« 2011年10月 | トップページ | 2011年12月 »

2011年11月

ここ最近の電機メーカーの決算報告に思う

本日もとりとめのないお話しで失礼しますm(_ _)mえ?いつもとりとめのない話ばかりだって?coldsweats01ま、否定できないのが哀しいですがcrying

2011年度も半分を過ぎ、いわゆる第2四半期の決算報告が各社からされています。総合家電メーカーと言われる中で、オーディオビジュアルに重点を置いているパナソニック、ソニーはTV事業の大不振が響き、2011年度通期でも赤字決算になりそうだとの話になっています。一方、重電(今は社会インフラという言い方もするようですね)にかなり軸足を置きつつある日立、東芝は、この重電部門での好調さのおかげで決算は明るめの報告になり、そのせいか、日立がパナソニックの時価総額を抜いた、というニュースがありました。なお、ニュース記事は結構早くにリンクが切れる傾向にあるので、敢えてリンクは張らずに起きます。

考えてみると、TV事業は市場全体が極端な安値攻勢に晒されており、日本大規模メーカーの場合、赤字体質が全然改善されていません。TVセット自体は完全なコモディティ化が進んでしまい、しかも各国でデジタルTV化が急激に進んでいますので、デジタルTVの受像機(古い言い方だなぁ)という観点からすると、どの会社の製品を購入しても基本性能では大差ない状態になってきています。TVメーカーも以前からかなりの危機感を持って様々なてこ入れをしており、その一つとして、「我社にしかない特殊機能」を付加しています。このような「特殊機能」としては、倍速(メーカーによっては4倍速)表示、LEDバックライト、3Dがあります。しかし、どこかのメーカーがこのような機能を付加した製品を出しても、他のメーカーがあっという間に追従してしまっています。

この、他メーカーがあっという間に追従、というメカニズムは非常に不思議なものですが、大抵において競業他社がどのような技術開発をするかについては、方向性のレベルではどのメーカーも共有しており(具体的なやり方は共有しませんが)、それに向けての技術開発を怠っていない、ということだと思っています。要は、どのメーカーも市場化のタイミングを計っている段階に来ている技術を幾つか持っており、どのメーカーが先鞭を付けるかということなのだと思います。また、仮に(言葉は悪いですが)他社に出し抜かれたとしても、急いで技術開発すれば間に合ってしまう(成熟度はさておき)のが、近年デジタル技術を多く取り入れている製品の特徴とも言えます。。

テレビを取り巻く現状を見ると、非常に重層的な構造になっていると私は思っています。それは、インターネット環境が整った状態において、そもそもテレビを視聴する時間が減少傾向にある人々、デジタルTV視聴環境が整った段階で、これ以上の画質も利便性も特段要求することのない人々、高度成長の勢いの中で「薄型テレビ」を購入することがステイタスであると感じる人々、ブラウン管TVでの視聴に特段不満を感じず、薄型テレビはあまりに高価で手を出しにくいと感じている人々、などなど。現状は各メーカーが価格帯や若干の機能差で様々な人々に対応しようとしているわけですが、そうは言っても、機能差を実感できるほどの特殊機能はなかなかなく、結果的に低価格帯の商品に人気が集まるのだろうと推測しています。確かに、LEDバックライトは消費電力の観点などからは魅力的なのですが、majorityが購入する気になるかどうかは難しく、3Dは今現在ではコンテンツ不足で訴求力が今ひとつであるのと、そもそも3Dのニーズはどこまであるのか(3Dコンテンツの迫力はすごいものがあると思いますけど)を我々が把握できていないので、商品としての魅力を理解できていないです。

こう考えると、現状のTVセットはかなり完成してしまった部分が多く、買い換え需要を喚起するためには業界側の次なる仕掛けが必要だと言えます。で、業界が仕掛けようとしているのは、いわゆるネットTVです。しかし、このネットTV、AppleTVを含めて(ロジャースのイノベータ理論にいう)イノベーターには受容されているものの、次なるアーリーアダプターの受容までには至っていないように考えています。結局、ネットTVでしかできないものは何か?という明確な利点を需要者に提示できていないのだと推測しています。インターネットに接続できるTVだけなのか、インターネットに接続するとこんな新しい世界が広がるのかを提示できるのか、その分かれ目にあると思っています。

とは言え、このネットTVは、ブロードバンド環境が整っている地域に居住する人々向けのものであり、世界的に見ればそれら人々はごく少数(急激に増加すると思いますが)であるので、大多数の人々に対しては従前の薄型TVを安価に提供することになるので、これに向けた対策がどのTVセットメーカーにも依然として必要であると思います。ここ10年間程度でTVセットのコモディティ化は急激に進み、しかもグローバルに展開する企業にとっては世界全体での最適化とローカリゼーションが必要であるので、部品調達、生産、物流、開発設計を含めたバリューチェーンの最適化(VCMと言ってもいいでしょう)が求められています。

一時期、パナソニックはこの解として垂直統合を選択しました。IPSパネルメーカーへの資本投入、自社製共通プラットフォームの深化(Uniphier)、自社製造を前提とした徹底した合理化(イタコナ分析など)がその例として挙げられます。しかし、台湾メーカーを中心としたLCDパネルの大量生産に伴う急激な価格低下、Androidのプラットフォームとしてのmajorityへの動き(まだ家電に適用した例はありませんが、いずれそうなるでしょう)、そして、台中EMSメーカーの技術進歩に伴う自社製造のこだわりに対する疑問(Appleは完全にファブレスになってしまいましたね)など、垂直統合であることが足枷になりかかっています。IPSパネルも、現時点ではその優位性を発揮するまでには至っていないように思います。TV業界をPC業界のアナロジーで語ることに対する抵抗はあるのですが(まだまだ作り込む部分の必要性はあるので)、PC業界以上に勝者のない業界に陥る可能性はあります。

では、PC業界におけるAppleの一人勝ち構図がTV業界でもあり得るのか…インタフェースの統一性や使い勝手の良さ、さらにはコンテンツ流通の柔軟性といった、iPod→iPhone→iPadで見せたAppleの利点をTV業界で活かすには、まだまだ超えるべきハードルが数多くあるように思います。そして、上に書いたネットTVは正にこの道の上に存在する(すべき)商品ですから、Appleが奇跡的な商品を提供しない限り勝者になるのは難しいように思っています。

こんなことで、TV産業は当分苦戦が続くように思っています。しかし、新しいモデルを模索する作業は継続して行われているように思っていますので、単純な安売り攻勢だけで勝者になれる期間もそんなに続かないように思っています。

ちと長くなりましたが、あと少しだけ。それは、重電に軸足を移した電機メーカーについてです。重電に関しては、現時点ではBRICs+台韓は納入先という位置づけでいられそうなので、TV業界のような血で血を洗うような安売り攻勢に晒されることもなく、また、基本的にB2B取引ですから、価格だけが訴求要件でもなく、また、コモディティ化の洗礼も受けにくい(考えにくい)ので、とりあえずは利益を確保することができると思っています。特に、日本企業が得意の作り込みが十分通用する業界だと思いますので、製品の優位性に基づく市場確保というかつての日本企業のお家芸に持ち込む構図が描けそうです。しかし、多分に注意すべき点は、欧米企業はモジュール化とサービスを入れ込んだワンストップサービスと技術標準化という得意技を持っており、日本企業はこの点でまだ欧米企業に及んでいない部分があるのでは、と思います。

モジュール化は、例えば欧米の鉄道車両製造メーカーが、各国毎、鉄道業者毎にcustomizeされた製品を納入するのではなく、customizeするべき部分と共通化すべき部分とを切り分けて各国、各鉄道業者に提案している例があるように記憶しています。そして、この共通化すべき部分は世界的技術標準にしてしまおうとするわけです。サービスを入れ込んだワンストップサービスについては、例えば欧米の医療機器メーカーは、CT、MRIを納入する際にアフターサービスシステムまで入れ込んでしまい、メンテナンスの合理化、省力化まで同時に提案してしまう例があるように記憶しています。

こう考えると、日本の重電産業の優位性がどこにあるのか、メーカーは冷静に考える必要があると思っています。しかも、重電にITを応用するトレンドが近年見えてきています。日本の重電メーカーはITメーカーでもあるので、本来はこの分野において先進的な地位にあってもよいように思うのですが…どうなのでしょうか。IT産業においては、プラットフォームを作り上げたメーカーが勝者になるのは、IntelであれMicrosoftであれ歴史の必然ですので、ここにたいするcareがどうなっているのか、気になるところです。

と言うことで、やっぱり結論が出ない話になってしまいましたcoldsweats01。申し訳ありません。

« 2011年10月 | トップページ | 2011年12月 »

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
フォト
無料ブログはココログ