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2012年12月

知財部ハンドブック連載:1.はじめに

特に暇というわけではありませんが、ちょっとBLOGの書き込みが続きます。

2年ほど前に企業知財部を退職して特許事務所に戻った際に、16年間の企業知財部経験を活かすことは何かできないだろうかと思っていました。当然、明細書作成等の権利形成業務を行うことでクライアント企業に何らかの貢献をすることが弁理士の本分とも言えますから、これは当然に行うとして、それ以外に何かできるか、と考えてみました。その中で、日本知的財産協会に所属されている企業であると企業間の情報交換や研修により優れた取り組みの横展開がなされているのですが、そういった恩恵に与っていない企業もそれなりに存在するだろうから、そのような企業向けに知財部ハンドブックを提供してみたいと思うようになりました。

そこで構想を練り、幾人かの方に構想の骨組みをご覧頂き、執筆に取りかかったのですが、権利形成業務に忙殺されてなかなか執筆が進まない状態が続いていました。この状態があまり続くと完璧に狼少年状態になりますので、とにかくできた範囲からこのBLOGに連載し、この連載をまとめて何かしらの形にすることにしました。

と言うことで、これから全く不定期に連載を行う予定でいます。この連載は、私が経験してきたことのエッセンスをできるだけ集約したものにしたいと考えています。当然、経験したことそのものは守秘義務がありますから申し上げられませんが、その中で自分なりに考えてきたことなどを詰め込もうと考えています。また、過去3年間、日本弁理士会の知的財産経営コンサルティング委員会で活動をした経験のエッセンスも取り込んだつもりです。Acknowledgementは、全体をまとめた際にきちんと書く予定ですが、まずは16年間の企業生活での上司、同僚、後輩の方々、そして、日本弁理士会の知的財産経営コンサルティング委員の先生方には予めここで御礼を申し上げます。

と言うことで、まずは導入部を。かなり長文になりましたので添付ファイル形式でお送りします。何とか最後まで書き切れるよう努力しますが、さて、いつになるやら…。

「1_hajimeni.pdf」をダウンロード

特許事務所に欲しいITシステム

なかなかBLOGの連載が続かずに申し訳なくm(__)m

16年間の企業知財部勤務を経て、一昨年に特許事務所に戻ったことは何度もお話ししているかと思います。久しぶりに特許事務所に戻って感じたことは、特許事務所の業務のIT化が思った以上に進展していたことです。まぁ、企業に都合16年間勤務していましたので、それだけ時代が進むとIT化も進展しているわけです。

特許事務所の業務のIT化と一言で言っても、特許事務所の業務自体が多岐にわたっていますので、どの部分の業務をどのようにIT化するかについては様々です。特許庁提出書類はどの事務所もいわゆるインターネット出願しているはずですので、この部分は確実にIT化しています。特許庁提出書類を作成する業務も、手書きなりディクテーションなりで書類作成している弁理士はごく少数でしょうから、この業務もほとんどIT化されていると言えます。他に、図面作成、文書管理など、事務所によってIT化の程度は様々だと思いますが、IT化が随分進んでいます。なかなか表に出ないところでのIT化は、特許庁提出書類作成をする過程でのIT化です。明細書への段落番号付与自動化はかなりの明細書作成担当者が導入していますし、それ以外の細かいエラーチェック等についても、各明細書作成担当者レベル、あるいは事務所レベルでIT化が進んでいます。また、クライアントとの連絡も、(当然セキュリティを確保した状態で)電子メールその他のIT手段によるものが大半になってきました。

ただ、クライアントとの連絡、特に特許庁提出書類を含む文書データの送受信については、上にも書いたようにセキュアな状態で送受信を行う必要があることと、セキュアな状態であることの延長線として、クライアントが有する知財管理システムとの整合性を図る必要があることから、大規模クライアントの場合、クライアントが独自に提供するシステム上での文書データ送受信が行われていることが多いと思っています。
もう少し詳しくお話しすると、大規模クライアントの場合、発明届提出からその案件が何らかの形で終了する(特許登録、拒絶査定確定など)までの手続及びその間に発生する書類を電子的に管理し、期限管理も行えるシステム(特許管理システムと言うことがあります)を運用しており、この特許管理システムがトレースでき、しかも、セキュリティを保った状態で各種文書データの送受信を行えるシステムを独自に作成し、あるいは既存のシステムをカスタマイズして運用していることがあります。
従って、大規模クライアントとの間での文書データの送受信は、大規模クライアント側が用意したシステムを用いて行うことになります。仮に、一つの特許事務所が、複数の大規模クライアントから出願案件を受任している場合、大規模クライアント毎にシステムは異なりますから、それぞれの大規模クライアントに対して違うシステムで各種文書データの送受信を行うことになります。このこと自体は、特許事務所にとって若干の手間ではあっても致し方ない範囲内に収まるのだと思っています。

考えるべきは、このような独自システムを持たない複数のクライアントから出願案件を受任している場合、各種文書データの送受信をセキュアな状態で行うにはどうするか、です。このようなデータ送受信をセキュアに行う既存システムは幾つか存在します。当然、このような既存システムは個別にセキュリティを確保しており、そのセキュリティレベルは高いものであると信じています。私も既存システムの一つを一時期利用していたことがあり(今使っていないのはクライアント側の事情です)、特段不満に思うこともありませんでした。
とは言え、同様の問題をかなりの特許事務所が抱えているであろうことは容易に推測できますので、特許事務所向けのデータ送受信システムを用意する、あるいは、既存システムのカスタマイズをする業者がいてもいいように思っています。システムの要求仕様は何となく私の頭の中にあり、それほど難しくないようにも思います。

しかしながら、私が知る範囲では、クライアントの独自システムでない文書送受信システムが特許事務所で普及している雰囲気はあまりありません。考えられる理由は、文書にパスワード等の暗号化処理を行って送受信をしていれば足りると考えている当事者が多いことにあるのでは、と思っています。確かに、基本的なところでは問題ありません。ただ、セキュリティ対策をどこまで追求するかによってシステムも大きく変わり(このこと自体は至極当たり前です)、もう少しセキュリティレベルを上げたシステムを使ってもいいのではないかと個人的には思っています。
もう一つの壁は費用でしょう。特許事務所単体でシステム構築業者と共同で文書送受信システムを構築するには費用が嵩みすぎます。本来は、日本弁理士会がどこかのシステム提供者と共同でシステム構築に向けての話を進めてもいいように思うのですが…。

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