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PATOLISが民事再生手続の開始申立をしました

特許データベース最古参のPATOLISを運営しているパトリス社がが民事再生手続の開始を申し立てたそうです(プレスリリース)。

PATOLISといえば、かつては日本特許情報機構(JAPIO)が行っていたデータベースでしたが、JAPIOから切り離されて民間の出資も入れて民営化されました。その後、特許庁(正確には工業所有権情報・研修館)が提供する無償の特許電子図書館(IPDL)が急激に機能拡充を図り、さらに、サードパーティーの特許データベース業者(派手なのは野村総研のNRIサイバーパテントでしょうか)の進出や、特許管理ソフトウェアを開発している業者(例えば日立情報システムズなど)が特許調査システムとの連携を図るなどしてこれも機能拡充を図る中で、PATOLISならではのメリットが見えにくくなってきており、そうこうしているうちに業績はジリ貧状態にあったようです。

そもそも、PATILOSは、データベース提供当初から従量制を引いており、初期の頃はぼんやり検索をしていると、とてつもない高額の請求が来るので、事前に検索式を練りに練って(ゴミ件数をできるだけ拾わないように、また、何度も検索をしないで済むように)おく必要がありました。それもこれも、PATOLISが唯一の日本特許検索データベースだったから許されていたように思います。しかし、特許文書のペーパーレス化に伴い、特許庁が公報データを当初はCD-ROMで(今はDVDになりましたね)それなりのコストで公開することを決断し、このCD-ROMデータに基づいてサードパーティーがPATOLISより安価に、あるいは定額制の特許データベースを構築するようになってからは、PATOLISを選択する必要性がだんだんと薄れてきていたわけです。このビジネスモデルをPATOLIS自身が変革しきれなかったのが問題だったのでしょう。

この間、PATOLISも社長の交代や料金の値下げ、さらには民間への出資依頼等存続のための尽力をしていたようですが、様々な努力も空しく、ということだと思います。

PATOLISにはそれまでに蓄積してきた膨大なデータもありますし、ペーパーレス化以前の公報データを電子化したデータにはかけがえのない価値もありますから、何らかの形で存続してほしいのは山々なのですが、経済原理という側面からは将来は決して明るくなさそうです。

なお、一部の知財系BLOGで、PATOLISの民事再生法手続の開始申立を不況のせいにしていた方がいらっしゃいましたが、それは大きな理由ではないでしょう。むしろ、上に書いたように構造上の理由をそもそも抱えていて、ついに力尽きた、というのが正しいのだと思います。この点、特許検索に知見を持たれている方のBLOGは正確な指摘をされています。一次情報に飛びついて安易な判断でBLOGの記事を書くと、misleadingな結論に至ってしまう点、他山の石としたいところです。

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