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2015年6月

弁理士知財キャラバンに思うこと

ちょっと古いニュースですが、弁理士会が中小企業向けに知的財産コンサルティングを実施する「弁理士知財キャラバン」を開始するそうです。そして、キャラバンに派遣する弁理士を養成するための「支援員養成研修制度」も開始するとのことです。

私自身が弁理士知財キャラバンに参加するか、また、支援員養成研修を受講するかはまだ決めていませんが、弁理士知財コンサル委員会に3年ほど所属し、また、細々ながらもクライアント企業に対して知財コンサルを実施している私としては、こういった取り組みができるだけ成功裏に進むことを祈るばかりです。

自分自身がクライアント企業に対して知財コンサル(みたいなもの)を数年実施していて最近考えていたことが3つほどあります。一つは、「知財コンサルタントは引き出しが多いほうがいい」、二つ目は「知財コンサルは広く深く」、三つ目は「知財コンサルは実践によって磨かれる」ということです。もしかしたら、こういったことは、知財コンサルに限らずコンサルタント全般に通じるものかもしれません。

一つ目の「引き出しが多いほうがいい」というのは、まぁ、当たり前のことのように思えますが、何故こんなことを言い出したかというと、コンサルの現場ではクライアントから様々な提言、提案がなされます。また、クライアントが直面している課題を解決する手法(端的には法律)は常に同じではありません。コンサルタントは「後で調べて回答します」という返答はなかなかしにくいです。それは、クライアントは「今」課題に直面しているのであり、できるだけ早急な解決を望んでいるわけです。詳細な検討は次回回しにできることもあるかと思いますが、まずは、どの方向で解決できそうかという糸口でも提供できるに越したことはありません。
特に、弁理士先生の専門分野は最近特に細分化していて、特許でも電気/機械/化学分野の専門家が細分化され、さらには国内/海外(外国企業からの案件/国内企業からの案件)の担当まで細分化されていることもあります。専門分野での深い知識は実務を行う上で非常に重要ではあるのですが、専門分野以外の課題について「知りません」という回答はできるだけ避けなければなりません。
最終的にはその道の専門家にアドバイスをもらうことがあるとしても、まずはどのような解決策が考え得るか、また、複数の解決策があるならば、そのPros/Consはどのようなものかを速やかにクライアントに提示できることが望まれるわけです。このためには、自分の専門外だと思う知識についても、クライアントに対してアドバイスできる程度の知識を習得することで、「引き出しを多く」することが大事だと思います。

二つ目の「広く深く」ということも、上に書いた「引き出しを多く」ってことに重なる部分が多いです。ここで強調したいのは、「引き出しを多く」するだけではなく、引き出しの中には自分が「これは自分の専門です」と胸を張って言える分野が少なくとも一つあることが望ましいということです。
専門分野を持とうということは、知財コンサルであっても最終的にはコンサルタント自身が何かしらの最終的な解決策を提示してそれを実施することが望ましく、その解決策によってクライアントとの間にWin-Winな関係を構築すべきだと思うからです。この解決策とは、コンサルタントによっては特許出願でしょうし、他のコンサルタントによっては特許調査からパテントマップ作成に至る手続でしょうし、また他のコンサルタントによっては渉外対応でしょう。各々のコンサルタントが自分の強みを持ち、その強みの結果をクライアントに提供することで課題を解決するわけです。
この手の話で、よく話題になるのが「I字型人間」「T字型人間」「Π字型人間」って話があります。縦方向は専門性、横方向は幅広さを表します。I字型人間は一つの専門を深く掘り下げた人、T字型人間は専門性+経営知識を有する人、Π字型人間は二つの専門を有する人を意味します。Π字型人間になるのは非常に難しいですが、せめてT字型人間を目指したいと思っています。

三つ目の「実践によって磨かれる」ということも、実に当たり前だと思います。座学研修は知識習得のために欠かせないことです。コンサルタントと名乗るからには、経営戦略や会計に関する一通りの知識を身につけておくべきだと思っています。また、知財戦略に関する一通りの知識も絶対必要でしょう。しかしながら、それは基礎知識でしかなく、実際にコンサルの現場に赴くと、学んできた知識だけでは対応できないことが山積し、時に自分の無力さを嘆くと思います。とは言え、立ち止まってはいられません。クライアントはコンサルに解決策を求めています。自分の持てる知識、経験を総動員し、時に知人に(支障ない範囲で)相談し、何とかして自分なりの結論に導かなければいけません。そして、こういった自分で汗をかいた経験が、次のコンサル業務の糧になるわけです。

こんなことを考えていると、医者にも総合診療医という制度が外国にあるなぁ、と思い出しました。総合診療医は、ある意味患者の不定愁訴ともいえる明確な診断に至ることが簡単でない悩みに対して、問診や検査を駆使して確定診断を行い、その後は専門医に委ねる、という医者だと理解しています。知財コンサルも、知財総合職みたいなものだと思っています。クライアントの課題に直面し、自分が持っている知識やツールを駆使して最終的な解決策を提示します。
そして、知財コンサルも、総合診療医と同様に、最終的な解決策が自分の専門外であるならば潔くそれを専門とする他の弁理士等に解決策の実施を委ねるのが好ましいと思います。自分の収入だけを考えれば、全ての解決策を知財コンサルが実施したいところですが、それがクライアントの利益につながるのかどうか、その時こそ専門家としての冷静な判断が必要です。

…とは言え、なかなか実践は難しいんですけどねcoldsweats01

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