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2015年11月

池井戸潤「下町ロケット2」

本当は書きたいネタがあるんですが、先週発売開始された「下町ロケット2」を早速読了しましたので、忘れないうちに感想を書くことにします。とは言え、新聞連載もドラマも最終回に至っていませんので、ネタバレしない程度のお話でご容赦をcoldsweats01

今回は、佃製作所は医療関係の技術にチャレンジします。医療関係(正確には医療機器関係)というと、私としては、初職が医療機器関係の企業でしたから、何だか非常に懐かしい感じがしました。

私が就職した会社は、医療機器全般をやっていて、その中で、私が配属された部署は、古い言い方だと医療電子機器の研究/開発を担当していたところでした。私の机の左隣では、その当時発売開始した電子体温計を開発したグループが、また、私の机の右隣では、補助人工心臓を研究開発しているグループがおり、私は、新規機能を有する超音波診断装置の基礎研究をしていました。この新規機能は、今もって市販されていないもので、やはり難しかったのだろうと思うのと、超音波診断装置のトレンドがそちらではない方向に進んでいることを考えると、なかなかチャレンジングな研究だったんだな、と思っています。

さて、私の思い出話などどうでもいいのでcoldsweats01、本の感想に入ります。「下町ロケット」では大企業対中小企業(佃製作所)という構図でしたが、今回は、大企業対中小企業(佃製作所)対ライバル中小企業対医者対公的機関(PMDA)という、なんだか登場人物が盛り沢山で、登場人物の絡み合いもなかなか多数に渡ります。とは言え、池井戸潤先生は、登場人物のキャラクターを分かりやすく語り、また、善人対悪人(あまり単純に分けられませんが)の構図を浮き立たせるように語りますので、内容はすっと頭の中に入ってきました。

特に、今回はライバル中小企業を登場させ、大企業の横暴(大企業が全て横暴ではないですけどね)対技術力の佃製作所というだけでなく、中小企業どうしの受注合戦を大きな軸に据え、ライバル同士の切磋琢磨を描いている点が、前作にはあまり登場してこなかった内容だと思います。他にも中小企業が登場するんですが、そこはネタバレになるので内緒です。

途中では佃製作所がかつてない苦境に陥り、どのようにこの状況を打開するのかハラハラさせるわけですが、小説の最終部分に至って見事に解決し、佃製作所としては大団円を迎える結末に導いてくれます。この辺りは、さすが池井戸潤先生の手腕だなぁ、と感心しました。

佃製作所はバルブ屋ですから、医療機器といっても佃製作所が得意のバルブ技術を活かしたところになります。今回取り上げられたのは人工心臓と人工弁ですが、人工心臓というと、私が所属していた会社が製造販売承認を受けたものも含めて、最近は非拍動型人工心臓が結構メインだと思っていて、これだとバルブ屋である佃製作所の出番があまりないなぁ、と思ったのですが、今作ではバルブ付き(つまり拍動型)ですから、なるほどなぁ、と思っています。

さて、前作では縦横無尽の働きをした神谷弁護士(どうも、神谷弁護士のところの記述になると鮫島先生のお顔がちらついてしまいますcoldsweats01)、今作でも重要な役割を果たします。実は、知財的側面から読んでいると、途中の記述に知財担当者であれば「あ!」と気付く伏線が仕掛けられていまして、ある程度の予想をしながら読み進めると、「そうきたか」という、若干予想をいい方向に裏切る結末が待っています。今作での記述はそれほど厚くないのですが、伏線の内容は実にup to dateなもので、今すぐにでも企業向けの研修教材が作れそうな内容ですhappy01

というわけで、今作も前作に増して「熱い」作品です。

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