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2008年11月

「オープンイノベーション」を読んで

買ってはいたんですが、やっと「オープンイノベーション」の本を読むことができました。今までこのBLOGで散々オープンイノベーションのことを議論していながら、本を通読できたのがやっとというのが恥ずかしいです。coldsweats01

で、感想を。オープンイノベーションへの流れが現在起こっていることは非常によく理解できたのですが、なぜオープンイノベーションであるのか、という理論構成はちょっと甘い気がしました。この本、訳がよろしくないとの噂もあるので、もしかしたらこのあたりに理由があるのかもしれません。

オープンイノベーションの対極にある、全ての技術開発を自社内で行うクローズドイノベーションの例としてXeroxのPARC(パロアルト研)が紹介されていました。このPARC、現在のコンピュータで採用されているGUIとかマウスとかを先行して研究開発したのに結果的にXeroxに何ももたらさなかったこと、また、Ethernet技術、Postscript技術に関しては3Com、Adobeという今では大企業となっているベンチャー企業がPARCでの研究開発成果を元に起業していることもあり、この本に限らずなぜPARCはイノベーションのマネジメントに失敗したのだろうという議論はあります。この本では、クローズドイノベーションの限界という例としてPARCが紹介されていますが、私はクローズドイノベーションの問題というよりもコピー機メーカーであるXeroxがコンピュータサイエンスの最先端を研究し、これを市場に投入するという企業のカルチャーそのものを大変革しないといけない事態にありながら、コピー機メーカーの殻をXerox自体が脱することができなかった技術開発マネジメントの問題ではなかろうかと思います。だから、PARCがクローズドイノベーションの限界を示しているというのは今ひとつ納得がゆきませんでした。

また、それまでの企業がクローズドイノベーションに固執していたような記述がありますが、例えば電機メーカーでは自社の技術開発結果を標準化、フォーマットという形で他社にライセンスすることがかなり前(フォーマットという意味では20年以上前から)からありますので、自社の技術開発結果をライセンス料を受け取ることで利益に結びつけていた例は結構前からあります。従って、企業がクローズドイノベーションに固執していたばかりではないと思えます。

そして、オープンイノベーションに至った理由として人材の流動化などが挙げられていますが、私が考えるに、人材の流動化というのは昨今始まった現象ではなく、米国西海岸のシリコンバレーに代表されるように米国においてはここ20年間の現象としてベンチャー企業の企業化の動きが盛んであったわけで、人材の流動化がオープンイノベーションに直接結びつくとは考えにくい面があります。それ以上に、IT産業においてはPCに代表されるように垂直統合から水平分散へとプラットフォームが大きく変化したことが大きいと思えます。PCのプラットフォームはモジュール化が極めて進んでいて、優秀な部品を外部調達すればPCが完成してしまう、という世界になっています。こうなると、全ての技術開発を自社内で行うというまさにクローズドイノベーションは通用しなくなります。外部の優秀な人材なり技術を適宜導入し、自社の得意分野と組み合わせるモデルを採用せざるを得なくなります。

加えて、この本で全く議論されていなかったのが、インターネットにより外部の優秀な発明にアクセスするコストが劇的に低減したことです。むしろ、この点についてはWikinomicsという本のほうが詳細に議論されていて参考になります。オープンイノベーションに向かうインセンティブはインターネットにより大きくもたらされていると言えます。特に、インターネットによる劇的な変化はIT産業のみならず全産業においてオープンイノベーションを誘発する原因となっています。今オープンイノベーションが話題になっているのはこれが一番の理由ではないかと思うのです。

ということで、結構私としては突っ込みどころの多い本でした。ちょっと私はひねくれているのかな?

知的財産専門職大学院

知的財産に関する専門職大学院は、現在日本で2つ(東京理科大学大阪工業大学)開講されています。この知的財産専門職大学院、結構幅広い人材を集めているようです。

ただ、自分にとって幾つか疑問に思えるところがあります。

一つは、この知的財産専門職大学院、育成する人材としてどのようなイメージがあるのか、多岐にわたっていて何となく絞り切れていない気がします。入学した学生さんのプロフィールを見ると、大学から直接入学した人もいるし、企業の知的財産部門に属する人もいるようです。大学から直接入学した人の場合、目標とするのが企業の知的財産部門や弁理士だと思います。このため、知的財産専門職大学院のカリキュラムには特許法などの産業財産権法、知的財産権法といった基礎的な法律に関するものが設けられているようです。一方、企業の知的財産部門に属する人にとっては知的財産に関する専門的な知識を習得することが目的だと思います。従って、知的財産専門職大学院のカリキュラムには、知財戦略等をケーススタディにより学ぶものが設けられているようです。これら両者の目的はかなり異なるものであり、一つの知的財産専門職大学院で実現するにはカリキュラムが多岐にわたりすぎるのではないか、と思えるのです。

もう一つが、知的財産専門職大学院とて大学院教育である一方で研究機関としての機能を持っていると思います。では、知的財産専門職大学院の教員が研究する内容とは何か。企業の知的財産部門で行われている実務に近い内容、例えば知財戦略論のようなものであると、このような内容の最先端は企業の知的財産部門内にあり、簡単にアクセスすることができません。同じような例で考えると、ビジネススクールの場合、経営戦略に関する最先端の情報は企業内にあるのですが、経営戦略論に関する研究の最先端はビジネススクールにあり、この情報を求めに企業の実務家がビジネススクールに通います。そして、このビジネススクールにおいて自身の企業で行っていることをケーススタディとして提供します。ビジネススクールはこの最先端情報を元にさらに新しい経営戦略論を分析、提供します。こういったポジティブスパイラルがビジネススクールには存在します。振り返って、知的財産専門職大学院にはこういったポジティブスパイラルが存在しうるのか。上に書いたように、知的財産専門職大学院に通う人々が最先端情報を持っているとはあまり思えません。こうなると、企業の知的財産部門で行われている実務に近い内容に関する研究は非常に難しいのではないかと推測されます。それ以外の研究となると、法律に関しては知的財産専門職大学院の埒外ですし、知財評価、知財ファイナンスといったところが考えられますが、これとて企業の実務で評価されないと意味をなしません。

個人的には知的財産専門職大学院の存在は歓迎すべきものだと思っているのですが、いかに実用的なものを提供できるか、そして企業の知的財産部門が受け入れられる人材を提供できるか、先行きに不安を感じるのです。

知財戦略を立案するのは誰

知財戦略はどの組織で立案すべきか、という話を部門内の人と意見交換したことがあります。その時の私の考えは、知財戦略は部門全体で立案すべきだ、というものでした。この考えは今も変わっていません。

知財戦略をどの組織で立案すべきか、という議論自体が不思議に思える方がいらっしゃるかもしれません。ある程度の規模の企業になると、知財部門内に戦略を立案する部署が存在します。ですから、当然そういった専門的な部署が知財戦略を立案すべき、というのが実に真っ当な回答であるようにも思えます。

しかし、知財戦略というものをブレークダウンしてみると、その中には、例えば出願件数を今年度は何件にしよう、どの国にどれだけの件数を出願しようといった出願戦略もありますし、どの企業とクロスライセンスを締結しよう、と計画立案するライセンス戦略もあります。第三者案件に関しては訴訟が提起されてしまうと受け身になるので戦略的要素が少ないのですが、いわゆるクリアランスや交渉時点においては戦略的要素が多分に含まれてきます。切り口を変えて、事業部が複数ある場合はその事業部毎に知財戦略も異なってくる可能性があります。全社に共通の研究開発部門がある場合は、この研究開発部門の研究開発戦略に合致した知財戦略も必要となります。このように、知財戦略とは実は非常に多面的な捉え方をできるものであり、専門化された部署があった場合でも情報収集等をする際には知財部門全体の協力なくして知財戦略の立案はできません。加えて、知財戦略の実行局面にたった時点で知財部門全体の協力は不可欠になります。

ですから、知財戦略を立案するのは知財部門全体、という考えをしています。ただ、知財部門の個々の担当者が戦略立案するのはちょっと非効率的ですので、実際に知財戦略を立案するのは知財部門全体の統括職(課長以上くらい)ということになるかと思います。

日本的MOTとは??

今日の話題は全く結論が出ていない話ですので、すぱっと歯切れのいい議論を期待されている方はがっかりされるかも。

私がMOT社会人大学院時代に講義を受けた先生の中に、児玉文雄先生という日本におけるMOT研究の第一人者とも言える先生がいらっしゃいます。最近、著作を2つほど(これこれ)上程されましたので、つらつらと読んでみました。児玉先生が日頃から主張されていることとして、MOTの議論はともすると米国企業の解析を主体とした米国の議論が主体になっているが、日本企業におけるMOTは米国企業のそれと違うので、単純に米国からMOT理論を輸入してもそれは通用しない、ということがあります。どのように違うかというのは結構膨大な理論に基づくので、ここでは比較的単純な一例を挙げて説明します。

米国の場合、多角的に事業を展開している技術系の企業は、その事業に関する技術開発の事業性を厳密に考え、将来性がないと考えると直ちにその技術に関する技術開発を中断してしまいます。一方、日本の場合、プロジェクトXに見られるように時に技術者の個人的な思い入れで、時に企業そのものの採算を度外視したとも言える粘りで技術開発を最終的に成功させてしまう場合がままあります。一番いい例が、RCAが表示装置としての開発を断念した液晶装置をシャープが大画面TVを作り上げるまでに成長させた例が挙げられます。ある意味、日本企業は粘り腰で難関を突破することが得意、とも言えます。

他に、米国の場合、新産業創出はベンチャー企業によって行われることが多いですが、日本の場合、新産業創出は類似する産業を行っていた大企業によって行われることが多いです。一番いい例が、米国ではパソコン産業はベンチャー企業によって創出されましたが、日本ではメインフレームを手がけていた大企業がその流れでパソコン産業を手がけました。

こう考えると、確かに米国的MOTと日本的MOTとの間には相違があるようにも思えます。しかし、自分自身は、今現在において米国的MOTと日本的MOTとの差異を議論する意味が段々と失われてきているのではないか、とも思えるのです。

一つには、米国的MOTと日本的MOTとの差異を議論している事例が全般的に古いことがあります。かつては日本企業にも一定の余裕がありましたから、いわゆる「机の下」「密造酒」と呼ばれる上司に内緒で進めるプロジェクトを行うことができました。しかし、現在、技術開発マネジメントは非常に厳密に行われ、そういったアングラ的技術開発が許される環境にはないと思われます。また、経営陣の思い入れに基づく採算を度外視したとも言える長期間にわたる技術開発も株主の目がありますから段々と厳しくなってきています。キャノンが特許問題等様々な苦難を乗り越えてでもSEDを実用化しようというのはキャノンの明確なビジョンに基づくものですが、一方で本業であるプリンタ、カメラ部門がきちんとした利益を上げているから許されるとも言えます。

また、事例が全般的に古いことにも関連して、世間全体がデジタル化、ネットワーク化している現状において、地域的な事情や国民的性向は一つの企業にとって段々と考慮の埒外に置かれる状況にあります。例えば、米国の方がベンチャー企業に向いているであるとか、日本では終身雇用制度が国民的に受け入れられるであるとか。企業はグローバルに行動しますので、ミッション実行にもっとも適切な場所を選びます。加えて、このBLOGでも何回か議論してきたように、オープンイノベーションの時代においてMOTの方法論に国境を設けることに特段の意味を感じないように思えます。

では、国際的に通用するMOT論とは何か…こんな難しいことに答えが出せたら私は大学の教授になれるかもしれません。coldsweats01

SamsungやLG電子の訴訟に思う

このところ、SamsungとLG電子が相次いで特許訴訟の被告になっています。個々の事情は違うでしょうが、ある意味でこれまで成長を続けてきていた韓国大企業に対する特許訴訟の嵐が始まったのかもしれません。ニュースの詳細についてはパテントサロンをご覧あれ。

Kodakとの訴訟は、ニュースを見る限り携帯電話のカメラに関するもののようです。Kodakは、未だにフィルムメーカーとしてのイメージが強いですが、以前このBLOGでも紹介したように、米国ではかなりのシェアを有するデジカメメーカーです。しかも、デジカメの開発を開始したのも古く、デジカメに関する有力な特許を結構保有しています。今回、Kodakはデジカメそのものではなく、携帯電話のカメラ機能について訴訟を提起しているようです。これはなかなか正解で、Samsung Techwinのデジカメが売れているとは言え世界的シェアはそれほど高くなく、むしろ、世界第2位及び第5位(LGは最近の四半期で一気にシェアを落としたようです)の販売量を有する携帯電話に絞り、ボリュームを狙ったと言えます。SamsungにしてもLG電子にしてもデジカメに関する有力な特許(携帯電話に絞ったとしても)を有するとは到底思えないので、訴訟方針としては非侵害、特許無効の2面で戦うことになるかと思います。ニュースによるとSamsungとLG電子はKodakとずっと交渉をしていたようですが、これが決裂した様子です。こういったことはままあることで、交渉が膠着した場合には状況を打開する目的で訴訟が提起されることは結構あります。ただ、訴訟を提起して双方後に引けない状況になった場合、弁護士費用を含む訴訟費用は莫大になりますので、できたら訴訟提起前に決着した方が合理的ではあります。

Spansionという会社は、調べてみるとAMDと富士通の合弁会社でした。なるほど、これならフラッシュメモリーに関する有力な特許を持っていても不思議ではないですね。今回の訴訟の対象になった特許はSpansion社のHPでも宣伝されているほどの技術の様子で、Samsungにしても知らなかったでは済まされない問題のように思われます。しかも、今回の訴訟はSamsung社のフラッシュメモリーを搭載した他社製品に対する輸入差止請求まで付加されているようで、訴訟規模としてはものすごいものになりそうです。こういった場合、納入会社としては納入先に対して特許訴訟の肩代わりを打診しますので、Samsungとしては膨大な訴訟を抱えることになりそうです。ただ、同業者間の特許訴訟ゆえ、事前の交渉なり、あるいはクロスライセンス等事前の備えがあってもおかしくないのですが…。

米国での特許訴訟件数は、米国の最高裁ホームページをご覧になればわかるのですが、毎年3000件近い件数があり、まだまだ増加傾向にあります。かつては日本企業がターゲットになることが多かったのですが、これからは韓国企業、そして中国企業がターゲットになるのかもしれません。これはある意味で仕方ないことで、順番に通るべき道であると言えます。

大学の寄付講座その後

だいぶ前のBLOGにも書いたように、今の会社が早稲田大学に知的財産に関する寄付講座をあるIT企業とともに開設しています。今年が3年目になり、昨年度は私は都合があって担当しませんでしたが、一昨年と今年は私が担当しています。今年は10月から開始し、既に2回講義があって明日が3回目の講義です。

知的財産に関する寄付講座を設ける目的の一つは、会社のプレゼンス向上にあります。プレゼンス向上と言っても範囲は広いですが、一つは社会全体に対するパブリシティ的な効果と、もう一つは学内におけるプレゼンス向上です。そしてもう一つの目的は、企業の知的財産実務、特に今の会社の知的財産実務を広く知らしめることで優秀な人材のリクルーティングを図ることです。まだ直接的に寄付講座の講義を聴いたから今の会社の知的財産部門に入社したという話は聞きませんが、間接的には2名ほど早稲田大学から新入社員が入ってきています。

ずっと担当してきて思うことは、近年の学生の知的財産に対する関心が非常に高い、ということです。本来はこの寄付講座、だいたい学部3年を対象としているのですが、特段受講制限を設けていないせいか、1~2年の学部生も受講しているようです。そして、毎年受講者数が増加傾向にあります。もしかしたら楽勝科目として捉えられているのかもしれないのですがcoldsweats01、そうは言っても学生の受講態度を見ると非常に熱心で真摯であり、アンケートを採った結果もそれを裏付ける意見が並んでいます。

この間、指導教授のゼミ生の何人かがが企業知財部門見学と言うことで今の会社の知的財産部門を見学しにきました。出席者の何人かは既に弁理士試験の論文を通過していてそのレベルの高さにびっくりしてしまいました。もっとも、早稲田に限ったことではなく、既に今の会社の知的財産部門に入社する人の中には必ず弁理士試験最終合格者がいる状況ではあるのですが。

ということで、現時点では会社として期待している効果あるいはそれ以上の効果が得られていて寄付講座は大成功、という状態にあります。できたら、何年かさらに続けていければ、と思っています。

プロダクトオリエンテッドな商品企画

知財ブログと言いながらあまり知財のことを話題にしないのは良くないのですが…。

商品企画をする際に、技術オリエンテッドな考え方とマーケットオリエンテッドな考え方をすることがあります。それ以外にも、プロダクトオリエンテッドな考え方をする商品企画があります。単純に言えば、こんな商品を市場に提供したい!という開発者の思いが詰まった商品企画です。一番分かりやすい例としては、それまで録音機能が当たり前に付加されていたテープレコーダーの録音機能を除外してヘッドフォンで高品質の音楽を聴くというコンセプトを実現したソニーのウォークマンとか、ウォークマンがそれまでカセットテープなりCDなりMDなり着脱を前提とした記録媒体を介在して音楽を提供していたのに対してHDという大容量の記録媒体を搭載することで自分が所有するすべての音楽データを持ち運び可能にしたAppleのiPodとかがあります。

技術オリエンテッドな商品企画というのは非常に差異が分かりやすい商品なので、ある意味で商品企画をする際のコンセプトも明確だと言えます。ただ、差異が分かりやすいということが必ずしも商品選択の際にわかりやすい解を提供するとも言えません。社会的にブームを巻き起こすほどの大ヒットになるのは上に書いたプロダクトオリエンテッドな商品企画であることが多いです。

このプロダクトオリエンテッドな商品企画は、わかってしまうとだれもが納得するのですが、そのコンセプトが提供されるまではなかなか思いつかない、いわばコロンブスの卵的な商品企画であるといえます。それだけ難易度が高いのだと言えます。

余談ながら、こういったプロダクトオリエンテッドな商品について特許を取ろうとすると、意外と既存概念の組み合わせのような特許請求の範囲になりがちで苦労することが多いです。どこが新しいのかといえば世の中に今までないから新しいのであり、そんな組み合わせを発想すること自体が新規なのだと言いたいのですが、大抵の場合、特許庁の審査官はそれで納得してくれません。結果的に技術的にどうでもいい限定要件を付加することで登録されることが多いのですが、こうすると特許請求の範囲の内容と商品のコンセプトそのものととの間に食い違いが生じることになります。やはりコンセプト寄りの商品は特許と馴染みにくいのかもしれませんね。

見られていることとやることと

このところ、2~3日にいっぺんのペースでBLOGを更新していたのですが、ちょっと息切れ状態になっているので、少しペースをゆるめることにします。こんな駄文を期待されている方がいらっしゃったとしたら大変申し訳ないです。この2週間、普段にない状態まで体力が落ち、たかが風邪とたかをくくっていたら大変な目に遭いましたwobbly。続けられる範囲で末永く、を目標にしますので今後もよろしくお願いします。今は、ステレオを背にしてお気に入りの25年ものの音楽を聴きながら調子よく文章を書いていますので大丈夫ですhappy02

家が羽田空港の近所にあり、子供が飛行機と何よりモノレールが大好きなので、結構な頻度で羽田空港に行くことになります。大概の場合、飛行場というのは用事があって行くところで、見物に行くところではないのでなんとなく気が引けるところがあるのですが、とは言え行きたいとせがむ子供に負けて行くことになります。羽田空港のお土産売り場は、東京に遊びに来た人たちが故郷に東京土産を買って行くところになりますので、数多くの東京土産が並んでいます。

さて、東京人が考える東京土産とは何でしょうか。私が誰かに「これは東京土産ですよ」と言って贈れるのは、例えばとらやの羊羹、神谷町岡谷榮泉の豆大福、麻布十番浪花屋総本店のたい焼き、亀戸船橋屋のくず餅といったところでしょうか。他に、恵比寿Pastelのプリンとか、赤坂Topsのチョコケーキとかいいですねぇ。ちなみに、浅草常磐堂の雷おこしは自分自身が歯が悪いのでパス。ちなみに、羽田空港で買い物をしている人の実地調査すると、東京ばな奈とかごまだんごとか自分自身がう~んと考えてしまうものが結構売れています。いや、それらを買うのが悪いと言っているわけではないですよ。誤解なさらないように。

(ここから話が急展開して)こう考えると、他人が見ている自分なり誰かの姿と、その本人が思っていることなりしていることというのは結構食い違いがあるのだと言えます。例えば、知財コンサルティングをしていない誰かが考えている「知財コンサルタント」という姿なりイメージは、実際に知財コンサルティングをしている人が日々実践している知財コンサルティングの内容とは結構食い違いがあるのかもしれません。当然、この食い違いを是正すべく努力する必要はなく、結果的に行動が全てを証明してくれるわけです。

たかが東京土産からちょっと飛んだ話になりました。ぼんやりすれ違う観光客の荷物を見ながらこんなことを考えていた、ということです。

考えることやることと

相変わらず風邪で脳味噌が鼻水の中に浮かんでいる感じがして(きたなくてすいません)全然判断能力がありません。しばらくこんな状態で書き込みもぼちぼちになります。

本日も短めで。

考えることとやることは別だと言われます。高尚な言い方をすると理念と行動は別物、ってわけですね。戦略関係もよく言われます。実現不可能な戦略を立てるのは無駄ですし、戦略を立案しても実行してそのチェックを行わなければやはり無駄です。しかし、立案した戦略を適宜チェックしてこれをマネジメントするのは結構難しいです。

知財戦略も同じことです。一番単純な出願戦略であるその年の出願件数にしても、全体件数ありきで決めてからその中のカテゴリー割合を決定するか、あるいは、事業部からのR&Dテーマの御用聞きから始まってテーマ毎に件数を積み上げて全体件数を算出するか、いずれの手法をとったにせよ、年度途中で大抵はこの出願件数に見直しがかかります。計画を上回る勢いなのか、それとも下回る低調なのか、いずれにしても計画の見直しを行うか、あるいは計画達成のために施策をとるかの決断が求められます。そもそも厳密な出願件数の見積は現状の戦略立案スキームでは難しい(発明はハプニング的要素がどうしてもつきまといますので、これを全て排してコントロールすることのほうが悪い結果を招くように思います)と思うので、最初から戦略ありき=件数ありきで物事を考えるのは柔軟性を欠くように思われます。

簡単そうに見える出願件数決めですらなかなか年度内でふらふらしますから、知財戦略全般をとると計画通りにはゆきません。そうは言っても、プロジェクトをどのようにマネジメントするのか(この話、昔このBLOGでしましたね)という発想なくして戦略の実現はあり得ませんから、きめ細かい、かつ日々の努力が必要なのだ、ということに尽きるのだと思います。

技術経営と知財経営(序論、かな)

今日こそ本当に短めに(風邪でふらふら状態)sad

このBLOGで知財経営という話を随分していますが、考えてみると自分は「技術経営修士」なので技術経営と知財経営って話をしてもいいのでは、と自分に突っ込みを入れてみました。でも、技術経営と知財経営はどれだけ関係があるのでしょう。確かに、経営戦略と技術開発戦略と知財戦略の三位一体という話はしますが、まだまだ実践的にこれらを融合した事例は少ないので、実態として見えてこない気はします。

技術経営とは、私なりに解釈すると「自社の技術開発リソースから生まれる技術をmanageすることで会社の経営に貢献する」ことだと思っています。技術経営論自体、生まれてから30年程度しか経っていないはずです。それまで技術そのものはR&D費に対して直線的に比例して進歩するものであり、マネジメントの対象ではないと考えられていた(マネジメントしたからと言って効率的になるとは思われていなかった)ふしがあります。古い経営戦略論では技術経営という項目は考慮されていないようです。現在、技術をベースにした製品を販売している企業にとって経営=技術経営に近い、というか技術経営を考慮しない企業経営は成立しない状態になっていると思っています。

技術経営に対する定義のanalogyで考えると、知財経営とは「自社の技術開発リソースから生まれる知的財産をmanageすることで会社の経営に貢献する」ことになります。manageという言葉からは「知財管理」という言葉が想起されますが、管理とは英語ではcontrolであり、manageという英単語には管理という日本語訳がうまくフィットしません。manageというのはより積極的な活用の側面も含まれています。

ただ、上に書いた技術経営及び知財経営の定義は、技術なり知的財産を所与の対象として考えているきらいが少し強くてあまり気に入っていません。本来は、技術なり知的財産なりの側面から経営を考えたらどうなるんだろう、というもう少し根本的なところから技術や知的財産を捉え、これをいかに経営に資する形にフィットさせるかという議論が必要であるように思います。この発想を展開するのが今後の課題かもしれませんね。技術経営論自体はそれなりの歴史がありますので、その考え方を知財経営に敷衍させることができたら面白いかもしれません。

不景気なときの特許事務所

とてつもない金融不況(恐慌とまではいかないようです)のおかげで全世界的に景気後退局面に至っています。こういったとき、企業は業務効率化を掲げて(リストラだけではないですよ)あれこれと不要経費を削減する努力をします。この、不要経費の中に工業所有権費(出願から中間処理から年金支払いから何から権利化に必要な費用もろもろ)が入ってくるかどうか…昔は景気が悪くなると出願件数を絞り込む企業が結構あったんですが、このご時世、景気の善し悪しで出願件数を絞り込む考えを持っている企業は少数派になっていると思っています。乱雑な議論かもしれませんが、出願件数を絞り込むということは研究開発費を絞り込むのと同義だと思え、景気が悪くなったから研究開発費を絞り込む企業は少数派になりつつあるでしょうから。

そうは言っても、不要不急の出願は絞り込まれるのは自明の理です。大企業から件数をこなしてくれること「だけ」で評価されている特許事務所にとっては、内心穏やかでない日々を過ごすのだろうと思います。そんな事務所があるのかって?まぁ、ないとは言えないでしょうねぇcoldsweats01

随分前から言われていることではあるものの、未だ実現できていないと思われることとして、各特許事務所の特色を出してオンリーワンの特許事務所を目指すということがあります。大企業は時に前年度の半分程度の件数しか出願しないこともありますし、あるいは急激に出願件数を伸ばすこともあります。大企業に対して案件受件を受身で行っている限り、大企業の都合で毎年の受件数が決まり、売上が乱高下します。特許事務所としては安定して優秀な人材を雇用したいのですが、人件費は基本的には固定費として管理不可能に作用しますので、人件費が事務所経営に重荷にならないとも限りません。特色のある事務所、例えば特定の技術に関して非常に優れた明細書を書く事務所や、このBLOGでも何度か取り上げてきたように、中小企業の発明発掘、はては知財コンサルティングまで行ってしまう事務所であれば、大企業からの受件に血道を上げる必要もなく、さらには大企業から選ばれる事務所となって安定した経営が実現できる道が開ける訳です。

特色のある事務所とその他大勢の事務所となるかは、日ごろの努力によるものが大きいでしょう。時に接待という情に訴える手段を取る場合もありますが、あまり効果が長続きしませんね。企業が特許事務所を見る目は年々厳しくなっています。標準報酬額表も廃止されて随分経ちますので、頑張った事務所にはそれ相応の、そうでない事務所はそれなりに、という流れはどんどん進んでいくように思えます。

パナソニックと三洋電機は合併するのか

今日はパナソニックが三洋電機を合併するというニュースが駆け巡っていました。まだ確定的情報ではないので話題にするのも早いかと思ったのですが、家電業界に身を置く自分としてやはり話題にしないのはどうかと思い、現時点でわかっている情報に基づいて考えてみました。

パナソニックが三洋電機を合併するというニュースは、自分にとってなかなか衝撃的でした。というのも、三洋電機はここ数年業績低迷のために事業を分割して身売りして中核事業たる二次電池、太陽電池及び業務用機器(自動販売機とかコンビニ、スーパー用冷蔵ショーケースとか)に集中するものと思っていましたから、事業分割することなく丸ごと身売りするとは思っていなかったからです。実際、中核事業は現時点でも十分世界的に競争力を持っているものばかりですから、わざわざ他社に買ってもらうこともないと思うのです。

パナソニックからすれば、このニュースに書いてあるように、一番のメリットは三洋電機が世界的シェアを誇る二次電池と太陽電池の事業を入手できることでしょう。リチウムイオン電池は確かに三洋電機が世界一のシェアですし、パナソニックのリチウムイオン電池のシェアもかなり高いところにあります。これらが合併することでパナソニック=三洋電機連合はより高いシェアを獲得することができます。また、太陽電池に関しては、パナソニックは最近独自方式による太陽電池のR&Dを中止することを発表していますので、期せずして太陽電池の優秀なR&D部隊を獲得することができるわけです。こう考えると、パナソニックはなかなか目の付け所がいい、と言えなくもありません。

しかし、このニュースに書いてあるように、パナソニックと三洋電機は長年にわたって総合電機メーカーとして競合してきており、半導体や白物家電で重複する事業を抱えています。従って、単純に売上を足し算すると11兆円の売上高と報じられていますが、実際に合併してもこれら重複事業の清算が必要ですから、思ったほどの売上増にはならない可能性があります。

さて、特許的に見ればどうか、ということを書かないといけないですね。2005年の三洋電機の出願件数が3400件ほど、パナソニックが15600件ほどですから(2007年特許庁行政年次報告による)、元々パナソニックは日本一特許出願が多い会社だったのがもっとすごい数になることが予想されます。リチウムイオン電池の特許に関しては、このレポートに見るように三洋電機、パナソニック、ソニーが三強ですから、パナソニック=三洋電機連合になったことにより特許的なポジションは盤石になることが予想されます。太陽電池の特許に関しては、このレポートに見るように三洋電機が3位、パナソニックが7位ですから、トップのシャープには及ばないもののかなり特許的なポジションは上昇することが予想されます。

三洋電機は家電業界再編の台風の目になることは以前から予想されていましたが、このような方向に進むとはちょっと予測できませんでした。果たして今後どうなるか全く予断を許さないところなので、注目していきたいと思います。

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