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「特許価値戦略」を読んで

このBLOGであまり批判的なことは言わないほうがいい…というか、あれこれと細かいことに目くじらを立てて議論するのは、自分もいい年なので止めようかと思うのですが、気になり始めるとやはり言いたくなるのは自分の品性のなさかもしれません。小異を捨てて大同につく、と言いますが、小異は小異で気になるものです。

何を言いたいかというと、土生先生が推薦の辞を寄せている「特許価値戦略」という本を読んでなかなか違和感がとれずにいたのです。この本、久野さんというオムロンの特許担当をされている方が書かれた「特許戦略論」と並んで、企業の特許実務家が自身の経験に基づいて特許戦略はかくあるべしと説いた貴重な本です(鮫島弁護士もかつて企業実務家でしたが、かなり現場から離れていたこともあって、氏が説かれる「特許戦略」は現在の企業では通用するかどうか若干疑問符が付きます)。なかなか企業実務家が自身の経験なり特許制度に関する自身の考えを披露することは少ないですし、上に書いた本はいずれも通り一遍の記載ではなくかなり踏み込んだ記載がされていますので、企業の特許実務を知らない方が読めば非常に参考になると思うのですが、「特許価値戦略」に関して言えば、著者が半導体分野での特許実務経験しかないこと、また、韓国の半導体メーカー勤務ですから自身が勤務する特許を他社に対して有効活用した経験が少ないと推測されることから、特許制度に関する考えも特許戦略として考えるべきことも他の業界の特許実務から見ると考えの相違や不足点が目についてしまい、納得するまでに至らないでいます。

あと、気になるところを挙げると、クリステンセン教授の破壊的イノベーション論を引用していながら、破壊的イノベーション論と特許戦略との関係については明快な解決案を示し切れていないところ、イノベーション論と特許制度との関係に言及しつつも、米国を中心とするイノベーション論及び計量経済学から見た特許制度の価値評価の主要論文を読んだ形跡がない("Rembrandts in the Attic"は読まれているようです)ところ、技術ロードマップに基づいて特許戦略を立案すべきという観点は非常によいのですが技術ロードマップの作成を社内有識者にのみ委ねているところ(技術経営を学ぶと技術ロードマップについて色々と教わるのですが…)などなど、ちょっとずつありますが、段々と重箱の隅をつつくような議論になりそうなので止めておきます。

まぁ、ここまで大仰なことをいうならば、自分でも書籍を上梓すればいいではないかという話になろうかと思いますが、現時点ではそこまでの余裕がないので止めておきます。

それにしても…この性格、直さないといけないかなぁsad


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