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2012年5月

知的財産コンサルティングの市場(再び)

相変わらずまとまらない話ですがcoldsweats01

先日、弁理士会のある会合で、こんな議論がありました。曰く、「弁理士会は最近知財コンサル活動を推進しているように思われる。専権業務以外の業務拡大を図る取り組みは評価できるのだが、そもそも知財コンサルの市場規模はいかがなもので、弁理士会のこれまでの取り組みで、どの程度の市場拡大(出願件数の増加など)があったのか」と。確かに、弁理士会は、私が所属していた(3年間所属して本年度は参加していません)知財経営コンサルティング委員会を含めて様々な形で知財コンサル活動の啓蒙及び拡大に努めており、それなりの費用を投入しています。従って、会務活動の評価という観点からすれば、市場規模の評価及び費用対効果の吟味が必要になります。故に、上述した議論は実に真っ当なものであると言えます。

さて、知財コンサルの市場規模は算出できるのでしょうか。以前の記事で、なかなか難しいというお話をしました。それは、例えば関東経済産業局が数年にわたって行っていた知財コンサル人員養成事業も、関東経済産業局(ひいては経済産業省、政府)の資金援助があって、コンサル対象企業が大した費用負担をしていなかったからこそ継続できた側面があり、既に現在は事業として継続されていません。当然、私の知人/友人は知財コンサル活動を継続的に事業として行っておられますので、彼らの事業活動をうまく累積すれば実質的な数字を得ることができると思いますが、残念ながら彼らは知財業界全体で見れば極めて少数派に属するので、逆に、実数字を累積することで知財コンサル活動を過小評価してしまう可能性があります。加えて、実数字(しかも瞬間値)では市場規模の潜在性、将来性を評価することは難しいです。以前の私の記事でも、どうやって知財コンサル活動の市場規模を見積もるのか、なかなか難しいということをお話ししました。

私の知人で、弁理士会の知財経営コンサル委員会に所属する弁理士先生が、どこかの資料を参考にしてそれなりの数字をはじき出しておられますが(記事はこちら)、感覚的にはこの数字は非常に大きい。元となる資料を私はどこかで見た記憶があるのですが、最近記憶力が極端に低減してきたので、全く思い出せません。時々話題にしている、2009年度中小企業白書で中小企業と知財に関する節がありまして、この中で、アンケート対象企業の10%程度が、「相談できる専門家の不足」を知財戦略上の課題に挙げています。ですから、中小企業の事業者数は統計から把握できますから、この中小企業の事業者数の10%に知財コンサルの需要があるんだという大雑把な仮定をして、結構無理矢理事業規模をはじき出すこともできます。

感覚的には、知財コンサルの需要も市場規模も、なかなか議論できるほどの大きさにないのだと思っています。その理由は、知財コンサルの費用対効果を明確に説明することの困難さや、そもそも知財コンサルという用語が指し示す具体的活動が未だ曖昧模糊としていることにあるようにも思います。付言すると、知財コンサルを実践されている弁理士先生にとっては知財コンサルという概念は非常に明確なのだと思いますが、実践している弁理士先生がまだ少数派であること、さらに、実践しているとおっしゃる先生方のお話を聞いていても、知財コンサルという用語でくくられる具体的活動に大きな幅があります。例えば、発明発掘、リエゾン・ブレスト活動も知財コンサルである(発明をどのように出願にまとめるか、何件の出願にするかも知財コンサルだという考え方)とおっしゃる先生もいらっっしゃいますし、企業の知財戦略に関与しないと知財コンサルではないと考えられる先生もいらっしゃるでしょう。特に定義を厳密にする必要はもとよりないのですが、市場規模算出のためには概念の明確化が必要となります。

こう考えていくと、現状では、市場規模の大小を議論する段階ではなく、むしろ、(一部であってもいいですから)弁理士業界が知財コンサルという業務の存在を広報し、潜在的ニーズを掘り起こす、そして、個別具体的事例を積み重ねることによって企業における知財コンサルの認知度を高め、市場拡大を徐々にでもいいから図る段階なのだと思っています。とは言え、弁理士会として広報する場合には、何をもって知財コンサルなのだというコンセンサスが必要なのだ、さもないと「誤った」理解を世間に広めることになるという議論もあるでしょう(その是非はともかくとして)。そんなこともあり、私は最近、ある意味で勝手連的な活動と申しましょうか、弁理士会としての統一的活動も大事ですが、それ以上に、個々の弁理士が知財コンサル活動を実践することが、微々たることではありますが知財コンサルの広報活動につながるのだろうと考え、黙々と実践しています。

翻って、最初の議論に戻って、市場規模の算出は簡単な問題ではなく、従って、弁理士会が幾ばくかの費用を投入して知財コンサルに関する様々な活動をしたことにより、特許出願件数の増加といった定量的な効果を奏することを検証することも非常に難しいのだと思っています。で、あれこれと説明してきたように、弁理士を含めた知財コンサル活動のステージ(発展段階)を考慮すると、市場規模なり定量的効果を議論するよりも、実践により活動そのものを発展させることを重視するのが良いのだろうと思っています。

…なんてことを書いても、なかなか理解していただけないのだろうとも思うんですけどねbearing

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