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企業知財部と特許事務所との間(謎)

毎度の内容の愚痴ですが、お付き合いいただけますようm(__)m

知財業界に30年ほど在籍し、そのうちのだいたい半分(16年)を企業知財部で、残りの半分(14年)を特許事務所で過ごしています。ですから、企業知財部に在籍している頃は特許事務所の内情をある程度把握し、また、企業知財部退職後に特許事務所に在籍していて(今の状態)、企業知財部の内情を何となく推測することができます。

特に、企業知財部時代は知財管理部門に長年在籍していて、各年度の知財計画の立案作業を間近で見て、また、対特許事務所の窓口担当者も近くにいてその方針決めもずっと見てきましたから、今現在特許事務所にいて企業知財部の担当者から様々な要望をいただくと、その背景事情をうっすらとですが理解できるように思っています。

例えば、企業が毎年の特許出願件数を増加させ、あるいは減少させたとしても、それはその企業にやんごとなき事情があってしているはずなので、「企業の技術開発力は特許出願件数にリンクするのだから、日本企業は特許出願件数を低調なままでしてはいけない」などという一般論を述べても、それはそれで理解しているところはあるけど、今年はこの件数で計画しますと企業は考えているわけで、双方の主張はすれ違い気味になると思います。

出願手数料にしても、企業が提案する出願手数料の決定権限が必ずしも企業知財部にあるとも限らず、また、仮に企業知財部に権限があったところで、企業管理部門が間接的な関与をしているかもしれません。有り体に言えば、コスト削減要求は全社的な課題かもしれず、知財部としてこれに貢献すると考えたならば、もしかしたら止む無く出願手数料の引き下げを特許事務所に提案しているのかもしれません(この辺は各社の事情が全然違うと思うので、一般論であり推測であり、ですが)。

一方で、企業知財部から出願手数料の引き下げの提案があった時、特許事務所として譲れない一線がどこにあるのかを合理的に算出できている特許事務所がどれくらいあるのか、です。つまり、特許事務所自体のコスト構造を的確に把握し、適正な利潤を確保する前提で出願手数料を考えた場合、企業知財部からの出願手数料引き下げの提案に対してそれを承諾できるのか、逆に特許事務所側から再提案できるのか、これを合理的基準に基づいてできるのか、です。

日頃私が考えている、企業知財部と特許事務所との間には密接なコミュニケーションが必要であるとの信念は、相手方の事情の理解を前提とします。当然、全ての事情を理解できるとは限りませんから、やはりそこで様々な意見交換が必要であると思います。特許事務所からすれば、特許事務所の生殺与奪権は企業知財部側にあるように考えがちですが、そこに交渉の余地がどの程度あるのかを見極めた上での取引なのではないかな、と思います。

そのためには、癒着を推奨する気持ちは全くないのですが、相手側のキーパーソンと緊密な関係を保ち、ある程度相手側の内情を窺う手立てがあるといいと思うのです。やはり相互信頼あってこその仕事ですから、そのためには相手方の発言なり態度の背後にある事情を把握することが、仕事を円滑に進める鍵になるように思っています。

上の話は主に特許事務所側の立場から述べていますが、企業知財部の担当者についても同じことが言えると思っています。運命共同体的な関係になれとまでは言いませんが、互いの主張を相手側に理解してもらうためには、通り一遍の関係ではなく、一歩踏み込んだ関係が必要なのではないかと思うのです。

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