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2009年3月

MOT社会人大学院の現状

今日は息子と鉄道博物館でまったり楽しんできましたhappy01…ってその話ではなく、昨日、出身のMOT社会人大学院の卒業生の同窓会があったので、出席してきました。本当は午後から記念講演とか総会とかあったのですが、残念ながら所用で出席できず、夕方からの懇親会だけ短時間参加してきました。

同期の卒業生や懐かしい先生方との交流は非常に面白かったのです。が、聞いていてちょっと残念だったのが、このところMOT社会人大学院の入学者が漸減しているとのこと。これは、自分の出身MOT社会人大学院だけでなく、他のMOT社会人大学院もそうらしいので、全般的な傾向にあるようです。うーん、技術経営ってもうブームじゃないんですかねぇ。

このところの不況で電機業界が青息吐息状態にあるのは、金融危機の問題もありますが、欧米の元気な企業と比較するとやはり技術経営の観点からの問題があるように思えてきます。あるいは、技術経営というよりもイノベーションを利益につなげる経営手法と言うべきか。であるならば、技術経営であれイノベーションであれ、もっと注目されていいのではないかと思っています。

それにしては、企業において技術経営の知識を持った人間が職場内にいることのメリットがまだ認識されていない。MOT社会人大学院の卒業生がなかなか企業に戻って学んできた知識を業務に活かすだけの場がない。これは自分自身にも責任の一端があると思うと忸怩たる思いがあります。もう少し卒業生の人数が多くならないと難しいのかもしれませんし、企業における判断基準が大学のそれと微妙に食い違っているのか…自分の所属している会社にも技術企画部門に米国のMOT大学院、それも最高峰と呼ばれている大学院に留学した人がいるのですが、学位を取ったこととその人が重用されているかどうかとの間に直接的な関係はなさそうです。

こうなると、MOT社会人大学院自体のビジネスモデルを再考しないといけないのかもしれません。でも、いいアイデアがない…。bearing

知財関係のBLOGを書く姿勢

藤代裕之さんというネット上のメディアやジャーナリズムに関する鋭い批評をされている方が、「書くことの難しさ ネットの言論はなぜ質が低いか」という記事を書かれています。この内容、普段から私が感じていることに非常に近く、共感を覚えるとともに、一般市民がジャーナリストとして活躍できる場を提供しようとしている取り組みに、その輪がどんどん広がるといいと期待しています。

知財関係のBLOGというと、パテントサロンのパテントリンク内にある知財系ブログか、iptopsさんが収集しているブログ(これらは全て共通しないところが面白いのです)で結構な数を見ることができます。私も向学のためにできるだけ多くの知財関係のBLOGを拝見するようにしていますが、基本的にはBLOG=日記ですから、日々の徒然を語る内容がかなりの数を占め、残念ながら読んで参考になった、と思わせるものは少ないです。そもそもBLOGなんですから、堅苦しいことはさておき、という論もあるかと思います。日記的内容を否定するつもりはありません。ただ、上に書いたように、勉強になるほどの内容を書かれている人はごく少数だ、と思っています。

自分がこのBLOGを書き始めたのは、自分自身が知財を中心に考えている内容を皆さんに読んでいただき、少しでも参考になる部分があればいいと思ったからです。日記的内容であると、その内容に共感を覚えていただく分にはいいのですが、果たしてどこまで共感を覚えていただくことができるのか、ちょっと不安な部分がありました。それよりも、知財関連の言論とまでは行きませんが、世の中の知財に関する情報について自分のスタンスをお話しし、それが何らかの形で読んでいただける方の心の中に残り、共感でも反感でもいいのですが、何かしらの影響を与えることができればいい、と思い、駄文を書き連ねているわけです。

とは言え、こういった姿勢は結構大変な作業を強いることも事実で、時にはネタ切れになりかかり、時には一つの記事を書くのにかなりの下調べをし、時には一つの記事の構想を練るのに数日がかりになり、自分の思考時間の相当な部分をBLOG作成に費やしています。それでも、適当な記事を書くよりはきちんとした情報なり思考を読んでいただける方に提供することが大切だと考え、かなり真面目にBLOGを書いています。個人的には、そういった姿勢の方がどんどん増えていただけると市民目線での知財メディアの場が広がるのではないか、と思い、密かに期待をしているところです。

知的財産に関する学術研究に思う

このところ、BLOG更新が滞ってしまいました。ちょっと風邪をこじらせていていたところ、体力がかなり低下していたためか肺炎にかかり、長期の療養をしています。やっと体調も上向きになりましたので、ぼつぼつ以前の調子まで復活できるように頑張ります。

さて、本日は、東京大学の知的資産経営総括寄付講座公開セミナー「企業資産としての特許」ってのに参加してきました。内容はリンク先のパンフレットに譲りますが、聞き終えた感想としてはまあまあ面白かったです。

聞いていて思ったことを2つほど。

知的財産に関する学術研究はここ10年ほどで随分と進化した気がしますが、企業の実務という観点からすると企業実務に結構な影響を与えるほどの研究成果が出たとはまだまだ言えない状況にあると思っています。学術研究ですから企業実務から独立した考えを持って行われることは否定できないのですが、知的財産実務は主に企業によって行われているわけで、この企業実務に対して何らかのインパクトを与えるほどの研究成果をもたらさない学術研究は、厳しい言い方をすれば単なる自己満足に終わってしまいます。企業の実務家が大学等における知財の学術研究に対して大した興味を持っていないのは、その研究成果が企業の実務に参考になるほどの成果をもたらしていないからだと思っています。

もう一つ。知的財産に関する学術研究の幾つかは、過去に企業が試行錯誤の末に考えついている手法だったり、企業にとって暗黙知化されている事実の検証に過ぎなかったりする場合があります。企業が実際にどのような知財実務を行っているのかというのは極めて企業秘密に属する問題なので、容易に外部に伝達されることはないのですが、私が知っている範囲の知識でも、企業の問題意識は大学等における学術研究のそれの遙か先を進んでいると思っています。

本来は、知的財産に関する学術研究は、大学等のアカデミックな分野に所属する人々と企業等の実務家とが交流することによりより一層の進歩を遂げると思っています。しかし、現時点では企業側にとってアカデミックな分野の人々と交流をするインセンティブをあまり感じることがありません。理由は既に説明したとおりです。アカデミックな分野に属する人々がこのような事実に気付き、どのような学術研究を行うべきかについて深い考察をしていただきたいと思うのです。

目立つが故に叩かれる

最近、電機メーカーの社長人事が立て続けに発表されています。ソニー、日立、東芝と社長交代のニュースを聞くと、あれこれと推測気味のニュースが飛び交うことになります。当然、置かれている経営状況は個々に異なり、従って交代に至った要因も全く異なることが予想されますが、おしなべて業績不況が目立つ昨今ですから、そういった理由を交代要因の一つに挙げる向きもあるでしょう。

自分が今の会社にいてしみじみと思うことは、社外の人間(マスコミも含む)が憶測や会社から発表された情報に基づいて書いた記事は、なかなか真相にまで届かないことが多いです。むしろ、憶測であるがためにかなり偏向した内容になっていることが多いです。日本の電機メーカーの浮沈は日本産業全体に与える影響が大きいですから、ごくわずかな情報に基づいて記事を書いてもその新聞、雑誌なりの売り上げがかなり好調になることも否めません。こうなるとある種の有名税だとの割り切りも必要なところですが、そうは言っても痛くない腹を探られてあれこれ言われるのは時に腹立たしい思いがします。angry

だからといって自分が知りうる情報をBLOG等で公開してしますのは守秘義務違反になりますし、また、自分が全く当事者とも言い切れませんので(経営の根幹にかかる情報を私ごときが知りうるはずがありません)、公開した情報がミスリードして伝わってしまう危険性は非常に高いです。ですから、いろいろ思うところはあってもここは黙りを通すしかありません。gawk

それにしても、時々元社員が自分が当時知っていた情報に基づいて現在の姿を予測してあれこれと記事や書籍を書くことがあるのですが、これほど腹立たしいものはありません。なぜなら、組織的課題であれ個人の資質であれ会社の内部は日々進化しているのであり、その人が持っている情報はその人が退社した時点で固定した、いわば進化を止めた情報なのです。それをあたかも今現在もそういったことが通用しているかのような書き方をされると「その問題は解決に向かって進んでいます」と言いたいのですが、上に書いたように守秘義務の問題で言えない。そうなると言われっぱなしになるしかないのです。crying

まあ、守秘義務と言えば知財関係の情報は守秘義務でがんじがらめにされていますから、ニュースリリースを出しても真意が伝わっていないことは日常茶飯事ですね。

でも、広報やIRの観点からすると、会社のネガティブイメージを増加させない観点からも十分な情報を適時に公開する必要があるわけです。それを考慮してニュースリリースなりインタビュー記事を公表しているわけですが、現時点では憶測が憶測を呼んでいる状態かも。辛いですね…。weep

知財戦略コンサルティングシンポジウム2009に参加してきました

去年に引き続き、「知財戦略コンサルティングシンポジウム2009」に参加させていただきました。残念ながら午前中に所用があったので、土生先生の基調講演は聴けなかったのですが(土生先生、ごめんなさいcoldsweats01)その後はずっとネットワークパーティーまでいさせていただきました。土生先生とはBLOG談義を、遠山先生には09年度弁理士会知財コンサル委員会でお世話になるご挨拶を、的場先生には知財コンサルの苦労話を、鮫島先生には最近のお仕事のお話を聞かせていただきました。皆さん、ありがとうございます。

さて、シンポジウムの内容を。

全体的には知的財産コンサルティングの内容は昨年に比較して全般的に進歩していたので、面白く聴かせていただきました。ただ、進歩したがための気になる点が2つほど。

1つは、知的財産コンサルティングを行う人たちが経営に関する知識をかなり仕入れてきているがために、知的財産コンサルティングを行う延長で経営コンサルティングに近いところまで手を出しており、その結果、コンサル対象の企業経営の方向性に影響を与えている場面が見えました。企業経営は経営陣が長年にわたって考え抜いてきた結果の産物ですから、個人的には知財という観点から企業経営にまで影響を与えるのは慎重にすべきでは、と思いました。
具体的には、化成物製造産業の企業がコンサル対象になっていて、この企業はニーズ対応型営業(口の悪い言い方をすれば御用聞き営業)に優れているがために先を見越した技術開発ができていない、これを特許を中心とした技術ロードマップを作成して先を見越した技術開発をするのだという発表がありました。確かに、ニーズ対応型営業では競業他社に対する優位性を示すのは見かけ上難しいでしょう。ただ、一方でニーズ対応型営業があるからこそ固定の顧客を確保できていた事実があるのでしょうから、一概に否定するのもいかがなものか、と思います。また、技術開発を先行させた場合、技術トレンドから外れる危険性も負わなければなりません。その責任は知的財産コンサルティングチームが負うことはできないわけです。ですから、経営戦略に近い提言をする場合は、その危険性(リスクと言ったほうがいいかも)を十分認識した上で行うべきだと思いました。

次に、中小企業、ベンチャー企業に対する知的財産コンサルティングには、大企業における知的財産管理の定石を踏まえるとより効率的になるのではないか、と思いました。今回の知的財産コンサルティングチームには企業知財部経験者の方も含まれていたはずなのですが、私から見て「?」と思うことが幾つかありました。
例えば、上に書いた化成物製造産業の企業の例で、知財部門が企業の重要な情報を握っているのだから知財部門に企業の情報を集中させてはどうか、という提案がありました。これ、5年前に自分のいる部署で同じことを盛んに議論していました。今となっては、企業の中を駆け巡っている情報は膨大であり、知財情報はその一部でしかないことがよく理解できたので、そういった幻想は抱かないことにしています。確かに、営業活動を行う際に知財の情報を持っていれば営業がスムースに行くこともあるだろうと思います。しかし、そこで主客を逆転してはいけません。知財の情報を加工して経営判断に見易いようにすることは重要です。しかし、経営判断に生の知財情報が役に立つかと言われるとそんなことはあり得ません。特に、知財情報というのは不確定要素を常に含みます。どういうことかと言えば、完璧なパテントマップを作成することは完璧な調査ができないことからして自明ですし、特許自体がいつ無効にされるかわからない不確定要素を含んでいます。このリスクを全社的に理解してもらわないと、知財情報を安易に営業等に利用した場合、極端なことを言えば後々虚偽の情報を流したと言われかねません。
もう一つ例を。知財担当者が特許マップを作成できるような体制を作ったら、コンサル対象の企業から開発者こそ特許マップを扱えるようにならないといけないと言われたという話。多くの人がこの点を誤解しているように思うので、ちょっと強調しておきます。特許マップは知財担当者のものではありません。知財担当者のための特許マップは自己満足以上のなにものでもありません。開発者を始めとした事業部門が活用できる形になって始めて特許マップと言えると思っています。
こういった暗黙知とも言える企業知財部門での定石は、なかなか形式知になっていないので困りものなのですが、知的財産コンサルティングでは必須ですので、何とか導入できるような体制を作る必要があるように思います。

デザイン・イノベーション

ずっと気になっていながら読み終えられなかった「発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法」という本を読了することができました。この本は、題名からわかるとおり、IDEOというデザインファームでどのようなイノベーションが行われているかを非常に細かく説明した本です。

IDEOというデザインファームは、米国西海岸のパロアルト(Appleもありますね)に本拠を持ち、このAppleを含めて数多くの世界的企業を含む企業の製品のデザイン、設計(英語にするとdesignかcoldsweats01)等を請け負っている会社です。この会社の非常に優れたところは、発想の豊かさは当然のことながら、デザインからその製品に関するイノベーションを生み出しているところだと言えます。どんなデザインをしているかは、IDEOのサイトに非常に多数の例が紹介されているのでご覧あれ。

このところ、私自身がデザインから始まるイノベーションに注目しています。技術から始まるイノベーションは結構語られてきているのですが、デザインから始まるイノベーションは時にして軽視されがちのように思えます。知財関係のブログで「不況だからデザインイノベーションがこれから注目されるかも」といった私説を披露している方がいましたが(ググっても出てこないので引用できずすいません)、とんでもないことで、不況になる前からデザインの重要性はずっと語られてきていたわけで、世間一般がデザインから始まるイノベーションに注目し始めたのが(特に学問的に)最近だった、というだけだと思っています。

デザインというと外観だけに注目しがちですが、coolな外観はその製品のブランドイメージを高め、ひいては製品競争力を高めることに寄与します。また、操作性を考慮した外観、そしてユーザーインターフェースも製品競争力、差別化に極めて直接的に寄与します。デザインから始まるイノベーションは、成功すれば製品競争力を容易に高めることができます。特に最終消費者を顧客に持つ企業にとってデザインイノベーションはもっと重視されてもいい分野のように思います。

それから、上に書いた本の中には、デザインイノベーションのみならずIDEOというデザインファームで数多くのイノベーションを生むための工夫、例えばブレインストーミングをどのようにすべきであるとか、オフィス環境をどうすべきか、さらには組織論はどうあるべきかといった知恵が無数にちりばめられていて、今現在の自分の環境と対比して結構ため息が出るばかりでした。知的財産というクリエイティブなものを扱う職場ですから、できたら職場の雰囲気もクリエイティブになるといいなぁ、と思ってしまいます。これは自分から変えるしかないかも。

平成21年度弁理士試験の委員は

今日はちょっとどうでもいい話題で。

今日の特許庁のホームページで平成21年度の弁理士試験の試験委員の公告がされていました。私は弁理士登録から20年も経つので、最近は試験委員の先生方にもちらほら知り合いがいたのですが、平成21年度の試験委員は同期合格で親しくしている先生や、私が弁理士試験合格直後に所属していた自主ゼミの教え子もいて、見ていて「大変だなぁ」とふと思ってしまいました。当分、これらの方々とは弁理士試験の話をすることもできませんね。そうそう、当然のことですが、私からそれら試験委員の先生方にコンタクトを取ることをお願いされてもお断りしますのでご承知おきを。まあ、たとえコンタクトを取っても何も教えてくれませんけど。

デジタルビデオカメラの最近、あとおまけ

各社、卒業式、入学式シーズンに合わせてビデオカメラの最新版を発表しています。最近のデジタルビデオカメラのトレンドはHD(つまりフルハイビジョン)対応であることです。HD指向はここ1~2年の傾向だと思います。記録媒体は、すでにテープ形式は跡形もなくcrying、ほんの数年話題を呼んだミニDVD(8cm)の機種は大容量のBlu-Rayに移行し、現時点での主流はHDでの長時間録画か、あるいは内蔵メモリ+メモリカードで軽量化を図るものになってきています。

各社、今年春の新製品はなかなか特徴があって面白いです。ソニーはCMOSセンサの性能を飛躍的に向上させ、暗いところでもきれいな絵が撮れる高級路線と、メモリを使って小型軽量化を徹底的に図ったカジュアル路線とに分かれています。パナは、3つの画像センサーを1台のカメラに搭載したモデルを多数発表しています。あと、おっかけ顔認識+ピントが売りのようですね。ビクターはHD搭載でも小型化を徹底的に図ったモデル、および、メモリだけで本当に小型化を図ったモデルを出してきています。キャノンは新機種ではHDモデルを発表しておらず、メモリ搭載モデルで小型軽量化を図ったものと画質向上を図ったものとを発表していますね。

この、デジタルビデオカメラは正直日本メーカーが世界を席巻しています。光学系、撮像素子を含む撮像系、そしてこれらをコンパクトに収める機構設計力は、ある意味でクローズド・インテグラル系と言え、製品としての作り込み方が機能や使い勝手に響いてきます。事業全体のパイはそれほど大きくないのですが、新規参入者の登場を簡単に許すほど甘くはなさそうです。

とはいえ、Youtubeに見られるように、手軽に動画をアップしたいといニーズがこれから出てくることは安易に予想できるので、こういったニーズに対するエントリモデルの動きは今後注視すべきだと思っています。この部分は、既存メーカーが何もしないでおくと新規参入を許しかねませんので。

それから、HDであれメモリであれ、永遠にカメラ内に保管しておくことはできないので、主にPCを使って録画データの取り込みおよび編集(編集といっても無駄な部分を短縮するとかですけど)をすることになります。この取り込みソフトは通常カメラに同梱されたものを使います。この取り込み、編集ソフトの出来が意外と売り上げに影響するのではないかと思っています。電器店の店舗では画質のよさや操作の簡単さばかり説明されるのですが、ソフトの使い勝手って買って家に持って帰って実際にやった時点で成功か失敗かわかるものですから、できたら電器店の店舗でその辺りのフォローをしてほしいなぁ、と。

追伸:上のネタとは全然関係ない話を。先週発売されたMartinの新譜"Still Gold”ですが、非常によいです。その中でも、2曲目の「ジョアンナ」は、作詞:湯川れい子、作曲:柳ジョージという大作家を集めて、ブルージーな泣きのはいったバラードに仕上がっています。途中では柳ジョージと今剛の泣きのギターソロの掛け合いがあり、ちょっとぐっと来てしまいます。聞かれる機会のある方はどうぞ。

他社の知的財産管理手法を知りたい

今日は、日本弁理士会で知的財産コンサルティングの手法に関する研修があったので参加してきました。会場は大入り満員。知的財産コンサルティングへの関心の高さが伺えました。講師は野村総研で経営コンサルティングの実務を重ねているとともに野村総研の関連会社(NRIラーニングネットワーク株式会社)で教育研修をしている亀井敏郎先生(今調べたら、この関連会社の社長さんでした)。内容は、経営コンサルティングのメソドロジーを知的財産コンサルティングにあてはめたようなもの。先生が経営コンサルティングを数多く経験していることもあり、実体験に裏付けられた非常に貴重なものでした。

この研修の中で、クライアントへの提言の中に知識資産(人材活用、会社のDNAなども含む概念)の活用法も含めてみてはどうか、という話がありました。私としては、そうであるならば、他社の知的財産管理手法がどうであるか、という話のほうがクライアントにとってより有用ではないか、と思っていました。

しかし、考えてみると、各社の知的財産管理手法を紹介した資料というのはなかなか市中に出回っていません。だいぶ前に、日立と富士通の知的財産管理手法を紹介した書籍が発明協会から出版されましたが、いずれも現在は販売されていません(古本屋とかで探すしかないということです)。特許戦略特許管理に関して最近ガイドブックが出版されていますが、私から見ると企業の知的財産実務をそれほど明快に語っていない気がしています(最前線の実務家が書いてないという記憶があります)。

実は、部数限定でかなり高額な書籍が出回っていないこともないのです。発行元はだいたい調査や研修を得意とする会社です。こういった会社が、「御社の知的財産実務を教えていただけないでしょうか、その代わりに、書籍が出たら安価で(あるいは無料で)頒布します」との触れ込みで主だった会社の知的財産部門に声をかけて、それに応じた会社が何社か集まった時点で書籍を発行する、という流れです。同じような流れで、研修が時々行われているのを見かけます。

こういった知識は、例えば日本弁理士会が一手に収集して、弁理士が知的財産コンサルティングをする際に提供するような形にしてはどうかと思っています。本当は、日本弁理士会が幾つかの会社にヒアリングしてデータベース化するといいのですが、簡単には集まらないことが予想されます。理由は、その会社にとって自社の知的財産実務を弁理士(会)に教えるインセンティブに欠けること。では、会社が他社の知的財産管理手法をどうやって知るかというと、結構業界のつながり(日本知的財産協会を含む)で情報は入ってきます(教えて、とお願いすることもあります)ので、その意味でも日本弁理士会に頼るインセンティブがないのです。以外と、各社の知的財産管理手法に関する情報は知的財産コンサルティングを行う上での肝になりそうな気がするので、何とかしたいところです。

薄型テレビは水平分業型モデルへ

ソニーが経営体制を刷新するという発表がありました。この理由として、何度も指摘されながら赤字体質を脱することのできなかったテレビ事業のてこ入れというのがあるようです。

薄型テレビについては、このBLOGでも何度も取り上げてきた話題です。ここ数年の経営環境の変化を一番如実に表しているのが、Vizioを初めとする製造委託メーカーを巧みに使った安価な薄型テレビの登場だろうと思います。今まで、薄型テレビは垂直統合型モデルでの製造が一般的であり(Samsungだって垂直統合型モデルを徹底して極めているわけです)、ソニーがSamsungから液晶パネルを調達したこと自体が結構驚きをもって捉えられたくらいでした。それが、Vizio等の登場により、一気に垂直統合型モデルから水平分業型モデルへの変換が急務となったわけです。

テレビ事業が水平分業型モデルに転換するのを阻んでいたと思われるのが、薄型テレビのバリューをどこで持たせるかというポイントを、各メーカーが画質、デザインといった内部リソースに頼らざるを得ない部分に置いていたことや、大画面の液晶パネルそのものの調達が自社工場を含めた限られたプレーヤーしか実現できていなかったことだと思っています。しかし、Vizioを初めとするメーカーは、安価でそこそこの画質、という新しいバリューを持ち込み、それが薄型テレビ市場そのものの底辺を一気に拡大しました。また、液晶パネルも、台湾メーカーがそこそこのパネルを大量に製造していますので、製造委託メーカーへの依存が可能となったわけです。

この点、東芝はかなり前にパネルの自社製造を早々に諦め、製造委託メーカーを有効に活用するとともに、高価格モデルについては画質に関する技術を自社で独自に開発し、パネルの外部調達のデメリットを打ち消してそれほど高価格でなくても高画質な製品を提供し、市場で結構なプレゼンスを獲得しているのは注目すべきでしょう(国内だけで考えると最近はシェア2位だそうです→参考記事)。

ちょっと話を戻して、テレビ事業が水平分業型モデルになるためのマインド的な問題を挙げておきます。PCのように水平分業型モデルを徹底して極めている事業の場合、サプライチェーンマネジメントが優れていることも特徴の一つです。つまり、価格維持のために売れ残りを徹底的に排除する管理ができている、ということです。PCの販売方法は生鮮品の販売にも例えられます。1年間に3~4回のモデルチェンジをするPCにとって、売れ残りは投げ売りが避けられませんので、いかに売れ残りをせずに、しかも品不足をもたらすことなく売り切るか、というのが至上命題です。このため、各PCメーカーは厳密な市場予測をしているようです(特許公開公報を検索すると結構ヒットします)。BTO、CTOもある意味での売れ残り防止のための策です。テレビ事業に現時点でこのようなハードルを課すのは結構酷な話のように思えますが、時代の流れとして仕方ないかもしれません。売れ残りを避ける、という意味で弾力的な製造ができる体制も必要です。これを実現するためには、むしろ国内で製造することの強みがあるかもしれません。つまり、売れ残りで価格低下に歯止めがかからなくなる状況より、売り切ってしまうならば国内製造のコストでも堪えうるかもしれません。

さて、テレビ事業が水平分業型モデルに移行した段階で、市場競争力をどこに求めるかを再度考えないといけないと思っています。市場自体が急速に低価格モデルに移行していますので、そこそこの画質で安価なモデルを提供することはmustでしょう。一方で、独自機能を搭載したモデル、画質に妥協を許さないモデルも、市場全体のニーズからして外せません。これらを迅速に実現できる開発、製造体制の構築が必須です。

ただ、水平分業型モデルって知財的にはちょっと面白味に欠けるんですねぇ。外部リソースを大胆に使いますから、自社技術が発揮できる分野が限定されるので。

音を楽しむ楽しさ

今日は日曜日ですから、肩の凝らない話題でも。happy01

普段通勤時間に聴く音楽が携帯音楽プレーヤーになってから何年も経ちました。つい最近まではそれほど音質が気になっていなかったのですが、以前のBLOGに書いたようにやたらでかいヘッドフォンを衝動買いしてそれまで聞いていた音ってなんだったんだろう!という衝撃を受けて以来、結構集中して丹念に音を聞くようになりました。おかげで、歩いている時にあっちこっちぶつかりまくりです。coldsweats01

そうこうしているうちに、今度は携帯音楽プレーヤーからの音質にも若干ずつ不満が出てきました。当然、アルバム毎に音質はかなり異なりますし、最近のプロデュースとして携帯電話で聞くことを前提に音を作っているプロデューサーもいるという話を聞きますので、携帯音楽プレーヤーからの音質を気にするほうが細かい、という方もいらっしゃるでしょう。でも、実際に同じソースを家でCDで聴いていると、やはり携帯音楽プレーヤーは圧縮音源だなぁ、という気になります。最近の携帯音楽プレーヤーは、例えばソニーのウォークマンの最近の機種だとDSEEという機能を持っていて、高圧縮音源で失われた高音域を(擬似的に)復活させるようなことをやっていますので、もしかしたら違うのかもしれませんが、私が持っているのはオンボロ携帯音楽プレーヤーなので、そんな機能はありません。CDはやはりリニアPCMだけのことがあります。

さてさて、こんなCDですが、このCDも音質的にはまだ追求できる余地があるようで、最近は高音質CDを謳ったCDが4種類も発売されています。聞き比べた記事はこちら。この記事によると、CDを製造する際にマスターと違ったピットになってしまう可能性があるからとか、CDを再生する際に周囲に光線が乱反射してそれが本来の音の再生を妨げるとか、考えようによっては重箱の隅をつつくような議論ですが、確かにそんなこともあるかも、と思えてきます。

昔、オーディオマニアと呼ばれる人々がたくさん存在する頃は、(時代がアナログだったこともあるんですが)この手の議論があちこちにあって感心させられたことも多々あります。この手のオーディオマニアと呼ばれる人々の中で、マニアという存在を超えて自分でLPプレーヤーやらスピーカーやらを作ってしまったエンジニアとして本当に尊敬すべき人として、寺垣武さんという方がいます(ちなみに、ご自宅は私の家の近所です)。一回だけ、あるご縁があって寺垣さんのご自宅にお伺いしたことがあり、その時にオーディオ談義とともにエンジニアのあるべき姿を見せていただいた気がしました。

時代はすっかりデジタルになり、音楽配信も含めて何となく簡便な方に流れていってしまいますが、デジタルも極限まで突き詰めるとまだまだ改善の余地もあり、また、アナログもまだまだ見えていない領域があることを考えると、技術を知る者としては面白味を俄然感じてしまいます。

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