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特許バトルロイヤル??

ちょっとBLOGの更新が空いてすいませんでしたm(_ _)m。ゴールデンウィーク中は子供と遊び続けていて、疲れがたまってしまい…sad書くネタはありますので徐々に復活します。

さて、今週の月曜日、朝日新聞の朝刊にGLOBEという折り込みがあり、今回の特集は「特許バトルロイヤル」という題名のものでした。新聞の方は都合6ページにもわたる長文のもので、Webにも徐々に掲載されてくるようなので、今見て全部掲載されていなくともちょっと待っていたほうがよさそうです。

内容は、特許制度の現状を結構多角的に掘り下げた、マスメディアが取り上げる特許関係の特集記事としては出来のいいものです。主題だけ挙げると、米国テキサス東部地裁に特許訴訟が集中する現状、パテントトロールの跋扈、特許オークション市場、特許(出願)へのfunding、中国・韓国企業の知財の取り組み、特許と標準化といったところです。個々にコメントしたいことは山々なのですが、一々コメントしていると膨大な量になるので、全体的な感想で。

米国テキサス東部地裁に特許訴訟が集中する理由については、かのヘンリー幸田さんが書かれたこの記事が参考になると思います。自分が所属する会社の担当者も、テキサス東部地裁まではるばる出かけていったとの話を聞きます。この現象、私が感じるには米国のプロパテント政策の結果というよりもパテントトロールが多数出現したことで顕在化したのだろうと思っています。つまり、テキサス東部地裁の原告勝訴率が高いのはプロパテント政策も関係なくはないと思いますが、それよりも保守的な土地柄のせいだと思えます。まぁ、Ward判事の考え方はプロパテント政策っぽいかもしれませんが。

しかし、ここ数年間の米国最高裁の特許関係の判決を見る限り、裁判所はプロパテント政策に揺り戻しをかけようとしているように見えます。加えて、パテントトロールによる行き過ぎた権利主張についても判例で一定の制限を加えようとする意図が見られます。その流れの延長線上にオバマ政権で審議が再開した米国特許法改正があります。この改正内容の中には、GLOBEでも紹介されていた、裁判管轄の改正も盛り込まれています。米国特許法が現時点の法案の内容で改正されれば、テキサス東部地裁への出訴数も激減すると思われます。そうなると、パテントトロールとしては有効な手段を一つ失うことになるかもしれません。

プロパテント政策の揺り戻しに加えて、世界金融危機の影響を受けて特許オークション市場や特許インベストメントファンドへの出資者も減っているようで、聞くところによるとGLOBEで紹介されたOcean Tomoの直近のオークションはちょっと低調だったようです。この金融危機ですから特許の流動化が加速されてもおかしくないんですが、投資家にとって知的財産関係への投資に対する魅力は以前ほどではなさそうです。

このBLOGでも何度か話題にしたように、現在の特許制度にはかなりの制度疲労がたまっているように思います。本来は抜本的な改革が必要だと思うのですが、産業界の利害関係は一致しませんし、各国の方向性も必ずしも一致しているとは言えません。現時点では特許制度がどのような将来を迎えるのか、ちょっと予測しづらいです。このところの日本政府はプロパテントからプロイノベーションという話をしていて、確かにイノベーションを阻害するような特許制度は困るな、と思っています。とは言え、ではプロイノベーション時代の特許制度はどうあるべきか、という具体像が提示されていないのも困りもんなんですが。

余談ながら、GLOBEの特集記事、知財系BLOGのいくつかが取り上げられていますが、新しい情報がないなど評価は結構辛口です。私は、さらっと書かれている内容の背後に結構膨大な取材の跡が見られ、また、紹介されている内容も全国紙レベルでは初めてではないかと思われるものも多いので、もう少し評価が高くてもいいのでは、と思っています。

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