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2016年2月

鴻海とシャープとの協業について思うこと

本当に久し振りのBLOG記事ですcoldsweats01。今回も、あまり知財的ではないかもしれませんが、お付き合いの程よろしくですm(__)m

最近、鴻海とシャープとの協業についての話題が盛んに報道されています。鴻海はシャープの何を狙っているのかということも盛んに話が出てますね。知財的には、「鴻海はシャープブランドが欲しいのだ」という言い方になるんだろうと思います。この考え方、確かにそうだろうと思います。加えて、こんな考え方ができるだろうということをお話しします。ただ、この見方は他の方も仰っておられるので、まぁ、あまり私のオリジナルではありませんが、そのあたりはゆるっとご覧下さいcoldsweats01

鴻海は、ご存じの方ばかりかと思いますが、EMSメーカーとしては世界的にトップ企業です。EMSメーカーですから、製造依頼があったクライアント企業のOEM、ODMをやっているわけです。例えば、鴻海はAppleのiPhoneを製造していることが知られています。Appleは自社工場を持っていませんから、社内でiPhoneの設計を行い、この設計に基づいて鴻海に製造を委託しているわけです。

さてここで、Appleがどこまで設計をしているのかを考えてみます。多分、どこかに正解が書いてあると思うのですが、時間も無いので推測混じりで。Appleはキーコンポーネンツの一部については部品メーカーと共同開発しているようですが、大抵は社外のメーカーが製造した優れたキーコンポーネンツを使ってiPhoneを設計し、このキーコンポーネンツを使った製造を鴻海に委託していると考えられます。さて、Appleは回路設計はしてるでしょうが、その次の基板設計、筐体設計、さらにはアセンブルまで設計しているかどうかは何とも言えません。鴻海は、概略の製品設計さえあれば、以降の設計から製造まで自前で行える能力を持っていますので、Appleがその気になれば、設計のかなりの部分を鴻海に委託できます(どこまで委託するかは、Appleが製品としてのiPhoneのどこがコアであるかをどう考えるかによると思います)。

このように、鴻海は、設計から製造までのほとんどをこなす能力を持っています。唯一持っていない、あるいはそれほどのレベルに達していないだろうと考えられるのは、商品企画能力です。商品企画は、市場を見て、技術を見て、どのような商品が市場に受け入れられるかを考え、その成果として商品の概要を企画するものです。以前は、いわゆる軽薄短小を実現するためには機構部分の設計や基板の高密度化、さらには筐体内にどのように部品を配置(アセンブル)するかについての知識やノウハウが完成品メーカーに集中していたわけですが、これらの知識は今は優れたEMSメーカーであれば十分持っていますから、その意味で、完成品メーカーに残された優れた機能としては商品企画が大きいと言えます。

台湾メーカーでも、パソコン周辺機器あたりであると独自の商品企画をしてユニークな製品を製造、販売している事例がありますが、いわゆる電気製品であるとまだまだ日本の電機メーカーの商品企画能力には一日の長があるように思います。鴻海としては、シャープの商品企画能力が欲しかったのだと思います。ある意味、EMSメーカーにとっては最後の1ピースを手に入れることなのだと思います。
こう考えると、鴻海がシャープの太陽電池事業については協業の埒外としている理由もよくわかります。太陽電池事業は、高効率化された太陽電池がメインであり、こういった、ある意味部品事業に近いところはあまり商品企画能力が問われるところではなく、コンポーネンツとしての性能をひたすら追求する(太陽電池事業がそれでいいというわけではありませんが)べきものであり、鴻海として協業するメリットをあまり感じないのだと思います。

さて、少し知財的な話もしましょう。前回、鴻海とシャープとの協業の際に議論されていたのが、シャープの複写機事業において他の日本の複写機メーカーからのライセンス供与等が国外に流出する(技術流出)のはいかがなものかということだったようです。
ライセンス供与元からすると、ライセンス供与先が他のメーカーにM&Aされることは当然のように想定しているはずで、ライセンス契約にもそれに対する対応条項が含まれているはずです。もし、他の日本の複写機メーカーからのライセンス供与が、ライセンス供与先の親会社の変更により拒否できるという条項(かなり過激な条項ですが)があるならば、技術流出云々についてあまり議論しなくてもいいように思えます。
とは言え、仮にライセンス供与元からのライセンスが全く得られないとしても、複写機技術自体、さらには技術者は鴻海に転籍する可能性があり、こうなると、ライセンスで縛ったところで一定の技術流出を念頭に置かなければならないのだろうと思います。

まだ鴻海とシャープとの協業についての結論は出ていないように思っていますが、どのような落ち着き方をするかは引き続き注視していきたいと思っています。

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