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ターンキ・ソリューション???

太陽電池市場が非常に注目されています(こんなサイトがあります)。ここ数年、欧州を中心とする政府の太陽電池導入に対する経済的支援と、米国オバマ大統領がグリーン・ニューディール政策を掲げることによる市場拡大の見込みが市場を活気づけているんだと思います。

ただ、かつて日本のお家芸であった太陽電池市場ですが、最近はドイツのQ-Cellsにトップシェアを奪われたりしまして(参考:Wikipedia)、ちょっと見る影もないというと関係者に怒られますが、冴えない状況になっています。日経マイクロデバイスの5月号では、韓国、中国、インドメーカーの急激な追い上げについて特集を組んでいます。

この日経マイクロデバイスの特集号でも取り上げられているように、技術的集積があまりないと思われる新興企業が急激に太陽電池の生産を立ち上げられる背景には、ターンキー・ソリューションという、ノウハウ込みの製造装置を丸ごと供給するメーカーの存在があります。太陽電池の製造装置メーカーでこのターンキー・ソリューションを提供しているメーカーとして有名なのが、アプライド・マテリアルズという会社です。

このアプライド・マテリアルズという会社、半導体製造装置の売り上げ世界一の会社であり、それまでの(特に日本の)半導体製造装置会社が特定の半導体製造会社との結びつきが強かったのに対し、どの半導体製造会社に対しても一律の優秀な半導体製造装置を供給し、これにより製造ノウハウのない新興企業でも半導体の製造立ち上げを容易にできるようになったと記憶しています。ある意味、ターンキー・ソリューションの先駆けだったと言えます。これ以降、日本の半導体製造業界は斜陽の道を進むことになったわけです(これだけが理由とも言えませんが)。

いわゆるモジュール化が進んだ市場では、トータルな製品を製造するノウハウに乏しくても、モジュールを組み立てるだけで製品を製造することが曲がりなりにもできます(市場立ち上がりの当初は特に)。しかし、半導体や太陽電池のように、製造プロセスそのものにノウハウが埋め込まれているような製品の場合、製造プロセスのノウハウが先行企業内に留まっている限り後発メーカーの追従スピードは緩やかなものにならざるを得ません。しかし、ノウハウ込みの製造装置がパッケージで供給されてしまうと、大量生産による価格の急激な低下により、市場自体が一変してしまい、先行者利益はそこで吹っ飛んでしまいます。先行者は知財等により何とか参入障壁を築こうとしますが、ノウハウは権利化することが難しいですし、そもそも知財だけで参入障壁を築くのは困難です。

太陽電池も半導体と同様、ターンキー・ソリューションの存在により市場の急激な変化が起こっています。日本メーカーは変換効率を向上することで対処しようとしていますが、日本であれば設置場所が狭いので変換効率が高い(一方で価格の高いであろう)商品は受け入れられるでしょうが、米国のように変換効率が低ければ大面積での設置を考えて全体的なコストを削減する方向に考えるであろう場合、変換効率の向上が必勝シナリオとは言えません。

ターンキー・ソリューションを提供する企業の出現は必然であると割り切り、太陽電池モジュール単体での販売ではなく、新たなシステムを構築するといった発想で他社の追随を振り切るしかないのかも知れません。一例として、最近話題になっている色素増感型太陽電池は製造プロセスが全く違うのでコスト低減の可能性があり、蛍光灯での発電も可能な場合があり、しかも着色が可能ですから、家全体を色素増感型太陽電池で覆ったり、CE機器の発電装置としての応用など様々な使い道が考えられます(このあたりどこかの記事の受け売りですが、リンクが見つからないので申し訳ありません)。

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