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弁理士と他団体との関係

本年度は日本弁理士会の次期会長選出に当たって選挙が避けられない様子です。と書くと不思議に思う方も多いかもしれません。日本弁理士会に所属する弁理士は、任意団体である複数の派閥のいずれかに属している人がかなりの数おり、今までの会長選出に当たっては各派閥間の調整により候補者が事前に絞り込まれ、結果的に無選挙で選出される場合が大半でした。こう書くと自民党より世代が古いと思われそうですね。今回も派閥間による事前調整がされて候補が一本化されそうだと思っていたのですが、その間隙を縫って派閥による応援がされない候補がもう一人出馬して一騎打ちになりそうな気配です。このBLOGはもとよりいずれを応援するという目的のものでもありませんし、選挙活動に巻き込まれるのも嫌ですから、会長選挙に関して直接的にコメントをすることは避けます。とは言え、自分は色々なしがらみから派閥に属しているので、何らかの意思表示はしないといけないわけですが。coldsweats01

会長候補の方のHPはこちらこちらにあります。後者の方は企業弁理士の経歴が長く、産業界でもかなり名の通った方です。当然、知財業界ではこの方のお名前を知らないともぐりと言われそうな、知名度の高い方です。この方の主張の中に、「産業界の各種団体との積極的交流」や「特許庁、経産省等の官庁への対応」という項目があります。曰く、経団連や知財協との積極的交流を図る、特許庁、経産省等の官庁に対して産業界と連携して対応する、などなど。

自分が考えるに、経団連(知的財産委員会という委員会があります)及び知財協が日本弁理士会を見る目はそれほど温かいものではなく、代理人の一団体に過ぎない、という印象があります。経団連の知的財産委員会が日本弁理士会の執行部と意見交換をするのは大抵年1回程度ですし、これも日本弁理士会側からリクエストして実現するように見えます。知財協はまだ日本弁理士会とのチャネルを持っていますが、やはり業務を依頼する側と依頼される側という立場の差を引きずった交流になっている場合が多いように思います。それを身をもって体験してきたのは、他ならぬ後者の方のように思えるのです。これを本当に変革できるのでしょうか。当然、だからと言って後者の方が日本弁理士会の会長にふさわしくないと言った議論はしません。

同様に、特許庁が日本弁理士会に何らかの形で相談することはそう多くありません。特許庁は日本弁理士会の指導官庁という立場にありますから、全般的に特許庁が日本弁理士会に関与する場合でもそういった物の見方をするように思っています。特許庁は経産省の外局ですから、経産省は推して知るべしかもしれません。

こういった立場の差は、今までの日本弁理士会と他の団体、官庁との伝統的な付き合い方による部分も大きいと思いますし、加えて、弁理士自体がそれでよしとしていた部分がどこかにあるのではないか、とも思います。さらに、弁理士が抱えている構造的問題もあるかもしれません。どういう事かと言えば:弁護士と比較した場合、弁護士は法律全般の専門家であり、判例に対する知識も豊富で企業法務部はその知識に依存する部分が大きいです。従って、企業法務部は弁護士に対して一定の敬意を払い、その付き合い方も対等に近いものになるように思います。一方、弁理士は権利形成に関する部分(及び一部の訴訟に関する部分)についてのみ専門家であり、企業知財部が行う業務から比べると一定の部分しか業務を依頼することがありません。コストパフォーマンスの観点から権利形成業務を依頼する企業もかなりいるのではないでしょうか。こうなると、企業と弁理士との付き合い方は業務を依頼する側と依頼される側という立場に基づいたものになります。

これを変革するには、やはり「弁理士に頼んで良かった」と思われる専門性の向上が必須となります。ただ、これは必要条件であって十分条件とは言えません。上に書いた構造的問題は避けられないわけです。弁理士が知財業務全般にわたって専門家と言えるほど能力が向上するには時間がかかりそうです。ちょっと、ここから先は自分にもいいアイデアがありません。本当、難しいです。

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知的財産/特許」カテゴリの記事

コメント

とうとう見つかってしまいましたかcoldsweats01どうも、お久しぶりです。

私も企業勤務とは言え弁理士の端くれですので、他団体との交流、専門性の向上といったことに悩んでいることは事実です。ただ、意識のある弁理士とそうでない弁理士との間に見えない溝があるようにも思うので、全体的な底上げはどうしたらいいものか、ここが悩みのしどころです。

ブログは深夜自宅でこつこつと書いているので、書いているうちに眠くなって議論を中途半端で終えてしまうことが多々ありますcoldsweats01今回も、本当はもっと深く議論しなければ、と思いつつも睡魔に負けて筆を置いてしまいました。いいアイデアが思いついたら、またこのブログで書くなりメールしますので、気長に待っていてくださいhappy01

Toshiさん、お久しぶり!
ブログ見つけました。
よくご理解頂いているなぁー、
と思って読んでたら、なんだぁって感じです。
他団体との交流、専門性の向上、ご指摘の通りです。
何とかしなくては、と現在矢面に立たされて苦労しています。
是非、お知恵を拝借させて下さい。

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