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2009年10月

twitterでアカウント作りました

子供が新型インフルエンザにかかってしまい、昨日からてんてこ舞い状態wobblyなので短めに。

最近、twitterが携帯電話に正式対応(といってもまだベータ版)したことを機会に、twitterにアカウントを持つことにしました。それまで、会社でつぶやくには時間がないし、家に帰ると夜遅くなってからつぶやくことになるのであんまりリアルタイム性に欠けるのでちょっと遠慮していたのですが、携帯電話の空き時間に使えるようになればぶつぶつとつぶやくのもいいかな、と思い、アカウントを取りました。パテントサロンにも掲載されていますので、気になる方は探されてみて下さい。

で、twitterで一人でつぶやいているのはとても寂しいのでお友達を捜したところ、結構な人数がいてびっくりcoldsweats02。知財系BLOGでの有名人の方もいっぱいですし、さらには、インターネット黎明期にホームページの可能性やインターネットをめぐる著作権等について発言されていた有名弁理士、そして、ちょっとマイナーどころでは、パソコン通信(この言葉を知らない人も多いんでしょうね)の黎明期に法律関係の議論及び質疑応答をしていたLegal Netというサイトで活躍されていた弁護士の方まで見つかりました。Legal Netが今から15年ほど前のことですから、過去15年、あるいはそれ以上のパソコンを起点とする通信において先進的な関心を持ち、活動をしてきた法律系の方がずらっとtwitterにアカウントを持っていたわけです。

自分もLegal Netに参加し、色々と発言を重ねていたところ、その発言をまとめた本が出るということで、ちょっとだけ印税をいただいたことがあります。それから、同時期にNiftyのFLICというフォーラムで弁理士受験生会議室を立ち上げ、約2年ほど議長を務めたことがあります。パソコン通信の黎明期及び成長期に、それなりの活動を残せたことは、密かに自分の自慢でもあります。twitterで、この頃に先進的な活動をされてきた方がまだ現役でtwitterに興味を持って参加されていることを思うと、短いながらも15年なりの歴史をしみじみと感じると共に、まだまだインターネットのメディアとしての可能性は様々あるのだな、という新たな発見をすることができました。

twitterそのものについてのコメントは、使って間がないこともあるし、そういった評価はもっと専門の方がいると思うので、ここでは述べません。とりあえず、脊髄反射的なコメントをぼつぼつつぶやいていますので、BLOGでの論調と全然違うことを書いています。それこそがtwitterなんだろうと思うので。

電気自動車はいつ普及するのか(その2)

以前、このBLOGで電気自動車の将来及び日本の自動車産業が引き続き電気自動車時代において勝者であり続けるのかという話をしました。その後も時々考えているのですが、未だに結論らしきものは見えてきません。そんな中で、電気自動車について業界事情をよく知っておられる方のコラムがありました。考えるべきポイントがちりばめられており、穏当かつ真っ当な議論だとの感想を持ちました。

電気自動車については冷静さを失ったナショナリズム的な議論に向かうのは好ましくないと思っています。例えば妹尾堅一郎教授は自著の「技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか」の冒頭で日本自動車産業に対して警鐘を鳴らしていますが、電気自動車自体が実は決して新しい技術ではなく、ずっと検討はされてきたもののネックとなっているのが電池技術であり、これは現時点でも完璧な解決がされたとはいえないこと、日本自動車産業の各社はかなり以前から排気ガスの清浄化の延長として脱内燃機関化を研究してきており、現在ハイブリッド車が脚光を浴びているように見えても、電気自動車であれ燃料電池自動車であれ他の選択肢も研究対象として外してはおらず、様々な選択肢を検討した上で熟慮の結果ハイブリッド車を選択しているであろうことを考えると、ハイブリッド車を単なる電気自動車への一時的つなぎ技術として考えてはいないと思われることを考慮すると、日本自動車産業は決して慢心しているわけではなく、重々承知の上で現在の技術戦略を決定し、実行していると思うのです。藤本隆宏教授は、自著の「能力構築競争」において、様々な条件を考慮した上で、21世紀の第1四半期はやはり現在の内燃機関自動車が主流であろうという判断をされています。

当然、前にも述べたように、現在の内燃機関自動車を前提とした日本自動車産業の隆盛に楔を打ち込もうとする陣営は、一足飛びに電気自動車の普及を狙い、その市場での覇権を競うことは火を見るよりも明らかです。市場のニーズを冷静に判断し、過剰品質にならないように合理的な解決策を提供することで、主導権を握ったまま来るべき電気自動車時代に対応する必要があると思います。

このあたり、私はうっかり見逃してしまったのですが、先週の日曜日から2回連続でNHKスペシャルで特集されるようです。明日は、一番気になる中国の新興企業及び米国のベンチャー企業の動きが放送されるようです。戦後の日本では、オートバイから始まり、4輪車製造に至るまで数多くの企業(かなりは町工場)が登場し、合併、消滅等を繰り返して現在の日本自動車産業に至るわけです。電気自動車でも同じ事が起こりつつあるのだと捉えることができます。インフラや電池(鉛電池を積んだ電気自動車もまだまだあるようです)の諸問題を抱えつつも、そういった問題があることが霞んでしまうほどの勢いが中国の新興企業や米国のベンチャー企業にはあるかもしれません。注視する必要があるでしょう。

今年も寄付講座やってます

去年もBLOGでお話しした大学での寄付講座、今年も始まりました。今年は他に国内でもう1つ別の大学で(これはすでに終了)、さらに外国でももう1つ別の大学で(現在準備中)寄付講座を開催することになっており、資料作成にちょっとばたばたしています。

先週、自分の会社が担当する回の最初の講義がありました。私は講義はしませんが、講義をするお偉いさんのアテンドで出席しました。相変わらず教室は満員で大盛況でした。授業中は、結構居眠りをしている学生がちらほらと目立ち、学生の関心は今一つかな、という気がしていたところ、アンケートの集計作業をしてみると、結構感想にそつないことを書いていて、まあ、それなりに関心はあったのかな、と思っています。

現在進行中の寄付講座は、対象が学部2年生以上です。一方、既に終わった寄付講座は対象が大学院博士課程前期です。この対象学年の差が、授業態度なりその後の質疑応答の活発さなりに如実に表れてしまいました。正直なところ、学部2年生以上では知的財産が企業でどのように活用されているのかという点についてあまり関心を持てていない気がします。上に書いたアンケートの集計結果を見ても、「難しくてわかりにくい」という感想がちらほらありました。一方、「学部2年生以上なんだからもっと深い話をしろ」というお叱りの意見もありました。自分の経験を簡単に敷衍するのもよくないかもしれないのですが、自分が学部2年生以上の時点で社会の全体像を把握できるのは難しいでしたし、実感がわきにくいこともあるでしょう。理系大学の学部生の大半が大学院に進学することを考慮すると、就職という形で社会との関わりを考えるきっかけも、学部2年生以上にはまだまだ遠い出来事と思われているのかもしれません。一方、大学院に入ると、博士課程前期の1年生後半になれば就職を真剣に考えないといけないですし、研究を進めていく上で実社会の関わりを考える人もちらほらと出てくるでしょう。このあたりの問題意識の差が出てくるのかもしれません。

それから、話している内容が企業秘密に近いこともあるので、配布資料は一切なしでプレゼンだけで講義を進めています。板書もしません(暗いので)。このような状態になると、ただ授業を聞いているだけでメモ書きを一切しない学生が大半を占めます。メモを取らずに概略を理解すれば十分と考えているのか、はたまた、後でまとまった資料が来ると思っているのか、さらには、試験で各講義の具体的内容について問う設問を過去出題していないのを学生が情報として既に知っているのか(今年は全然決めていませんので、もし、学生さんがこれを読んでいる場合は油断されないように)、理由はよくわからないのですが、聞いているだけでいいのだろうかとちょっと心配してしまいます。逆に、箇条書きでもいいから配布資料を用意したほうが学生さんのためになるのかも、とも思います。

去年のBLOGでは持ち上げておきながら、今年は苦言を呈するというのは一貫性がないのですが、まあ、それだけ期待するところが大きいということで。

特許資産指標って何?

今日は短めで。

ダウケミカルとBASFの共同プレスリリースで、「特許資産指標」なるものを使ったところ、BASFが総合1位、ダウケミカルは競合影響力で1位になったとの発表がありました。ん、「特許資産指標」?日本だと、パテントリザルト(旧IPB)のパテントスコアとか工藤一郎国際特許事務所のYKS手法とか、あと、OceantomoのPatentratingsとかがよく知られていますが、どうなんでしょうか。

で、特許資産指標を提唱したオットー・バイスハイム経営大学のHolger Ernst教授のサイトを探したところ、特許資産指標(Patent Asset Index)が紹介されたPDFを見つけました。引用数(資料からするとForward Citationのようです)とか異議申立、権利者による放棄をスコア化しているのは他の指標と変わらないようですが、Market Coverageとしてその企業の全特許が存在する国のマーケットシェア(多分製品単位でやっているのでしょう、そうしないと意味がないですから)を全世界で足し合わせて(米国を1として規格化しているようです)いるところが目新しいようです。しかも、算出方法は全て学術誌で公開するからTransparentである(他のところはmetricsが公開されていないのと違う、との主張)と謳っています。

う~ん、ちょっとひねりがないかなぁ。他の指標のように重み付けが不透明である(そこがノウハウでしょうから公開しないのは当たり前といえば当たり前なんですが)ゆえに指標自体の信憑性に欠けるのとは違うのはその通りだと思いますが、もう少し工夫できたのでは、と思います。まぁ、全世界をまとめたIndexというのは今までなかったので、その意味では面白いと思います。

Holger Ernst教授の資料によれば会社を立ち上げる予定とのことですから、そのうち日本にも営業が来るかもしれませんねwink

「特許価値戦略」を読んで

このBLOGであまり批判的なことは言わないほうがいい…というか、あれこれと細かいことに目くじらを立てて議論するのは、自分もいい年なので止めようかと思うのですが、気になり始めるとやはり言いたくなるのは自分の品性のなさかもしれません。小異を捨てて大同につく、と言いますが、小異は小異で気になるものです。

何を言いたいかというと、土生先生が推薦の辞を寄せている「特許価値戦略」という本を読んでなかなか違和感がとれずにいたのです。この本、久野さんというオムロンの特許担当をされている方が書かれた「特許戦略論」と並んで、企業の特許実務家が自身の経験に基づいて特許戦略はかくあるべしと説いた貴重な本です(鮫島弁護士もかつて企業実務家でしたが、かなり現場から離れていたこともあって、氏が説かれる「特許戦略」は現在の企業では通用するかどうか若干疑問符が付きます)。なかなか企業実務家が自身の経験なり特許制度に関する自身の考えを披露することは少ないですし、上に書いた本はいずれも通り一遍の記載ではなくかなり踏み込んだ記載がされていますので、企業の特許実務を知らない方が読めば非常に参考になると思うのですが、「特許価値戦略」に関して言えば、著者が半導体分野での特許実務経験しかないこと、また、韓国の半導体メーカー勤務ですから自身が勤務する特許を他社に対して有効活用した経験が少ないと推測されることから、特許制度に関する考えも特許戦略として考えるべきことも他の業界の特許実務から見ると考えの相違や不足点が目についてしまい、納得するまでに至らないでいます。

あと、気になるところを挙げると、クリステンセン教授の破壊的イノベーション論を引用していながら、破壊的イノベーション論と特許戦略との関係については明快な解決案を示し切れていないところ、イノベーション論と特許制度との関係に言及しつつも、米国を中心とするイノベーション論及び計量経済学から見た特許制度の価値評価の主要論文を読んだ形跡がない("Rembrandts in the Attic"は読まれているようです)ところ、技術ロードマップに基づいて特許戦略を立案すべきという観点は非常によいのですが技術ロードマップの作成を社内有識者にのみ委ねているところ(技術経営を学ぶと技術ロードマップについて色々と教わるのですが…)などなど、ちょっとずつありますが、段々と重箱の隅をつつくような議論になりそうなので止めておきます。

まぁ、ここまで大仰なことをいうならば、自分でも書籍を上梓すればいいではないかという話になろうかと思いますが、現時点ではそこまでの余裕がないので止めておきます。

それにしても…この性格、直さないといけないかなぁsad


本日は拙いベンチャー論でも

本日も性懲りもなく(?)東京大学知的資産経営統括寄付講座の公開セミナーに参加して参りました。本日は大学発ベンチャーとベンチャー論についてのお話で、知的資産とは微妙に重ならないなぁと思いつつ、それはそれなりに楽しく聞かせて貰いました。

大学発ベンチャーについては、平成13年に経産省の肝いりで大々的に1000社計画が発表され、それに基づいて各種支援策が取られてきたことでめでたく1000社計画は達成したわけです(経産省プレスリリース)。ただ、これは当たり前と言えば当たり前のことですが、ベンチャーは立ち上げればいいと言うわけではなく(これは政策立案者だってわかりきったことでしょう)、それに基づいて新産業の創出が促進されなければならず、最終的にHappyなExitをどれだけのベンチャーが迎えられるか、ということを考えなければならないわけです。

私が芝浦工大MOT大学院に通っていた時の指導教授はベンチャー支援、特にバイオベンチャー支援を専門にされている教授で、ゼミ仲間には製薬企業に勤務している人も何人かいましたし、大学院の特論でもバイオベンチャー論を選択受講しました。自分の修論(というか修士論文ほど立派ではないので卒業研究とでも言うべきかも)ではバイオベンチャーを中心とした事業立ち上げと知財戦略との関連について研究をしました。その中で学んだことは、アメリカはベンチャー立ち上げ、特にスタートアップベンチャーを取り巻く環境、正確には社会システムが揃っており、アイデアのシーズがあってその技術的有用性とビジネスの可能性が認められれば支援者、支援システムによりベンチャーを立ち上げる障壁を低める取り組みがなされている、ということでした。ベンチャーというとベンチャーキャピタルの存在がクローズアップされがちですが、スタートアップベンチャーにとっては公的支援やエンジェル投資と言われる個人富裕層からの資金援助のほうが助けになり、ある程度の規模になるとベンチャーキャピタルが支援をするという順番になっているようです。

ベンチャーキャピタルとて慈善事業をしているわけではないですから、スタートアップのような強烈なハイリスク案件に対して当初から投資をするかどうかの判断は難しいです。しかも、ベンチャーキャピタルにとってはExitにより投資回収をしなければベンチャーキャピタル自身の資金繰りが行き詰まってしまいますから、一定期間での投資回収にどうしても焦ることになり、結果としてベンチャー企業にもベンチャーキャピタルにも不幸な結果となることもあります。ただ、現在のベンチャーキャピタルはIPOを前提にビジネスモデルを組んでおり、現時点ではIPOが低調であるがために全般的に腰が引けているように思え、この点はちょっと改善して欲しいなぁ、と思います。

日本の場合、エンジェル投資といった成功者利益の次なる新事業創出への還元がなかなかなされていない部分があります。税制上の問題等あるわけなんですが…。加えて、ベンチャーを立ち上げる際にアイデア提供者自身がベンチャー企業の経営に相当関与しないといけない場合が多いのですが、アメリカの場合、ベンチャー企業経営に適した人材がベンチャー経営に関与する率が高い(日本だとそういった人材は大企業内で囲い込まれていますから)、つまり流動性が高いので確保しやすく、アイデア提供者はアドバイザーと言った形で関与すればよいようになります。法律的問題も、ベンチャー問題に詳しい法律事務所がアメリカにはかなりの数ありますから、任せておけば問題ありません。

このあたり、アメリカと日本のベンチャーに関する歴史の差、ということのようにも思えます。よくベンチャー論を議論すると国民性の差に起因させる議論が多くあるのですが、日本でも大企業がこれだけあてにならないことがわかってくると、学生の中にもrisk takingな風潮が徐々に高まってきてもおかしくないと思います。そもそも、今の大企業だって昔はみなベンチャー企業であったわけですし、戦後の一時期には雨後の筍のように起業ブームがあったわけで、その中で生き残った起業が世界的大企業として君臨しているわけです。戦略構想力や概念形成力といった部分は、現在日本人は全般的に他国(特に米国、中国)と比較して見劣りするようにも思えますが、この点は経験によって補える部分が多々あると思っています。

テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で知財活用の特集がありました

ここ毎日、書くネタがぼつぼつあって夜はBLOG書きで潰れます。早く寝たい…。

昨日、テレビ東京系列のワールドビジネスサテライトで、知財の活用に関する特集が放映されていました。まず、日産自動車が、チノーに対して遠赤外線技術に関する特許を供与して、チノーがそれに基づいて体表面温度測定器を開発した話が紹介されていました(紹介記事)。また、富士通も、自社が保有していた特許を他の企業に供与した例が紹介されていました(富士通のプレスリリース)。富士通の場合、川崎市が主催する知的財産交流会にこのところ参加しており、その交流会の成果として未使用特許を提供することになったようです。このように、近年、企業は自社で活用していない特許を他社に売却することを行っており、企業が知的財産を活用する形態が変化している、という論調でした。この流れ、2年くらい前に日経ビジネスが特集号で紹介していることでもあり、また、NECが4~5年前に自社に眠る知的財産付きの技術を他社に提供する営業部隊を作ったことがある意味でその先鞭をつけた(PDF資料があります)ことでもあるので、個人的には、今更かなぁ、と思ってしまいました。INPITも特許流通事業を行って(有名でしょうからリンクは張りません)いますし、じわじわではあっても一つの流れではあると思っています。ただ、口で言うほどこの事業は簡単ではないだろうなぁ、とも思います。

続いて、知財の活用形態の新たな取り組みとして、特許オークションが紹介されました。Ocean Tomoでも出てくるのかと思ったら、日本技術貿易のインターネットオークションサイトが紹介されました。ただ、全世界的に見ると、リーマンショック以降投機に回る資金がめっきり細ってしまったせいか、知的財産オークションはかなり低調な状態にあるようです。日本技術貿易の担当の方が、日本企業は他国(特に中国、韓国)に特許を提供すると結果的に安価な製品が逆輸入されること(ブーメラン効果と言っていました)を恐れて国内での特許供与にこだわる傾向があるとおっしゃっていました。

そして、この流れで、世界的デファクトスタンダード争いには負けたけれども、中国での国内標準を目指すことで再度特許の活用を図る例として、HD-DVD規格の技術に基づいたCBHDが紹介されていました。番組では、東芝のDVD技術者の権威と呼ばれ、HD-DVD規格の技術統括をされた方(既に退職されてさる企業の技術顧問をされています)が登場され、自身が関わられた技術に関する特許の有効活用を図った旨発言されています。この話は、6月頃に日経ビジネスで紹介されて結構話題になった(妹尾先生の新刊書にも出てきます)ものです。で、実際はどうなんだろうと思うと、こんな記事もあり、現状ではまだまだ発展途上にあるようです。

ちょっと脱線しますが、企業人としての立場を離れて、純粋に第三者として中国独自規格のことを考えてみます。中国は、DVDやGSMの規格技術を導入する際に、海外企業が有する必須特許に対する特許料支払いが極めて多額になり、国内産業にもかなりの打撃を受ける結果となりました。このため、次の世代の規格技術については、中国独自規格を立ち上げ、海外企業への特許料支払いをできるだけ低額にする政策をとっています(どんな規格があるかは、上の記事に書いてありますのでご覧あれ)。しかし、中国の製造企業にとっては、中国でのマーケット立ち上がりに関してかなりの不安を持つと共に、電機製造業は国内市場だけでなく海外市場も重要な市場ですから、中国独自規格と国際標準規格の両方の製品を作らざるを得ません。これは結構大変なものだろうと思います。また、光ディスクについて言えば、ハードウェアばかり作ってもソフトウェアが充実していなければ消費者は中国独自規格を選択しません。中国独自規格であるEVDも、DVD規格のソフトウェアの山の前に主流規格となり得ずにいます。携帯電話の第三世代の規格であるTD-SCDMAも、ガリバー企業であるチャイナモバイルが担当しているとは言え、端末の数では現状見劣りがするようです。ですから、国策とは言え、中国独自規格を推進することが中国の製造企業及び消費者にとってHappyな結果につながるかどうかについては、慎重に考えざるを得ません。

まあ、こんなところで、特集部分は私にとって目新しいこともなかったのですが、知財の有効活用というのは企業にとって重要な命題ですので、引き続き考えていかなければいけないなぁ、と思った次第です。

NHK「クローズアップ現代」でパテントトロール特集がありました

本日はちょっと疲れているので短めに。

パテントサロンでも紹介されているとおり、本日、NHKのクローズアップ現代で「“特許の怪物”が日本企業を襲う」という物々しい題名でパテントトロールの特集がされました。パテントトロールという用語ができたのが2000年頃ですから、ようやくテレビでも紹介されるようになったのか、と思ってしまいました。

内容は、パテントトロール(パテントトロール会社の例としてAcaciaが出てきました)の概括とパテントトロール対策としてRPXとパテントプール(画面を見るとアルダージですね)のことが紹介されていました。パテントプールというのはパテントトロール対策のために始めたのではなく、パテントトロール対策として現在その意義がより高まっているのですが、ちょっと番組では歴史的な経緯にまで触れることができないのか、それともNHKのディレクターが理解できなかったのかよくわかりませんが、この点が誤解されるのもよろしくないかな、と思ってしまいました。

全体の感想として、30分という短い時間の中でまとめるのは大変だったのかもしれないというところでしょうか。パテントトロールの存在は、今後の特許制度そのものの変革への起爆点となりうるものですから、ヘンリー幸田さんが休眠特許を含めた日本企業の特許権の有効活用を力説して、今までのプロパテント政策の延長線上で語るよりは、未来を見据えた観点を持って番組作りをしてくれたら良かったように思います。番組の途中で、米国知財法の専門家としてスタンフォードロースクールのMark Lemley教授が意見を述べておられていましたが、レムリー教授の意見をもっと掘り下げていただけるともっと面白くなったのでは、と思います。余談ですが、レムリー教授が「岐路に立つ特許制度」に寄稿された論文「特許権の無視」は非常に核心を突いた良い論文です。

弁理士試験合格から20年ですか…

この間の土日に、平成元年度弁理士試験合格者の同期合格の集いがあり、久しぶりに出席してきました。合格から20年たつわけですが、その間、この同期合格者の集いは継続的に行われてきており、非常に息の長い活動を続けてきていました。合格当時はみな特許事務所に勤務していたり、また、企業特許部にいたりしたわけですが、20年の月日を経て、かなりの人が独立開業したり、特許事務所を共同経営したりですっかり経営者然としている中、参加者の中で私だけが企業知財部で地味に活動をしているので、随分立場が変わってしまったなぁとしみじみ思ってしまいました。

20年前の頃は弁理士の合格者が100人をちょっと下回っていたあたりです。弁理士という資格自体が非常にマイナーで、特許事務所に大学(院)から新卒で就職することは稀で、企業の中の特許部の位置付けもそれほど重要視されていないところもそれなりにあって、今から見れば隔世の感があります。この20年、特許業界もそれなりに荒波に揉まれてきているように思いますが、このところの世界的大不況のあおりをくらって大企業を中心として特許出願件数をかなり絞り込んでいるので、短期的には特許事務所の経営の問題、中長期的には弁理士業界の構造変革の必要性といったところも話題になりました。

合格した当初40歳前後の人であっても、20年たつとなんと還暦を迎えて企業だとリタイアすべき時期になってしまいます。近況報告でも後継者問題やこれからどうやってハッピーリタイヤメントを迎えるかといった話題が相次ぎ、20年間時代を駆け抜けてきたことに対してご苦労様でした、といった感じになりました。

私は、合格した時に30歳直前でした(平成元年度合格者の中では相当若手でした)から、まだ20年たってもせいぜい中堅どころでしかなく、もう少し走っていなければいけないかな、と思っています。この20年間、自分の興味に任せて大学(院)に行ったり、勉強をしたり、はたまた特許事務所から企業知財部というその当時としては(15年も前です)ちょっと珍しいキャリアパスを選択したりして、かなり風変りな業務経験をしてきたように思います。それもこれも、強烈に意図していたわけではないのですが、時代の最先端を追いかける作業であるとともに、自分がそもそも思い描いていた「知的財産で社会に貢献する」という命題の実現を追求する作業でもあったように思います。

自分が定年を迎えるまであと10年以上あります。10年たった時にその時の心境を聞かれたら、多分、まだ現役でいたいと思っているのではないでしょうか。とにかく、弁理士になってからずっと走りながら考えることを続けています。これは癖みたいなものですから、きっと簡単には治らないでしょう。

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