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本日は拙いベンチャー論でも

本日も性懲りもなく(?)東京大学知的資産経営統括寄付講座の公開セミナーに参加して参りました。本日は大学発ベンチャーとベンチャー論についてのお話で、知的資産とは微妙に重ならないなぁと思いつつ、それはそれなりに楽しく聞かせて貰いました。

大学発ベンチャーについては、平成13年に経産省の肝いりで大々的に1000社計画が発表され、それに基づいて各種支援策が取られてきたことでめでたく1000社計画は達成したわけです(経産省プレスリリース)。ただ、これは当たり前と言えば当たり前のことですが、ベンチャーは立ち上げればいいと言うわけではなく(これは政策立案者だってわかりきったことでしょう)、それに基づいて新産業の創出が促進されなければならず、最終的にHappyなExitをどれだけのベンチャーが迎えられるか、ということを考えなければならないわけです。

私が芝浦工大MOT大学院に通っていた時の指導教授はベンチャー支援、特にバイオベンチャー支援を専門にされている教授で、ゼミ仲間には製薬企業に勤務している人も何人かいましたし、大学院の特論でもバイオベンチャー論を選択受講しました。自分の修論(というか修士論文ほど立派ではないので卒業研究とでも言うべきかも)ではバイオベンチャーを中心とした事業立ち上げと知財戦略との関連について研究をしました。その中で学んだことは、アメリカはベンチャー立ち上げ、特にスタートアップベンチャーを取り巻く環境、正確には社会システムが揃っており、アイデアのシーズがあってその技術的有用性とビジネスの可能性が認められれば支援者、支援システムによりベンチャーを立ち上げる障壁を低める取り組みがなされている、ということでした。ベンチャーというとベンチャーキャピタルの存在がクローズアップされがちですが、スタートアップベンチャーにとっては公的支援やエンジェル投資と言われる個人富裕層からの資金援助のほうが助けになり、ある程度の規模になるとベンチャーキャピタルが支援をするという順番になっているようです。

ベンチャーキャピタルとて慈善事業をしているわけではないですから、スタートアップのような強烈なハイリスク案件に対して当初から投資をするかどうかの判断は難しいです。しかも、ベンチャーキャピタルにとってはExitにより投資回収をしなければベンチャーキャピタル自身の資金繰りが行き詰まってしまいますから、一定期間での投資回収にどうしても焦ることになり、結果としてベンチャー企業にもベンチャーキャピタルにも不幸な結果となることもあります。ただ、現在のベンチャーキャピタルはIPOを前提にビジネスモデルを組んでおり、現時点ではIPOが低調であるがために全般的に腰が引けているように思え、この点はちょっと改善して欲しいなぁ、と思います。

日本の場合、エンジェル投資といった成功者利益の次なる新事業創出への還元がなかなかなされていない部分があります。税制上の問題等あるわけなんですが…。加えて、ベンチャーを立ち上げる際にアイデア提供者自身がベンチャー企業の経営に相当関与しないといけない場合が多いのですが、アメリカの場合、ベンチャー企業経営に適した人材がベンチャー経営に関与する率が高い(日本だとそういった人材は大企業内で囲い込まれていますから)、つまり流動性が高いので確保しやすく、アイデア提供者はアドバイザーと言った形で関与すればよいようになります。法律的問題も、ベンチャー問題に詳しい法律事務所がアメリカにはかなりの数ありますから、任せておけば問題ありません。

このあたり、アメリカと日本のベンチャーに関する歴史の差、ということのようにも思えます。よくベンチャー論を議論すると国民性の差に起因させる議論が多くあるのですが、日本でも大企業がこれだけあてにならないことがわかってくると、学生の中にもrisk takingな風潮が徐々に高まってきてもおかしくないと思います。そもそも、今の大企業だって昔はみなベンチャー企業であったわけですし、戦後の一時期には雨後の筍のように起業ブームがあったわけで、その中で生き残った起業が世界的大企業として君臨しているわけです。戦略構想力や概念形成力といった部分は、現在日本人は全般的に他国(特に米国、中国)と比較して見劣りするようにも思えますが、この点は経験によって補える部分が多々あると思っています。

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