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2010年5月

知財戦略なり標準化戦略なり

ご無沙汰しております。未だに体調は最悪でsad、しかしながら平日は業務が押しているし、土日は子どもを連れて遊びに行く用事が目白押しで、全く休息を取る暇がありませんcrying。ちと寿命を縮める結果になりはしないかと不安ですが…ま、生存証明のかわりにつぶやき程度の書き込みを。

産業構造審議会の分科会や知財戦略推進本部の専門委員会、そして知的財産推進計画でも知財戦略、そして今年は標準化という言葉があちこちで踊るようになり、知財を専門としない人たちの間でも「知財戦略」「標準化と知財」という言葉の知名度が高まっているように思います。大学生の間でも、エンジニア自体の将来性(やりがい、金銭的満足度などをひっくるめて)に少なからず疑問を持つ学生の中で、知的財産というのは国際性もあり、しかも「知財戦略」「標準化」といったトピックがあるせいか、これら「知財戦略」「標準化」を志望動機として企業知財部門に就職希望する人もちらほらと出てきたと聞いています。

では、上に書いたような政府系の審議会の委員の中で、実務において「知財戦略」「標準化」に携わった人がどれくらいいるかというと、厳密に統計は取っていませんが少数派(多分1/3、あるいはそれ以下)だという認識でいます。専門家でなくとも専門家からヒアリングをして知識を深めていただいてもいいのですが、あまりそういった努力もされていないように受け止めています。そういった多数派により政策が決定されてしまう危険性については今までもそうであったので、殊更に取り上げる気持ちもありませんが、間違った情報なり認識が世間に受け入れられてしまう怖さはあるように思います。

知財戦略、標準化というと非常にスマートで格好の良いものに受け止められがちですが、私の乏しい経験や社内の経験者から聞いた話を総合するに、知財戦略というのは極めて地道な努力の積み重ねによって成果が得られる部分も多々ありますし、標準化は方針決めも大事ですがパワーゲーム的要素も多々あるので経験値が物を言うところでもあります。従って、知財部門の専門家よりもビジネス経験のある人のほうが成果を出せることもあり得ますし、会社の知財戦略なり標準化戦略を差配するに至るまでには経験値に基づく総合的判断ができる必要があります。しかも、知財戦略や標準化戦略の本質は大きく変化しないものの、考慮すべき要素は日々変化していますから、何年か前まで実務をやっていましたという実務家教員であっても最先端の知財戦略なり標準化戦略を教育して即戦力に育てるのは難しいです(過去の知識が通用する範囲も限られています)。

本来は最先端にいる(であろう)知財の実務家が知財戦略であれ標準化戦略であれ広く語り今現場では何が起きているのかを認識していただく必要が多々あると思うのですが、そういった方ほど多忙を極めているので語る余裕がない(少なくとも自分の身の回りの人たちはそう)のが現実です。よって思うのは、様々な資料になっている知財戦略や標準化戦略が説いている内容は現実のほんの一部を描写しているに過ぎず、裏では担当者が汗まみれになって奮闘しているということを理解していただきたい、ということです。そして、大学生が知財戦略や標準化戦略の担当を希望して知財部門の就職を目指し、運良く企業知財部門に配属されたとしても、入社前に思い描く理想に至るまでにはかなりの時間と努力が必要である、ということです。知財戦略や標準化戦略は全社的課題ですから、知財部門の一担当者が全てを差配することは簡単ではありません。会社全体を動かさないと成就しない課題も山積しています。

日本企業の知財戦略であれ標準化戦略であれ様々な課題を抱えているのは事実で、担当者も十分認識していますが、最近ある成書に語られているような解決策で解決できるならば、実はとっくに解決できているのだと思っています。様々な解決策を実行しても次々と課題が生まれているのが事実ですし、社内のみならず利害関係者は幾つもの会社にまたがっているわけですから、トータルな解決策を実行するには並大抵の努力では済みません。現代はその努力が求められている時代だと思います。

ちょっとした近況報告

もしかしたら、こんなへぼいBLOGの更新を待ち望んでおられる方がいると申し訳ないので、簡単に近況報告をば。

ここ1~2週間ほど体調を崩し、入院はしていませんが、だるさのために夜は早々に寝ております。検査もしているのですが、現状、原因はつかめていません。とにかく休養第一なので、まだ暫くBLOGの更新もままならない状態が続きますが、ちょっとだけ長い目で見ていただけるとありがたいです。

幸いなことに(って何が幸いかわかりませんが)どうしても書いておきたい時事ネタもそんなになく、考え事をするのにはいい時期かもしれません。復活に向けて英気を養いますので、ちょっとしたらまたおいでいただけるとありがたいです。

このところの特許事務所業界を伝聞するに(番外編)

今回は、特許事務所業界について別の話題を書こうと思ったのですが、先日のBLOGでちょっとお話をした「特許事務所年鑑2010」が届いて、ざっと見たところ面白い現象が2つほどありましたので、まずはこの話を番外編として。

特許事務所年鑑2010は、出願ランキング上位の企業がどの特許事務所に特許出願の代理を依頼しているか、また、代理ランキング上位の特許事務所がどの企業の特許出願の代理をしているかを示したものです。なかなか、こういったランキング本が出版されることはないので、なかなか貴重だと思います。つまり、データそのものは、例えば1年分のDVD-ROMの書誌データをDB化して整理すれば、時間はかかるものの入手できるとは思うのですが、さて、そういったデータがどの程度ニーズがあるのかわかりませんから、書籍として出版するところがなかったのではないかと思います。さて、この本をどのように使うのか、色々と使い道はあるかと思います。

面白い現象のその一つは、代理ランキング上位の特許事務所の代理件数が、数年前の件数からかなり減少していることです。数年前の件数が出願人別になっていないので、具体的にどの企業からの代理依頼件数が減少したために事務所全体の代理件数が減少したのかを突き止めることはできないのですが、特許事務所年鑑2010の元データは2009年発行分公報データですから、いわゆるリーマンショックの影響は半年分程度しか受けていないと思われますし、それが証拠に出願ランキング上位の企業の出願件数は前年の傾向等を考慮すると激減しているようには見えませんので、特許事務所年鑑2010のデータだけでは判然としないところがあります。

もう一つ面白い現象として、出願ランキング上位の企業の中に、かなりの数の企業が自社出願をしていることです。それも、以前は自社出願をあまり推進していなかったと思われる企業が自社出願をしていることです。自社出願は、例えばキャノンの場合、重要出願は自社出願をしてそれ以外の出願については代理人出願にするという戦略を以前から推進していることは知られていますが、キャノン以外の企業がこれに倣って同様の戦略を推進しているのかどうか何とも言えません。と言うのも、戦略的に自社出願をするのであれば件数ベースでのコントロールが必要だと思うのですが、重要案件を自社出願しているには自社出願の割合がかなり多い企業も散見されますので、どういったメルクマールに基づいて自社出願をしているのかが外部からは推測しにくいのです。自社出願を行う場合、外部=特許事務所へのキャッシュアウトを削減することを目的とすることも考えられるのですが、実際に自社出願を推進している企業の知財担当者から聞いた話や、実際に自分が前の企業で自社出願をした経験を総合すると、企業の知財担当者は明細書作成業務だけをしているわけではないので、知財担当者の人件費を考慮すると、確かに見かけ上のキャッシュアウトは低減できても、トータルのコストパフォーマンスは特許事務所に依頼するほうがよいと思っています(具体的な数字は、ものすごい細かい話になるので、私も計算し切れていませんから、かなりアバウトな、感覚的なものに近いのですが)。従って、知財担当者が明細書作成業務を行うのは、コスト面以外の何らかの要因があってのことだろうと思っています。また、知財担当者の研修の一環として自社出願を行っている企業もあるかと思いますが、この場合は当面のコスト高は研修費込みと思えばいいことですから、問題ないかと思います。

自社出願件数の増加は、当然のことながら特許事務所側からすれば依頼件数の削減に直結しますので、特許事務所業界とすれば避けたいところです。とは言え、自社出願をする企業はそれなりの覚悟でそういった方針を採用しているでしょうから、再び特許事務所に出願代理を依頼することは考えにくいです。

あと、おまけで面白い現象とまでは言えないかもしれませんが…上述のように、各企業がどの特許事務所に出願代理を依頼しているかが一目瞭然にわかりますので、それでは、各企業がどれだけの「数」の特許事務所を「管理」しているか、というのもわかります。ある程度の件数の特許出願をする場合、当然、二桁の特許事務所とおつきあいをすることになりますが、管理をする側からすると、おつきあいをする特許事務所の数が多いと、会社の方針を各特許事務所に伝達し、また、特許事務所の「質」の管理をする手間が結構かかりますので、特許事務所の数が多い企業の場合、管理も大変だろうなぁ、と思います。件数が多ければ特許事務所の数が多くなるかというと、これは各企業のポリシーがありますので、何とも言えません。また、開発拠点のある場所と特許事務所の場所とを見比べてみるのも面白いです。

…って、こんなことを考えている人は少ないかも。

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