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「知財戦略のススメ」を読んで

この記事はBLOGに掲載するかFacebookに掲載するか迷ったのですが、Facebookに投稿したところ、それほどでもないという話を聞いたので、BLOGにも公開します。

遅まきながら、鮫島先生と小林誠さんとの共著にかかる「知財戦略のススメ」を読了しました。内容はなかなかに刺激的で、鮫島先生のこれまでの業績の総まとめ的な内容と、ファイナンス系の内容とが合体した書籍でした。読まれる価値は非常にあると思います。

で、一点だけ気になったことがあったので、何となく補足的なお話を。

鮫島先生が執筆を担当されている様子の第3章「特許の権利行使と知財ファンド」で、米国の代表的なパテントトロールの特許保有状況が表形式で紹介されています(表3-2)。このデータは、今はRPXのサイトの一部になっているPatentfreedomというサイトから引用したもののようです(魚拓みたいなものがあったのでご紹介)。

このランキング、元々はNPE(Non-Practing Entity)というカテゴリーでまとめたもののようで、実は、パテントトロールと言ってしまっていいのかという営業主体も含まれているように思います。

例えば、このランキングの1位はIntellectual Venturesになっています。IVの実体はよく分かっていない(サイトを見ても発明投資ファンド=Inention Investment Fund)って何をしてるか何ともわからない)のですが、IV所有の特許に基づいて権利行使したこともあるらしい(ネットで一時期話題になったことがあります)ので、まぁ、広く捉えるとパテントトロールと思えなくもないです。その後、Winsconsin Alumni Research Foundationが登場します。WARFは、ざっくり言えば大学TLOですから(とはいえ、ものすごい巨額のライセンス収入を得ていますし、特許侵害訴訟も積極的にしていますので、日本における大学TLOのイメージとは随分違いますが)、アグレッシブではあるもののNPEにカテゴライズするのがいいのかなぁ、と思います。

Rockstar Consortiumも登場します。Rockstarについては、第5章「特許の権利行使と知財ファンド」で小林誠さんが結構詳しく紹介しているように、元々Nortelの特許ポートフォリオがパテントトロールに(特に分散されて)購入されてしまうと、特許訴訟リスクが増加するだろうことを怖れて、Google、Appleを含むIT系大企業が買収に動いたわけです。その後、Rockstarは第5章に紹介されているように一部の携帯端末企業に対して権利行使をしたようですから、この点「だけ」を取り上げると、パテントトロール「」な挙動をしたようにも思えます。とは言え、その後、RockstarはRPXに特許を売却してしまっていますから、このような流れをもってパテントトロールと言ってしまうと、Motorola Mobility特許を買収し、その後売却してしまったGoogleもパテントトロールになってしまいます。

さらに、Rambusもこのランキングに登場します。Rambusのこれまでの行動を肯定するわけではありませんが、Rambusも事業を行っていたわけで、パテントトロールと呼んでしまうことに結構な抵抗があります。

当然、鮫島先生が言及されているように、NPEとパテントトロールとの線引きは非常に難しいのですが、できたら、「パテントトロールを含むNPEの特許保有状況」という紹介が良かったのではないかなぁと思っています。当然、このことが書籍の有用性に与える影響なんてないわけですが。

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