経営ファクターの中でどれだけ重要視されるかというのは難しいです。これはどんなに時代が変わっても致し方ありません。重要度が少しでも上がればよしとすべきなのだろうと思っています。非常にニヒリスティックな言い方ですが、脚光を浴びることはあっても中央の位置に立つことはないだろうと割り切っています。

では、大企業だからその程度なのであって、中小企業やベンチャー企業は違うのではないか、という論があり得るでしょう。この点、私がMOT社会人大学院生の特定課題研究(修士論文ほど立派ではないのでこんな言い方をしました)で「ベンチャー企業の特許戦略に関する実証研究」と題してバイオベンチャー企業を2社ほど調べて、会社の事業成長の様子と特許戦略とを実証的に検証してみました。その結論としては、検証した範囲においては、事業立ち上げ時に自身のビジネスモデルを精緻に組み上げることが最重要であり、その上で特許戦略を組むならば成功もあり得るだろう、ということでした。実に当たり前のことです。特許より事業ありき、です。ただ、ベンチャー企業に対する特許戦略論として、事業モデルよりも特許戦略ありき、という風潮が一部であるように思えたので、敢えてその風潮に反旗を翻すような主張をしてみたのです。この研究成果は日本知財学会で発表し、なかなか好評を得ました。

以上のように、ちょっと長く書いてみましたが、知財経営という言葉を聞くたびに、自分としては一定の限界を感じることが多いです。

パテント誌最新号「知財コンサルティング」特集に思う(その2)

ちょっと前の記事で話題にしたパテント誌の「知財コンサルティング」特集について言及しているBLOGの記事を見つけました。この記事によると、色々な弁理士の方がBLOGでコメントしているようです。ただ、私の記事が入っていなかったのがものすごく残念despair。そんなマイナーなんですかねぇ。

私の知財コンサルティングに関するスタンスは、結構な回数話題にしていますので過去記事を検索していただけるとありがたいです。で、色々な弁理士の方がコメントしている内容とは全然違うのが面白かったです。逆に、全てのコメントに対して「それは違う」と異議をかけられそうな気がしてなりませんでした。本当は全ての記事に対してコメントを書き込んで論争すればいいんでしょうが、いつもこのBLOGの記事を書いているのが真夜中なので既にガソリン切れ状態でエネルギーがありません。

かいつまんで言うと、知財コンサルティングは今後弁理士にとって重要な業務の一つになると思っています。そして、それは大企業向けではなく中小企業向けが主流となるでしょう。それは、大企業は自身で知財戦略を練り、適正な件数の特許出願を適正な国にする能力を自ら持っているからです。できなかったらそれはその企業の責任です。過去、有名なコンサルティングファームが自分がいる企業の知財関連のコンサルティングをしてくれましたが、全く当て外れでした。一方、中小企業は特許まで手が回らないところが多数です。金をかけてまで、という考えの中小企業の経営者も多いでしょうが、そういったところこそ経営+知財の考え方が必要であると思っています。一方、大企業の知財担当者がそのまま知財コンサルティングができるかというとそれも難しいと思っています。そもそも、大企業と中小企業とでは知財に関する考え方を変えないといけません。端的に言えば、大企業は特許の数で勝負できますが、中小企業では特許の質と戦略とで勝負しなければいけません。金は有限なのです。

こう書いていると、論より証拠で実務で証明したくなるのですが、そのためには一定の能力を身につけなければ、そのためには…と前提条件が色々と出てきます。まだ自分自身は能力不足な部分が多々あると思うので、早く踏ん切りができるまでの知識と能力を身につけたいと思っています。それまで数年かかるだろうなぁ。う~ん、もどかしい。

企業での知財人材育成

このBLOGも、カウンタ表示していませんが、10000ヒットをいつの間にか超えていましたhappy02。こんなマイナーな話題ばっかりひそひそと書いているBLOGに皆さんがおいでいただくことに心から感謝いたしますwink。これからも、ぼつぼつと知財ネタを中心に書き連ねていきますので、末永くご愛顧を。

さて、日本知財学会でも知財人財育成研究分科会という分科会を設けて知財人材の育成をどうするか検討しているように、知財が経営の重要なファクターになるに伴って知財人材の育成に関する問題があちこちで取り上げられるようになっています。日本知的財産協会の知財管理誌でも、ミニ特集を組んで知財人材問題を取り上げ、さらにそれ以外にも「知財人材」で検索すると知財管理誌で数多くの論説があることがわかります。

企業における知財人材育成で一番取り上げられているissueとしては、経営のことが、言い換えれば会社のことがわかる知財人材をどのようにして育成するか、という点です。今までの知財部門に属する人材は、その専門性の高さゆえ会社入社当初から知財部門に配属され、そのキャリアのほとんどを知財部門内で過ごすというキャリアパスを持っている人が結構いました。こうなると、言葉は悪いですが知財蛸壷化というありがたくない代名詞をいただくような人材が輩出されてしまうわけです。

しかし、会社の経営陣が知財に興味を持ち、知財が経営の重要なファクターになるに伴い、知財部門が自身の判断に基づいて経営方針に提言を行えるような(結構理想論ですが)人材が求められていると言えます。このような現状に鑑みると、キャリアのほとんどを知財部門で過ごしたような人材では、会社全体、事業全体を見渡した大局的な助言、判断を行えるかどうか…難しいところです。

ただ、一方で、知財部門に属する人員が全て経営に詳しくならなければ「ならない」という論もかなり極端です。知財部門内のマネジメント層は最低限経営的知識及び判断ができる必要があると思うのですが、個々の知財担当者にまでこれを求めるのは酷かもしれません。知財担当者は法律と技術との双方に通暁している必要はあります。経営はこれに加えての事項ですから、まずは法律と技術との双方の専門家になり、常にこれらの知識をupdateする必要性があります。これら2本柱をおろそかにして経営に関する知識に飛びつくのは非常に危険です。とかく、最近の議論は知財部門の人材も経営の知識が必要であるとの「べき」論に走りがちですが、知財部門の担当者の本分を忘れての議論は空洞化を招きます。

ということで(と無理矢理纏めることもないんですが)、知財部門の担当者には多様なキャリアパスが認められていいのだろうと思っています。まずは産業財産権の法律に関する知識と、自身が担当する技術分野の最新技術に関する知識がベースとなります。これらを一定まで極めた上で、さらに法律または技術の少なくとも一方を極めるか、あるいは経営に関する知識を入手するか、という選択肢があります。経営に関する知識は、マネジメント層に属する人員にとってはmustです。その際には事業部への出向・転籍もあり得るでしょう。マネジメント層には人事的な知識も必要です。

なお、特許事務所のキャリアパスについては(ちょっと疲れたので)いずれかの時に。リクエストがあればすぐにでも考えます。

特許の流動化をどう捉えるか

前の記事で週刊東洋経済の最新号にコメントはありません、と言いましたが、一つ言い忘れたことがありました。それは、インテレクチャル・ベンチャーズのような特許投資ファンドに自社特許を売却することに対して産業界でも捉え方が非常に対照的である、ということです。

自分は電機業界の会社に属していますので、週刊東洋経済のインタビュー記事にあるソニーや富士通の考えに比較的親近感を覚えます。事業を取り巻く環境は刻々と変化していきますから、権利形成時には重要と考えていた発明であっても、その後不要となることは多々あります。こういった知的資産は売却により有効活用ができると言えます。しかも、売却する際には通常自身の実施については通常実施権を設定する形で売却しますので、自分が売却した特許により警告・訴訟提起をされることはないわけです。

加えて、このBLOGでもオープンイノベーションについて議論してきたように、事業環境の変化により会社の事業環境は容易に変化し、特許の流動化が非常に速いスピードで進んでいます。この特許の流動化は(オープン)イノベーションを確実に加速化させます。健全な市場が形成されている限り、そして、パテントトロール問題に対して適切な措置を執れば(ここが難しいんですが)特許の流動化そのものは歓迎すべき事項ではないかと考えるのです。

確かに、知的財産は、キャノンの新旧特許部長がいみじくも同じ立場でおっしゃっていたように、事業を保護するためのものであり、売買の対象ではないとの考え方も理解できます。そういった考えに基づき、事業と知的財産を一体と考え、知的財産の保護を重要視する業界もあって当たり前です。典型的な例が医薬品業界でしょう。医薬品業界において、知的財産による保護は他社に対する決定的な参入障壁であり、知的財産を売買することは事業の売買に直結します。

ただ、一方で現実に特許の流動化が起こっており、その中で事業を優位に進めるには知的財産の売買も有力な一つの選択肢として考えなければならない業界もある、ということです。それは単純な善悪論で語りきれない部分です。もし、みなさんが週刊東洋経済の最新号をお読みの際は、この点を念頭に置いていただきたいと思うのです。

パテント誌最新号「知財コンサルティング」特集に思う

このBLOGでは色々な雑誌の記事にインスパイアされて色々なことを書いていますので、当然、最新号(10月25日号)の週刊東洋経済での特集「特許大異変」についても言及しないといけないのかな…と思うのですが、半分は今までさんざん話題にしてきたインテレクチャル・ベンチャーズの取材と、あと半分はマイクロソフトのライセンス方針転換についての話なので、個人的には「まあその通りです」というコメントしか出せません(私も記事以上の情報を持っているわけではないので)。それではつまらないので、もう一つ最新情報にインスパイアされたお話を。

最新号(2008年10月号)のパテント誌は「知財コンサルティング」特集でした(相変わらず記事公開は2ヶ月遅れなので、とりあえずリンクだけ張っておきますが、今はまだ公開されていません)。このところ、日本弁理士会は新たにコンサルタント検討委員会を設立して弁理士が知的財産コンサルタントとして営業する可能性について検討を開始しています。特集記事は、この委員会が中心となって知財コンサルティングとは何かというそもそも論から始めて、知財コンサルティングに必要なツールとしてのパテントマップ作成ソフトの紹介や、知財コンサルティングを行うためのスキルを養う場としての知財ビジネスアカデミーの体験記まで記事の本数としては結構な数がありました。知財ビジネスアカデミーでは有名人となっている東京大学の妹尾特任教授や、弁護士・弁理士ながら知財コンサルティングの草分け的存在として知られる鮫島先生の寄稿もありました。

ただ、全体を読んで何となく未消化な部分が残ったように思います。それは、そもそも知財コンサルティングとは何かという根本的なところの定義がきちんとできていないからかも、と思えたのです。それもそのはず、多分書いている人本人が知財コンサルティングを行っていないからだろうと思うのです。

確かに、前の記事で紹介したように、弁理士業界は知的財産コンサルタントに対する期待感でいっぱいです。しかし、現実に中小企業が知的財産コンサルタントを依頼する相手としてまず思い浮かべるのは弁護士であり中小企業診断士ではないかと思えるのです。弁理士の知名度はそれほど高くありません。弁理士を知っていてもそれは発明を創出してからの出番であり、例えば発明相談に行ったら弁理士がいた、というコンタクトの仕方なのではないでしょうか。当然、弁理士業界としたらそれでは困るわけです。では、どうするか。これは政策的な問題であり特集記事には書くべきことではないのかもしれませんが、まだそのレベルの議論は煮詰まっていないように思えました。

また、知財ビジネスアカデミーは、HPを見ていただければわかるように、決して知的財産コンサルタント養成講座ばかりをやっているわけではありません。しかし、体験記を知的財産コンサルタントの特集記事に入れ込んでしまうと、何か筋違いのように思えてきます。

ということで(強引にまとめてしまうと)期待して読んだ割には知財コンサルティング特集としては思ったほどまとまりのない記事が多かったです。やはり期待感が先走っているような気がします。それではいけないと思うんですが…。例えば中小企業診断士が実例を示した記事とか、ここ毎年行っている関東経済産業局主催の知的財産戦略コンサルタントの実例紹介の記事とか掲載できなかったんでしょうか。残念です。

コメントをつけようと思っても…

少し前の記事で「知財系BLOGの相互交流を!」と宣言したからというわけではないんですが、パテントサロンの知財系ブログに掲載されているBLOGをあちこち見ています。そうすると、どうもこの方は誤解されているなぁ、とか、ちょっと理解が足りないなぁ、とか思うことが結構あります。一々コメントで「これはこうなんですよ」と指摘するのも揚げ足取り的なのでやらないでおこうと我慢しつつも、「おぼしき事言わぬは腹ふくるるわざ」(徒然草)というわけで我慢できずにこのBLOGに書いてしまうわけです。

BLOGというのは突き詰めれば個人的日記ですから、何を書こうと個人の裁量に任されています。しかしながら、BLOGがこれだけ広まってしまうと、BLOG発の情報発信が大量に行われており、しかも、あるBLOGの記事が世論形成の端緒にならないとも限らない状況にあります。こう考えると、気楽な記事ならまだしも一定の意見なり見解なりを述べる場合は、たとえBLOGであっても事前の調査が必要ではないか、と思うのです。かくいう自分も、日頃から結構過激な発言を続けていますが、書くにあたってはそれなりの事実関係を確認して自分の見解に誤解がないように、また、理解不足で間違った結論に至ることがないように注意をしているつもりです。

でも、健全な社会のためには間違っていることは間違っているとコメントで指摘した方がいいんでしょうか…小心者の私はどうしても怖がってしまいます(とは言え、このBLOGへのコメントは大歓迎ですのでお気軽に)。coldsweats01

弁理士と他団体との関係

本年度は日本弁理士会の次期会長選出に当たって選挙が避けられない様子です。と書くと不思議に思う方も多いかもしれません。日本弁理士会に所属する弁理士は、任意団体である複数の派閥のいずれかに属している人がかなりの数おり、今までの会長選出に当たっては各派閥間の調整により候補者が事前に絞り込まれ、結果的に無選挙で選出される場合が大半でした。こう書くと自民党より世代が古いと思われそうですね。今回も派閥間による事前調整がされて候補が一本化されそうだと思っていたのですが、その間隙を縫って派閥による応援がされない候補がもう一人出馬して一騎打ちになりそうな気配です。このBLOGはもとよりいずれを応援するという目的のものでもありませんし、選挙活動に巻き込まれるのも嫌ですから、会長選挙に関して直接的にコメントをすることは避けます。とは言え、自分は色々なしがらみから派閥に属しているので、何らかの意思表示はしないといけないわけですが。coldsweats01

会長候補の方のHPはこちらこちらにあります。後者の方は企業弁理士の経歴が長く、産業界でもかなり名の通った方です。当然、知財業界ではこの方のお名前を知らないともぐりと言われそうな、知名度の高い方です。この方の主張の中に、「産業界の各種団体との積極的交流」や「特許庁、経産省等の官庁への対応」という項目があります。曰く、経団連や知財協との積極的交流を図る、特許庁、経産省等の官庁に対して産業界と連携して対応する、などなど。

自分が考えるに、経団連(知的財産委員会という委員会があります)及び知財協が日本弁理士会を見る目はそれほど温かいものではなく、代理人の一団体に過ぎない、という印象があります。経団連の知的財産委員会が日本弁理士会の執行部と意見交換をするのは大抵年1回程度ですし、これも日本弁理士会側からリクエストして実現するように見えます。知財協はまだ日本弁理士会とのチャネルを持っていますが、やはり業務を依頼する側と依頼される側という立場の差を引きずった交流になっている場合が多いように思います。それを身をもって体験してきたのは、他ならぬ後者の方のように思えるのです。これを本当に変革できるのでしょうか。当然、だからと言って後者の方が日本弁理士会の会長にふさわしくないと言った議論はしません。

同様に、特許庁が日本弁理士会に何らかの形で相談することはそう多くありません。特許庁は日本弁理士会の指導官庁という立場にありますから、全般的に特許庁が日本弁理士会に関与する場合でもそういった物の見方をするように思っています。特許庁は経産省の外局ですから、経産省は推して知るべしかもしれません。

こういった立場の差は、今までの日本弁理士会と他の団体、官庁との伝統的な付き合い方による部分も大きいと思いますし、加えて、弁理士自体がそれでよしとしていた部分がどこかにあるのではないか、とも思います。さらに、弁理士が抱えている構造的問題もあるかもしれません。どういう事かと言えば:弁護士と比較した場合、弁護士は法律全般の専門家であり、判例に対する知識も豊富で企業法務部はその知識に依存する部分が大きいです。従って、企業法務部は弁護士に対して一定の敬意を払い、その付き合い方も対等に近いものになるように思います。一方、弁理士は権利形成に関する部分(及び一部の訴訟に関する部分)についてのみ専門家であり、企業知財部が行う業務から比べると一定の部分しか業務を依頼することがありません。コストパフォーマンスの観点から権利形成業務を依頼する企業もかなりいるのではないでしょうか。こうなると、企業と弁理士との付き合い方は業務を依頼する側と依頼される側という立場に基づいたものになります。

これを変革するには、やはり「弁理士に頼んで良かった」と思われる専門性の向上が必須となります。ただ、これは必要条件であって十分条件とは言えません。上に書いた構造的問題は避けられないわけです。弁理士が知財業務全般にわたって専門家と言えるほど能力が向上するには時間がかかりそうです。ちょっと、ここから先は自分にもいいアイデアがありません。本当、難しいです。

ワールドビジネスサテライトでの特許特集

パテントサロンでも紹介されていたとおり、ワールドビジネスサテライトにおいて「休眠特許をめぐる国際的な争奪戦を追う」という特集が放映されました。録画してじっくり見ようかとも思ったのですが、丁度その時間にテレビの前にいたのでライブで見てしまいました。

内容は、確かに休眠特許というキーワードを軸に特許流通と(予想通り)インテレクチャル・ベンチャーズ日本進出の話でした。詳しくは、工業所有権情報・研修館が主催している特許流通アドバイザーが中小企業に休眠特許を仲介する話と、地方大学に埋もれている発明を(これは休眠特許とは言えないですね)如何に事業につなげるかという話と、インテレクチャル・ベンチャーズがこのような埋もれている発明に対してファンドを設けて投資をする事業を日本で正式に展開することを発表した話と、甘利元経産相大臣が大臣時代に日本版インテレクチャル・ベンチャーズを官民一体で展開する構想を立ち上げた話(この政策提言に書いてあります)でした。

全体を通して「埋もれている発明」ということでは統一されている気がするのですが、特許流通アドバイザーが行っているのは技術仲介または特許流通という観点であるのに対して、インテレクチャル・ベンチャーズが行っているのは埋もれている発明に対する投資ですので、既に登録されている特許をどのように活用するかという話と、発明創出環境を投資により活性化する話とが一連に議論されていてちょっと気持ちが悪かったです。インテレクチャル・ベンチャーズについてはパテントトロールもどきという捉え方ではなく、発明に対する投資ファンドという紹介がされていました。現実に、インテレクチャル・ベンチャーズがこの間行ったお披露目パーティーではこの話が中心だったようなので、正しい捉え方と言えます。

ちなみに、インテレクチャル・ベンチャーズが投資検討先に対してどのような方向性及び手段で発明を進め、これを事業化するかということについて提案書を作成していることについて「これぞ知財コンサルタント業務」と言っているBLOG記事がありましたが、これは見方がちょっと違うと思っています。ファンドが投資先に対して様々なアドバイスを行うのは、投資効率を向上させるための日常的な業務であり、これをもってインテレクチャル・ベンチャーズが知財コンサルだと考える根拠にはなりません。しかも、知財コンサルタントはコンサル業務そのものが収入源であるのに対し、ファンドは投資した金銭が何らかの形でリターンを生むことを目的としているのであり、アドバイスそのもので金銭を得ることは考えていないでしょう。ただ、提案書を作成するには技術に関する「目利き」が必要で、これは生半可な形では得られないものです。インテレクチャル・ベンチャーズにはその背後に世界的な学者が控えているようですし、CEO自体が元マイクロソフトのCTOですから、この点は大丈夫そうです。

あと、インテレクチャル・ベンチャーズが外資系であるから日本初の発明が外資に乗っ取られるのではないかといった見方もあったようですが、今のところインテレクチャル・ベンチャーズが短期的な収支合わせのために発明を売り払う方針ではなく、中長期的に発明を育てる様子ですので、単純に外資に乗っ取られるといった見方は一方的のように思います。

ただ、そうは言っても、私の前の記事にも書いたとおり、インテレクチャル・ベンチャーズはまだまだ背後に何が控えているかよくわからないので要注意だとは思っています。

コンサル業務へ挑む弁理士業界

このところ公私ともに多忙でBLOGの更新もままならない状態にありました。少し落ち着きましたので、ぼつぼつたまったネタを書き連ねていこうと思います。本日は、「コンサル業務へ挑む弁理士業界」なる記事があったので、これに関して。

この記事では、弁理士が今まで権利形成業務に注力していて、しかも大企業を相手にしていて中小企業は割が合わないから敬遠していたけれども、弁理士も競争時代に突入しているし知財コンサルにふさわしい人材もどんどん弁理士になっているのでこれから注目、というまとめ方をしています。う~ん、まあ50%位は合っているでしょうか。

特許事務所経営または勤務の弁理士にとって、確かに大企業相手の商売は件数を稼げるし安定した収入が得られるというメリットがあります。しかし、大企業はボリュームディスカウントを大抵の場合要求してきます。中小企業の場合、弁理士側に価格決定権があるので1件ごとの報酬はかなりのものを期待できます(上の記事に書いてあるように、既に標準報酬表は独占禁止法違反の疑いがあるので廃止されています)。また、電機業界のように大量出願をしていた企業が、最近は国内出願を厳選して外国出願に注力している現状に鑑みると、大企業頼りで業務を進めて行くには将来性に若干の不安があります。中小企業は今まで弁理士業界全体で見れば未発掘な部分が相当ありますので、将来性のある市場と言えます。さらに、大企業の場合、発明発掘の段階に関与できる場合はほとんどなく体裁が整えられた発明報告書が機械的に送られてきて業務依頼がされますので、発明を育てようという真面目な考え方をする弁理士にとっては不満が残る場合が多々あります。中小企業の場合、かなりの確率で発明相談から始まりますから、発明創出の現場に深く関与することができ、知的創造サイクルのかなりの部分に弁理士が寄与することができます。こう考えると、特許事務所経営または勤務の弁理士が中小企業に重心をシフトすることは結構容易に想像できることです。

問題は、(このBLOGでも何度かお話ししているように)知的財産コンサルタント業務そのものが、特許事務所経営または勤務の弁理士に適しているかどうか、ということです。上述の記事ではシンクタンク構想が紹介されており、確かにシンクタンク構想は委員会レベルですが俎上に載っていて詳細な議論がされているようです。このシンクタンクが知的財産コンサルタント業務に必要な知識なりツールを弁理士に提供することで、弁理士が知的財産コンサルタント業務を行いやすくすることを考えているようです。しかし、本当にそれで弁理士なら「誰でも」知的財産コンサルタント業務をできるのでしょうか。

知的財産コンサルタント業務そのものがまだ始まったばかりの業務ですから、何をすれば知的財産コンサルタント業務なのだと言える標準的な業務が認知されているわけではありません。5年ほど前に私が知人らとともに立ち上げを検討していた知的財産コンサルタントファームは、自らは権利形成業務を行うことなく、その企業の知財に関するアドバイザリースタッフとして、時にその企業に知財部がなければ外部知財部として機能し、権利形成業務については外部特許事務所を紹介し、この特許事務所の権利形成業務そのものもチェックするようなことを考えていました。自分としては今もこの概念が知的財産コンサルタント業務だと思っています。しかし、この概念からすると特許事務所は単なる下働きであり、特許事務所がこの機能を付加することは結構な自己撞着に陥るのではないか、と思えるのです。

そもそも、知的財産コンサルタント業務を遂行するに当たり、例えば「出願せずにノウハウにしておきましょう」「費用対効果を考えると出願件数は適切な数に抑えましょう」といった判断を行うことは当然に考えられることですが、この発想は権利形成業務を主たる業務としている弁理士にできる発想であるかどうか、難しいところです。これは、報酬体系が権利形成等の手続単位になっているので、無形とも言えるコンサルテーション、アドバイスに対する報酬をどのように請求したらよいか、という戸惑いにも基づくものであると言えます。

ですから、特許事務所経営または勤務の弁理士に対しては、知的財産コンサルタント業務を安易に考えて欲しくないと願うのです。立ち上げ時にあまりよくない評判が立ってしまうと、後に続く者は辛い道を歩まなければなりません。

それにしても、シンクタンク構想は個人的に興味がありますね。できたらシンクタンク員になってみたい…happy01

自動車産業とAV機器産業と

先ほど終わったワールドビジネスサテライトで、トヨタ自動車の渡辺社長をお呼びして自動車業界のことについて話をしていました。その中で新興国市場について特集があり、例えばインドを例に取れば、インドの購買力からすれば小型車(以前このBLOGでタタ社のナノを取り上げたように)を投入できるかどうかがシェアを確保できるキーであり、トヨタは現時点では小型車を投入できていない(カローラですら高級車扱いですから)のでシェアが確保できていないが、これから新設計の小型車をインドで生産してシェア拡大を図る、という話がありました。

購買力によって売れるものが違うというのはごく自然の話であり、AV機器メーカーを例に取れば日米欧市場では薄型テレビばかり売れていますが、新興国市場では未だにCRTテレビが売れている(当然、薄型テレビの需要も上向きになっていますけど)わけです。トヨタがインドに新設計の小型車を投入する判断をしたのは、インド市場をやっと重要視し始めた証だと思います。スズキはもう遙か前に現地企業と合弁で小型車(日本で言えば軽自動車クラス)を生産し、インド市場のシェアの半分近くを確保しているわけです。

こうなると、全世界的に見ると、自動車産業で言えば日米欧市場では次世代自動車、例えばハイブリッドカー、電気自動車、燃料電池自動車の開発を進め、新興国市場ではガソリン・ディーゼル自動車をいかに安価に生産するかに専念するというかなり多極的な戦略をとらざるを得ないと思われます。AV機器メーカーの場合、日米欧市場であれ新興国市場であれ、例えばテレビであれば段々と薄型テレビに切り替わっていきますから、新規R&Dという側面では薄型テレビに集中できるわけです。グローバルに見てイノベーションの進行速度が違うというか方向性が微妙に違うというか、ちょっと面白い現象です。

で、本当は知的財産の話もしないとこのBLOGのお題に適わないんですが、インドの特許出願の特徴とか調べないとわからないのでとりあえずここまでで失礼。すいません。m(_ _)m

中国のITセキュリティ機器の強制認証について

今日は、何回か前の記事で「書きたいけど今はよくわからないので」と見送った、中国におけるITセキュリティ機器の強制認証について、それからあまり動きがないので現状わかっている範囲のことについて書くことにします。

そもそも、中国には強制認証制度(China Compulsory Certificate)という制度があります。制度の詳細についてはこのページをご覧ください。現状の強制認証制度は、例えば電磁波輻射であるとか安全性の問題であるとか機器内部の問題ではなく機器全体として安全性があるかどうかといった観点から認証を行う制度で、現在問題になっているソースコードの開示と言った知的財産的な問題はないように思われる制度です。

しかし、今回の中国の発表は、この記事に書いてあるように、ITセキュリティ機器について詳しい製品情報を中国当局に開示して認証を得ないと中国国内でITセキュリティ機器そのものを販売できない、というもののようです。詳しい製品情報にはソースコードの開示も含まれる可能性が非常に高いわけです。このような態度に出た背景としては、中国はインターネット上で流通している情報の内容について神経を尖らせており、例えばファイヤーウォール機器であればその内部がブラックボックス化されている状態では中国当局がその情報を解読する際に困難であるから内部を開示せよ、と考えている節があります。

当然、企業にとってはソースコードの開示は是非とも避けたい事態です。しかも、中国当局がいくら秘密保持を謳ったとしても、中国という国は官民の区別が曖昧な国ですから、情報がいつ中国の民間企業に渡るとも限らないわけです。これでは重要な知的財産権を中国にみすみす無料で手放す事態になってしまいます。

対応策としては、各国が協調してこのような強制認証制度に断固反対していくことだと思うのですが、中国という巨大市場をみすみす手放す結果にもなりかねず、また、中国のITセキュリティ機器業界がかなり技術的に力を付けている現状では、中国に対してITセキュリティ機器を輸出しないという締め出し行為をしても何らかの形で中国の企業はキャッチアップをしてくるでしょうから実効力に欠ける虞があります。中国を何とか思いとどまらせるにはどうしたらいいのか…過去、中国は何度も業界標準あるいは国際規格に対して中国独自規格(例えばEVDWAPI)を制定することで海外製品の締め出しを意図してきましたが、結果的に成功しているとは言えません。特に、中国のIT産業が海外輸出を目的とするならば国内と海外とで違う規格を採用することは決して望ましいことではないでしょう。中国当局の冷静な判断を期待したいところです。

財界人の会議にスタッフとして出席しました

今日は、知財担当の役員が、日米の財界トップが集まる会議で知的財産権に関して討議するセッションのパネリストとして招かれたので、スタッフとして参加してきました。この日のため、プレゼン資料及びスピーチ原稿を1ヶ月以上前から準備してきて、やっとこの日が来た、という感じがしました。それ以外にも、今月の初めには知財部門の部門長が他の企業に招待されて我社の知財戦略、という題で講演したプレゼン資料を作り、さらには大学の寄付講座で講義をするプレゼン資料を準備していたりして、ここ数ヶ月は部長以上のプレゼン資料作成にひたすら邁進しています。

話を戻しましょう。本日の知的財産権セッションでは、主にパテントトロール問題、そしてパテントトロール問題を解決する手段を含む米国の特許法改正(特許改革法案)、特許法改正の方向性としての日米の特許制度のハーモナイゼーション、そして模倣品対策と現在の知的財産権制度の諸問題が議論されました。なかなか盛りだくさんです。

パテントトロール問題についてはこのBLOGでもかなり記事にしましたし、対策についてもやはり法改正だよね、という議論になりましたのでここでは長く述べません。

特許改革法案については、あまりこのBLOGで取り上げてこなかった(全然見通しが付かなかったので)問題です。特許改革法案の概説は、全然知財関係ではないサイトに非常にいい記事があったのでご紹介します。今日集まったパネリストはIT関連の人が多く、特許改革法案についてどちらかというと推進派が多かったです。特許改革法案の一番の目玉となるのが、パテントトロール対策としての賠償金の高騰に一定の制限を加える取り組みです。当然、特許権の効力に一定の制限を与えることになりますから、医薬品業界は全般的に反対の意見を示しています。パテントトロール問題自体が今の特許制度の限界を示していると言えますので、エレクトロニクス産業に属する自分としては是非現行の特許改革法案を採択して欲しいと思うのですが…既に米国は大統領選に突入して議会も特許改革法案の採択にあまり熱心ではないので、来年仕切り直し、という感じです。

ハーモナイゼーションについては、特許改革法案の中に先願主義への移行が謳われていますのでこれが実現すれば大きなハーモナイゼーションになりますが、実務家としてはむしろ特許審査ハイウェイに見るような出願→審査→登録に至る手続のハーモナイゼーションが実現する方がメリットがあります。会議では、日本または米国で審査され登録された特許は自動的に他方の国でも登録を認める、特許の相互承認制度を導入すべきとの提言がされました。これが実現されると権利形成手続の簡素化がされるとともに登録の見通しの透明さが増し、大変好ましいです。

模倣品対策については私はどちらかというと門外漢なので今までもこのBLOGで取り上げてこなかった議題です。模倣品は今まで発展途上国を中心として製造され、全世界的に流通してきましたが、最近はオークションサイトというインフラが整備された関係で、先進国における模倣品対策が非常に重要になってきています。

全体的に会議は成功裏に終わり、スタッフとしてはほっと胸をなで下ろしましたhappy01。どっと疲れが出たのでちょっと休みたいところですが、依然としてプレゼン資料作成作業は継続しているので全然休みが取れません。う~ん、困った。bearing

知財系ブログの相互交流をしましょう

今日は短めで。

このBLOGは、パテントサロンのパテントリンクの知財系ブログというところに紹介されています。このリンクからこのBLOGに来ていただいている方も多いかと思います。この知財系ブログに紹介されているBLOG、結構な数があります(実数を数えてみたことはありませんが)。他に、ロボットエンジン等で検索しているのか、お願いをしていないのにご丁寧に新着記事があると掲載していただいているサイトがあります。このサイトを見ていると、知財関係のブログがものすごい量あるのがよくわかります。

知財系ブログがこれだけの数あるのですが、自分も含めてブログの著者の間でトラックバック(トラックバックって何?という質問はしないでくださいねhappy01)をするとか記事の引用をするとか(感想も含めて)あまり交流がないな、という感想があります。自分のBLOGの場合、かつては限られた方だけに公開していた関係があり、トラックバックは自分のBLOGが公になってしまうのでご遠慮いただいていた経緯があるので、今も何となくトラックバック禁止にしています(Googleからも見え見えですので今更トラックバック禁止を継続していても大した意味がないんですがcoldsweats01)。

知的財産というのは独占排他権を背景にしているのですが、一方で知識の流通のためには知識を一カ所に固定して流動化させないのは知の衰退を招きます。従って、知的財産は活用してナンボ、という側面を持っているのも事実です。こう考えると、知的財産を扱っている人こそ自分の知識を流動化させ、他人の知識も上手に利用するべきではないか、と思います。Mashupといったことまでは要求しませんから、知の交流がもっと広がることを期待します。

でも、もしかしたら、著作権を知りすぎているがために引用をできるだけ避けようという考えがあるとか…?smile

パテントトロール雑感(追補その2)

今日(もう昨日か)はインテレクチャル・ベンチャーズ日本の設立パーティーが開催されているそうです。私ごときの平社員は招待されるわけもなく、どんな豪華なパーティーが開かれているんだろうと想像力を逞しくして考えてしまいます。

これと前後して、インテレクチャル・ベンチャーズ日本のサイトも開設されたようです。このサイトではインテレクチャル・ベンチャーズが社内外の発明者に対して発明を評価して投資することが強調されています。しかし、このBLOGの記事で以前書いたように(この記事の中の資料もご参照ください)、インテレクチャル・ベンチャーズは特許登録前の発明に対して投資するばかりでなく、市場に流通している特許を積極的に購入し、巨大な特許ポートフォリオを形成してライセンス料を徴収しているということのようです。パテントトロールは積極的に特許訴訟を提起しますが、インテレクチャル・ベンチャーズは訴訟を提起する以前の段階で巨大な特許ポートフォリオの存在感を持って他社にライセンスインを促しているとも言えます。このあたりの経緯が、最近のウォールストリート・ジャーナルに記事になっています(インテレクチャル・ベンチャーズのサイトにRelated NewsとしてReprintが掲載されています)。

パテントトロールはその横暴とも言えるやり方によって世間から非難を受け、法的規制を受けるような流れになっています(現在頓挫している米国の特許改革法案の一部はパテントトロール対策と言えます)。インテレクチャル・ベンチャーズは多分そういった非難を受けるやり方をせず、ひたすら巨大な特許ポートフォリオの存在感により企業に対して無言のプレッシャーをかける戦略なのだろうと思います。その方がよほど賢いと言えます。全貌がなかなか見えない中、インテレクチャル・ベンチャーズの今後を注意深く見守りたいと思っています。

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