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ディープラーニングとイノベーションの不連続性

この文章と、この後にアップする文章は、Facebookに投稿したものの、この話題はBLOG向けだと思い直して、BLOGに投稿しています。私のFacebookをご覧になっている方は、ほとんど同じ内容ですので華麗にスルーしていただければ、と(^_^;)

ここ数日、ディープラーニング系の話題(特にGoogleの囲碁ソフト)が報道されていて、自分なりにディープラーニングを使った囲碁ソフトは、過去の名手とかを集積してこの名手を選ぶ手順についても過去の名人のそれを利用したもので、かつての囲碁ソフトは、可能性のある指し手について全て妥当性を検討していたから計算が発散していたのを、指し手の選定についても過去の名人のそれを参考にしているから、妥当な計算量に収めることができたのだろうと思っている。

で、自分の理解が正しいのならば、今回の囲碁ソフトは、過去の名人の知恵を総集して、考え得る最良の、つまり優れた名人を作り上げたものなのだろうと思っている。

これでふと思い出したのが、イノベーションの不連続性という問題だった。イノベーションという言葉の定義に若干の幅はあって、定義そのものについてここで議論することはないのだけど、イノベーションというからには、過去の技術からある程度の不連続性が必要なのではないかという話があったように覚えている。つまり、知財的な言い方をすれば、年月と共に技術は連続的に発展していくのだから、進歩性、つまり、連続的発展をする技術から一定のinventive step、言い換えれば一定の飛躍(これが不連続性ということ)がないと価値のあるもの(イノベーション)として認めないということになる。イノベーションに不連続性が必要であるとすると、イノベーションと呼べるものは結構少なくなってしまうだろうし、かのクリステンセン教授も、破壊的イノベーション(disruptive innovation)だけをイノベーションと呼んでいるわけではないから、この考え方は狭きに失するだろう。

とは言え、ディープラーニングによる人工知能は、その考え方まで人間を模倣したとしても、不連続性を有するイノベーションを生成することができるのか、何とも言えないところだろうと思う。つまり、inventive stepを生成する各種手法を学習した時、「正しい」不連続性を与える思考法を選択する基準をどうするかの問題が残るのだ。様々な解決手段をディープラーニングにより創出した時、どの解決手段が「適切」であるかをestimateする(つまりは最適な効果は何であるか)ことは、現状、人間しかし得ないことだろうと思う。効果を経済的に落とし込んだところで、実現しうる範囲内でのコストの極小値を与えるものと推測される解決手段を市場が受け入れるとは限らない。

学術も少し似たようなところがあって、例えば、アインシュタインは、真空中の光速度が一定という、ある種荒唐無稽とも思えた(光には相対速度という考え方が通じないということなのだから)仮定から特殊相対性理論を導くことができた。真空中の光速度が一定であるという仮定は、それまでの物理常識からすればかなり不連続的なものであったろうと思う。そして、その不連続的思考が科学技術の先端を大きく進めたわけである。

現時点では、ディープラーニングを用いた人工知能が人間の教師になれる可能性は低いと思っている。そして、もしかしたら、人工知能に対して教師役となりうることが、ある意味での人間の人間らしいことなのかもしれない。

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