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過剰品質と言われても…

またまた、東大の第3回知的資産経営総括寄付講座公開セミナー「新興国市場開拓に向けた日本企業の製品戦略」に参加して参りました。感想はと言うと…だいたい知っていることばかりでちと面白味に欠けましたpout。大学の先生というのはこういった内容を紹介するだけで飯を食えるのは気楽かも、と思ってしまいました。紹介された処方箋も思いつくことばかり(だったらやれよ、ということはさておきcoldsweats01)でした。

このセミナーの中で、日本企業は過剰品質ではないか、という指摘があったので、私なりに製品の品質について考えてみます。

例を挙げていたのが、CD-Rについて日本メーカーと台湾メーカー(それも他社ブランドのOEMとして納品している大企業とノンブランドでしか売れない中小企業と)で品質に格段の差があるということでした。日本企業は非常に厳しい品質基準を持ち、その結果、製造コストがかかってしまう、台湾大企業は日本企業の製品と比較してせいぜい20%程度の品質のものしか作らない(OEM先からその程度のものしか要求されていない)、台湾中小企業の製品品質は装置メーカー任せである、その結果、極めて安価に製造、販売することができ、一気に世界市場のシェアを獲得してしまった、というわけです。この際、(実はDVD-Rですが)日本メーカーと台湾メーカーの品質の差を書き込み能力の差で示した例として、ある雑誌に掲載された計測例が紹介されていました。

例えば台湾メーカーのDVDは、上に紹介した例にも見るように惨憺たる結果で、日本企業が考えたら不良品の山ばかりでこれを自社ブランドとして売るなどという判断は到底できないわけです(台湾メーカーは自社ブランドとして売ってはいないので、ある意味割り切ってはいるわけですが)。売ったら明らかにブランドイメージの毀損につながります。まあ、それ以前に日本企業のポリシーとして、書き込んだ情報がそのうち消えてしまいます、という商品を売ろうとしたら、経営陣はもとより技術開発者自体がものすごい反発をするでしょう。それが日本企業のいいところといえばいいところなのだと思います。私自身も、買っても書けないDVDを平然として販売する業者というのは心情的に理解できませんし、これをまた平然と受け入れていると思われる消費者も理解の埒外にあります。なので、メディアに関しては日本製品が過剰品質かと言われるとむしろ台湾製品のほうが過小品質なのだと思ってしまいます。

しかし当然、品質だけを追い求めて結果的に当該市場の平均的購買力から見てプレミアム化してしまったのでは、シェア拡大は夢のまた夢になってしまいます。品質は市場が決定する要素も多分にあるのは事実で、そういった意味で、各国市場に合わせた商品企画が必要ではあります。そうは言っても、安易に品質を下げればブランドイメージの毀損にもなるので、多分に高度な戦略的判断に基づいた決定が必要です。また一方で、トップメーカーは全方位戦略ということが経営戦略論では言われますので、エントリーモデルからプレミアムモデルまでの幅広い品揃えが求められる局面もあります。

品質の問題は、CD-RやDVD-Rのように商品自体の性能に深く関わってくる場合や、自動車のようにユーザーの生命に直接関係する場合は、安易な切り下げはしてはならないと思っています。セミナーでは中国のある自動車メーカーがドイツの安全性評価を受けたところ、1つ星しか獲得できず、中国の自国民からも非難の声が上がったと紹介されていました(ニュース記事はこちら。他のニュースによると、この自動車が「中国から来た鉄くず」と揶揄されたとのことです)。

一方で、品質に関する大胆な割り切りも必要な場合があります。例えば、iPodは再生される音楽の音質に対して特段注意を払っているとは思えません。設計の段階で、一定以上の音質があればよしとしている感があります。一方、日本の大手CEメーカーがシリコンオーディオプレーヤーを作った場合、(それがある意味での競争力であるとの認識をしているのだと思いますが)、音質に関するこだわりは決して捨てていません。このBLOGの少し前の記事で紹介したソニーのウォークマンもそうです。その結果、日本での売価はだいたい4万円強と少々お高めになってしまっています。ただ、このウォークマン、搭載されている機能に比較して値段は非常に努力しているとは思います。そのため、新製品でありながらMade in Malasiaなのです。新製品の立ち上げから海外子会社等との調整をした開発者の努力には頭が下がる思いです。ちなみに、Apple社が音質に全く注意を払っていないと言えば嘘になります。iPod用にかなり音質のよいヘッドフォンを作ってますから(しかもバカ安ですcoldsweats01)。

ちょっと長く書き連ねましたが、要は、日本企業のポリシーはそれはそれで間違っていないと思いつつ、市場に合わせた商品企画及び製品のラインアップは不可欠である、ということです。で、各企業は実は言われるまでもなく市場に合わせた商品企画の重要性を認識して実行に移しています。なかなかそれが日本にいると見えないんですが…。

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