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国際標準化はスポーツの世界と同じ?

本日は知財とも知財ともつかない話を。

先日、NHKの「追跡!AtoZ」という番組で、「ニッポンは勝ち残れるか 激突 国際標準戦争」という表題の内容が報道されていました。詳細は番組ホームページに譲りますが、事実、知的財産と標準化と(それと当然に技術開発と)は非常に密接に関連する問題で、標準化する技術を知財でどのように保護し、あるいは開放し、利用促進を図るのかという難題に部門を挙げて取り組んでいます。

番組で紹介された日本規格協会の関係者の方は、工業標準化事業で内閣総理大臣賞を受賞されているようです。FeliCaは国際標準化にかなり苦労したということを聞いています。FeliCa技術をJR東日本が採用したことに対しても、他の非接触ICカードの規格を推進している海外の企業からWTO違反ではないか(当時国際標準でなかった規格を採用することが)とのクレームが付いたらしいですが、どうもJR東日本がFeliCa技術を採用した時期がWTOに制限されなかった頃らしく、そのクレームは通らなかったようです。

経済産業省も標準化(JISも国際標準も)の主管官庁ですから、担当部署もありますし、れっきとしたポータルページもあります。知的財産推進計画で指摘されるまでもなく経済産業省は国際標準化の推進に積極的であると思うのですが、国際標準化が対象となる技術範囲が近年非常に拡大してきており、つまり、ちょっと前までは弱電、強電を含む電気機器分野と機械分野が国際標準化の主たる対象だったのですが、最近は国際標準化の対象が多方面にわたってきており、国家として早急な戦略が必要な状況になってきています。しかも、戦線拡大により企業体だけで国際標準化に対応するには人材も資金も不足しています。国家的支援が可及的速やかに望まれるわけです。

例えば、電気自動車であれハイブリッドカーであれ日本の自動車産業は世界の最先端を進んでいると考えられますが、欧米企業の一部に電池やモーター、そして制御ソフトウェア等の国際標準化を推進することで、自身の企業に有利な規格を国際標準に入れ込んでしまおうとする動きがあります。日本の自動車産業が進んでいる方向と異なる方向に国際標準化が進んでしまえば、それまでのアドバンテージは無駄になってしまいます。日本の自動車産業は今まで標準化作業にそれほど積極的であったとは言えませんので、電気自動車で一発逆転があり得る(当然、日本以外の自動車産業はそれを望んでいる)わけです。現時点では経済産業省からの後押しは見えないので、早急な対応が必要です。

さて、国際標準化の話、よく考えてみると、スポーツの世界もある意味国際標準化の流れのまっただ中にあるように思えます。国際的ルールがつまりは国際標準化です。日本の競技団体は、傍目から見ると国際的ルールの策定や自国に有利なルールの導入にあまり長けているようには思えません。多分に極めて政治的な取り決めであり、権謀術数が渦巻く世界であると言えます。日本人はいい意味でお人好しですから、ルールが決まればそれに従ってその中でベストを尽くすことを考えがちです。そうではなくて、例え表面的ではあっても日本にとっての仲間を増やし、自国に有利なルールを国際的ルールに格上げし、できるだけ有利な土俵で戦えるようにしないといけません。ただ、ちょっと批判的に言うならば、結構な壁はヨーロッパの(ある種貴族的とも言える)クラブ的連帯感にあるように思います。

国際標準化の話に戻って、人材育成は国家的支援が是非とも必要なところです。企業の国際標準化担当は、NHKの番組でも紹介されたとおりエンジニア出身で、入社当初から標準化作業に従事しているわけではありません。技術がわからないと議論もできないので技術に関する理解は当たり前のように必要なのですが、交渉技術であれ標準化団体の議論の進め方であれ教えてくれる場所は限られています。国家的支援が是非望まれます(やっていることは知っていますが、まだまだ足りません)。

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