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第3期知的財産戦略の基本方針

私が巡回している知財系BLOGではまだ話題になっていないようなので、簡単にコメントを。

先週月曜日あたりに各新聞が一斉に報道した第3期知的財産戦略の基本方針がやっと知財戦略本部のHPで公開されました。内容は新聞報道の通りでした。

今回の第3期知的財産戦略の基本方針で私が注目したのが、第2期ではあまりぱっとしなかった特許関連の基本方針が、イノベーション促進のための特許制度改革という(この言葉だけでは何とも言えないかもしれませんが)文言が入ることで少し見栄えのするものになったかも、と思った点です。ただ、特許制度改革の方向性は、多分特許庁長官が私的に開催している特許制度研究会での方向性(ここではまず特許権の濫用防止について議論をするようです)と軌を一にすると思われるので、大きな期待は難しいかも、と思っています。

このBLOGで何度か議論をしているように、特許制度自体は既にかなりの制度疲労をしていると思っています。これは、特許権の効力をどうするかについて米国内で主に製薬業界とIT業界とが互いに持論を譲らない経緯から見てもよくわかるかと思います。特許制度を全ての業界に一律に適用するのは既に同床異夢と言えるのかもしれません。特許権自体が一つの商品として転々流通し、投資マネーを引きつける状況は金融バブルの崩壊とともに少し低調化したように見受けますが、根本的な解決策はまだありません。過激な言い方かもしれませんが、特許権の効力を制限することは大学・中小企業・個人にとって不利であるとの論がありますが、特許制度が産業の健全な発展を最終目的とするならば(米国特許法ではこんなことを言わないんですよね)、自らの権利主張が回り回って産業全体の発展を阻害することもあり得ることを考えると、個人的には一定の特許権の効力の制限は致し方なし、と思っています。米国特許法改正の議論でも明確なように、主は差止請求権の問題だと思っています。

それから、知的財産戦略の基本方針では各国審査ハイウェイの拡充を謳っていますが、いずれは特許の相互認証という形で各国の特許審査が収斂することを期待しています。現状の審査ハイウェイでも追加資料がそれなりに必要なので、使い勝手はまだまだだと思っています。審査資料の言語の壁(日米欧はいいんですが、中国、韓国の特許文献は英訳率がまだまだです)や審査官が使用するデータベースの相互利用といった問題は山積していますが、粘り強くトライしてもらえると助かります。ただ、これも前にBLOGで述べたように、これをやると現地代理人の強烈な抵抗が予想されるんですよね。

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