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日本に出願する価値を見つけなければ

数日前、朝日新聞のHPに気になる記事が掲載されました。それは、「中国の特許申請数、23.1%増 国外からの申請は減」というものです。この記事は、中国の国家知識産権局のHPのこのあたりの記事(これこれが典拠のようです。

中国の特許出願件数の伸びを支えているのは国内の事業者が熱心に特許出願に取り組んでいる結果のようです(特許庁の特許行政年次報告書2009年版の図表を見てもわかります)。中国が一大知財大国になろうとして努力しているのが見えてきます。

Data1

この、特許行政年次報告書の図表を眺めていてふと思ったのが、日本国で知的財産権を取得する重要性は今どれほどあるのだろうか、ということです。何故そんなことを思ったかというと、同様に特許行政年次報告書2009年版にある、5極特許庁間においてどのように特許出願がされているかを示した図からすると、米国以外の4極は米国への特許出願を熱心に行っており、また、中国への特許出願も増加傾向にあるのですが、海外から日本へ特許出願を行う件数はあまり増加傾向にあるようには見えず、海外の出願人からすると日本において知的財産権を取得する意欲は米国や中国に対するものと比較してそれほど強いものではないのだろうと思うからです。

Data2

その原因は幾つかあるでしょう。かつては、司法制度が米国のそれより結論が出るスピードが遅いことが理由として挙げられた気がしますが、最近は米国の裁判所が多数の訴訟件数を抱えたことにより審理の遅延化が進んでいるのに対し、日本の裁判所は裁判官がかなり主体的に論点の整理を行うなどして訴訟進行を早めた結果、地裁レベルでは平均して訴状提出から1年以内に結論が出るようになっており、事態は逆転しています。最近の主な理由は、日本という市場が世界で占める重要性が徐々に低下している気がしており、日本において権利活用を行うよりも、一大消費市場である米国、及び生産・消費共にグローバルな重要性が高まっている中国において権利活用を行う機会も増加し、また、その重要性も高まっていることのように思えます。当然、ガラパゴス市場と揶揄される国内においてのみ成立している市場もありますので、日本出願のみおこなうことも当然あり得るわけですが、海外市場の重要性が高まっている分野においては、極論すれば日本出願は慣れ親しんだ日本語で速やかに出願し、優先権を確保するためだけのものになりかねません。

日本の市場の重要性が低下すれば致し方ないことのようにも思えるのですが、そのことは知財大国を目指そうとする日本にとってよいのだろうか、という根本的な疑問があります。とどのつまりは、世界的に通用する発明を創出する努力と、日本においても権利活用がし易い制度を創出する努力の双方が必要なのだろうとぼんやり思っています。

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知的財産/特許」カテゴリの記事

コメント

こんにちはhappy01

自分の勤務している会社も海外を相手にしないといけない状況ですので同じようなものでしょう。

米国特許調査は完璧にmust状態ですね。やはり日米で審査官が引用する引例はかなり違いますし、権利解釈もこれまた違います。結局、ガラパゴスというよりはダブルトラック状態です。

はじめまして。メーカーの特許担当をしています。
競合、お客様ともに半分以上海外です。

>海外から日本へ特許出願を行う件数は
>あまり増加傾向にあるようには見えず、

議論の本筋からはずれますが、海外の競合が日本に出願をしてくれないと、先行技術調査が辛いというのが実務上の困りごとです。

これもガラパゴス化の一部なんですかね

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