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2016年10月

スタートアップ企業などでの法務担当者の苦悩(大げさ)

特定の会社を念頭に置いた話ではないんですが、ふと思いついたことを。

スタートアップ企業で特にBtoCを主要サービスとしている企業において、自社が提供しているサービスが消費者を含めた社会に与える影響をunderestimateしてしまうことがあると思っています。特に、革新的なサービスであればあるほど、既存の商慣習、法規制、さらには既成概念との間に対立を生じることがあります。

時に、自社サービスの優位性を信じて止まない経営陣は、こういった対立を「打破」する方向に考えを進めがちなのですが、少なくとも法規制を短時間で「打破」することは難しく、スタートアップ企業等の法務(含む知財)担当者は、規制当局と経営陣との間で板挟みになることは少なくないと思っています。

明らかな法律違反である場合は現状何もできないわけですが、規制当局との間の解釈の相違だったり、現状の法律では明確な規定はないものの規制当局は全般的にネガティブな印象を持っていそうな場合は、法務担当者としてはやはりネガティブな情報を経営陣に提供することが職務であると思います。

こういったネガティブな情報を経営陣に提供するとき、明確な規制がない場合には、法務担当者は「リスクがあります」という言い方をすると思います。経営陣からすると、「リスクがあります」という報告は単なる可能性に言及しているに止まり、では、実際のところリスクは何%なんだ、大丈夫なのかそうではないのか、という疑問を持つでしょうし、そういった発言を受けた法務担当者の方は数多くおられると思います。

一方、法務担当者からすれば、リスクがあることを指摘するだけでなく、リスクの生起の可能性(しかも%まで)まで発言することはかなり難しいだろうと思います。もし自分の発言通りの可能性には結果的にならなかったときにどうやって責任を取るかと言われたら、法務担当者は萎縮してしまうでしょう。

一方、経営陣からすると、法務担当者の物言いは実に曖昧で責任逃れなものに見えるのだと思うのです。リスクがあるのはわかったから、どの程度の可能性があるかを明確にして欲しいし、その可能性を承知の上で最終的な決断をするのは経営陣なので、その根拠を教えて欲しいというところだと思います。その辺のコミュニケーションがこじれると、経営陣は、法務担当者のことを「何か新しいことを考えるとネガティブなことしか言わない消極的な奴だ」というレッテル貼りをしかねません。これではお互い不幸です。

法務担当者としては、新しいサービスが世の中に出たときにどのような影響が生じうるかを、想像力をフルに働かせてリストアップし、その影響に対して一つ一つ可能性と対処策を考え、これらをパッケージにして経営陣に提供するのがよいと思うのですが、これこそ言うは易く行うは難しです。とは言え、できるだけの対処策を講じ、必要であればサービス内容のmodifyを図って、経営陣の当初の思いを叶えられる実現策を提示できるのが、優れた法務担当者だと思います。

一方、大企業になると法務担当者も経験豊富な方が多数揃っておられるので、上に書いたような事態はなかなか生じないかと思うんですが、今度は、マーケットを牛耳るほどの大企業であると、社会的責任とか社会での評判とかを考慮する必要が出てくると思います。自分たちの行動が社会を大きく変化させ、一方で、社会との多大な軋轢を生じさせることを念頭に置いて、やはり、上に書いた想像力をフルに働かせて、万全な対策をしたというまでの検討は必要なんだと思うのです。

とは言え、法務担当者はいつも経営陣に対してブレーキをかける立場にならざるを得ないのは仕方ないんですかねぇ…think

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