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「第7回東京ベイエリア産学官連携・先端工学研究機構 技術経営研究センターシンポジウム」に参加しました

一昨日の金曜日、芝浦工業大学で開催された、「第7回東京ベイエリア産学官連携・先端工学研究機構 技術経営研究センターシンポジウム(チラシPDF)」に参加してきました。今回は、「太陽電池ビジネスにおける日本企業の戦略」と題して、太陽電池に関する企業の担当者、具体的には、素材メーカー、製造装置メーカー、パネルメーカー、そして、いわゆるナショプロとしてこれら企業側にfundingを行う団体として、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDOって言わないと通じないかもしれませんね)の担当者のパネルディスカッションがありました。

ご存じの方も多いと思いますが、太陽電池については数十年前から国家プロジェクトとして立ち上がり、長年かけて日本を代表する産業にまで成長することができました。大体数千億規模の市場だそうです。しかし、Feed-In Tariffと呼ばれる制度の後押しもあり、ここ数年、ドイツ及びスペインでの太陽電池装置の導入が急激に成長してあっという間に日本が抜き去られてしまいました。また、太陽電池装置の生産メーカーの世界シェアも、トップには既に日本企業がおらず、ドイツのメーカーや米国等の多国籍企業に抜かれてしまいました。今回のシンポジウムの問題意識としては、太陽電池産業がDRAMやDVDなど、日本が世界のトップを占めていながら、その後、東アジア諸国の猛追を受けて二度と栄光の地位に復活できなかった産業の二の舞になるのではないか、ということがありました。

当事者の意見としては、例えばNEDOの担当者の方が、現状を見ると日本企業も堅実に生産量を伸ばしており、ある意味堅調に成長していること、日本企業のお家芸は高品質(この場合は光電変換効率)にあり、高品質な製品が受け入れられる市場は確実にあるので今後もこの方針は崩さない、ということのようでした。

太陽電池装置に関する議論を難しくしているのが、太陽電池と一言に言ってもその種類は様々であり、ドミナントデザインだと言えるものがないことと、例えば砂漠での発電であれば少々低効率であっても低コストが優先されるが、屋根に載せるようなものであれば高効率なものが望まれるといった用途に応じて様々な選択肢がありうることがあります。考えられるシナリオとしては、既に確立された製造方法及び製造装置を用いて、いわゆるTurn-key Solutionにより人件費の安い国で大量生産をすることで極めて低コストなものを実現し、これが、高い光電変換効率をさほど要求しない用途向けに世界に出回ることで日本企業の地位が一気に低下することが考えられます。既にその入り口に入っているようにも思えます。そういった現状を見た上で、まだ高効率を追求するばかりの日本企業はグローバルな視点に欠けているようにも見えるわけです。一方で、薄膜型のように半透明な太陽電池を実現したり、さらには有機薄膜型、色素増感型のようにガラス基板を必要としない「柔らかい」太陽電池が実用化されたら太陽電池装置そのものの設置場所の制約が一気に取り払われる可能性もあり、将来性に期待できるところも大いにあります。

加えて、パネルディスカッションの話を聞くと、まだ製造工程での歩留まりなり品質のムラを改善している最中の種類の太陽電池もかなりあり、単純にTurn-key Solutionで簡単に製造できるものばかりとも言えないようです。一方、製造装置メーカーは当然Turn-key Solutionによる大量生産を期待していますから、コスト重視の製造装置と品質重視の製造装置の両睨みで進むしかないようです。

シンポジウムを聞いた限りでは、上に書いたような太陽電池装置のコモディティ化に対する明確な解答は得られませんでしたが、折角日本がここまで育ててきた産業ですから、どの企業も果実を存分に味わうことのできる状況になって欲しいと願います。パネルディスカッションの出席者の方から、「海外企業は専業メーカーですが日本企業は専業ではないので政策や景気といった変動要因に対して強いのです」という発言がありましたが、私としては、逆に専業メーカーであるからこそ大胆な投資と戦略が実現できるのであり、その結果として一時期的であるかもしれませんが、そういった専業メーカーが世界トップシェアを実現できたと思えます。DRAMにおけるSamsungの例を見ても専業メーカー(及びそれに近いメーカー)の強さはあなどってはいけないと思うのです。

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