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弁理士のライバル意識

今日は小ネタでcoldsweats01

先日、企業知財部門経験が長く、しかも知財協でも重要な役職を務められた方を囲んでの宴席がありました。その席で、その方から「弁理士にはライバル意識があるんですか?」という質問をいただきました。丁度その席にいる弁理士がいわゆる特許事務所の勤務弁理士先生ばかりであったこともあるのか、席上では「ライバル意識はないですね」という話でまとまり、次の話題に移ってしまったので、私としては特段のコメントをせずに終わりました。

では、特許事務所経営者である弁理士を含めて、弁理士にライバル意識があるのかどうか。私はあると思っています。では、どうしてライバル意識があると思うのか、どのようなポジションにある弁理士に対してライバルであると意識するかについては色々と議論があるかと思います。

根本的な問題として、弁理士はどのような競争環境に置かれているのか、ということがあります。弁理士、あるいは特許事務所が特定のクライアントの代理業務を得られるかどうかについては、当然業務の質(ここで言う「業務の質」とは、クライアントが評価する意味での業務の質なので、具体的内容はクライアント毎に異なります。従って、ここで詳細を議論する意味があまりありません)が評価されることが前提となりますが、その上で、様々な要因が絡み合って(タイミングが良かったという何とも言えない要因もありますから)代理業務を得られるかどうかが決まります。「業務の質」については、特許事務所の努力により得られることも多いかと思いますので、この部分については最低限、弁理士同士は競争しているのだと言えます。
続いて、特定のクライアントに対して複数の特許事務所が代理業務を得ている場合、この特許事務所間においても代理業務の数や幅を広げようと努力することも多いと思います。特定の特許事務所に対してどの程度の件数やどの範囲の業務を代理依頼するかについては、当たり前ですがクライアントの評価次第ですから、クライアントから高い評価を得られるように特許事務所、あるいは弁理士同士は競争していると言えます。ただ、クライアントから代理業務を得られるかどうかの場合と同様に、クライアントは「業務の質」を含めて多面的な評価をすることが通常です(他にどのような要因があるかについては、私が窺い知れないことも多々ありますので、ここでも議論をしません)。

こうやって考えてみると、クライアントからの評価という簡単な言葉で示されてしまう事項についても実は多様な要因が絡み合っており、しかも、特許事務所なり弁理士が努力して得られるであろう「業務の質」すらも結果的にクライアントが評価する意味での業務の質ですので、特許事務所なり弁理士が努力し、切磋琢磨しても、どのような結果が得られるかはクライアント次第ということになります。これは、弁理士がサービス業であるとするならば、実は至極当たり前の結論だとも言えます。

とは言え、特許事務所なり弁理士が様々な観点(ここには上に書いた業務の質以外にも様々な観点があります)から努力を重ねることは、全てではないのですがクライアントの高評価を得ることが多いのだと経験的に思っています。ですから、特許事務所の経営者は、まずは同じクライアントから代理業務の依頼を受けている他の特許事務所をライバルとして意識することが多いです。また、特定のクライアントから代理業務の依頼を受けたいと思っている場合は、既にそのクライアントから代理業務を依頼されている特許事務所は(あるいみ仮想的な)ライバルとして意識することになります。

次に、同じ分野(例えばバイオ、コンピュータソフトウェア)や同じ業務(例えば著作権契約、知財コンサル)を専門としている弁理士の間でも、切磋琢磨して競い合っていることがあります。この場合は特許事務所単位ではなく弁理士単位でのライバル意識になります。ただ、この場合も、最終的な目標はクライアントからの代理業務の件数や代理業務の幅の広さになりますので、上に書いた特許事務所単位のライバル意識に若干近いものがあります。

このように考えてみると、特許事務所や弁理士にもライバル意識は存在するわけですが、最終的にはクライアントの評価如何で結果が異なってきますので、単純に「業務の質」を追求するだけではライバルに一歩先んじることはできないことがあります。従って、特許事務所や弁理士は様々な知恵を絞る必要があると思っています。この「知恵」ですが、では具体的に何なのかを説明することは簡単ではありません。それは、最終的にクライアントの評価を得るという目標はあるものの、それに至る道筋はクライアント毎に随分と異なるように思うからです。当然、この「知恵」は各特許事務所や弁理士のノウハウでもありますから、どこかの本に書いてあろう筈もなく、従って、各人がやはり苦労をしないといけないという至極真っ当かつ結論と言えない結論になります。

あと、ライバル意識があるからと言って、ライバル関係にある(と考えられる)特許事務所間、あるいは弁理士間が険悪な関係にあるのかというと、当然そんなことはほとんどなく、特に同じクライアントから代理業務をいただいている特許事務所間、あるいは弁理士間は連帯意識を持つこともあり(連帯して何かをするわけではないですが)、このあたりはなかなか面白いです。

私自身も、ライバルとは言いませんが、競い合う良き仲間と思っている弁理士先生が数人いらっしゃいます。その先生方とは実に良好な関係でお付き合いしていただいているのですが、一方で競い合っているところもあると思っています。逆に、そういった良い仲間を持つことが、自分の弁理士としての生活を豊かにしているのではないかと思っています。

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